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shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Led ZeppelinⅠ【Turquoise Logo】

2018-06-02 | Led Zeppelin
 “緊急報告” である。あろうことか、貧乏コレクターの私がレッド・ゼッペリン UK ファースト・アルバムのターコイズ・ロゴ、通称 “青ロゴ盤” を買ってしまったのだ。しかもマトリクス無修正の最初期ファースト・プレスである。これは私にとってビートルズの金パロ以来の大きな買い物であり、猟盤の備忘録である当ブログに書かないワケにはいかない。
 実を言うと今年に入ってから LH ギフトの「ハウ・ザ・ウエスト・ワズ・リダン 2018 リマスター」をきっかけにゼップ熱が再燃し、先月まで手当たり次第にライヴ・ブートを買い漁っていたのだが、それも一段落して次なるターゲットとして浮上してきたのが未入手の 1stプレス盤だ。実を言うとゼップの LP に関しては UK 盤で一通り持ってはいたが、そのうちの約半分は 2ndプレスでお茶を濁していたし、彼らの場合ビートルズとは違って US 盤の音も侮れないので、今回は気合いを入れて英米両方の盤での完全制覇を狙うことにした。
 そこで私がまず目を付けたのが最難関である UK 1stプレスの「レッド・ゼッペリンⅠ」ターコイズ・ロゴ盤だった。いきなり本丸を攻めて敵(?)の大将を狙うという、実に大胆不敵というか、無謀な作戦である。早速 Discogsを見てみると10アイテム出品されており、“約2000枚しかプレスされなかった... ” なんて通説は絶対にデタラメやろ!と思ってしまう。ビックリしたのがその価格で、最安でも $2,000(約22万円)、最高値の盤になるとミント・コンディションとはいえ €11,000(約145万円)という現実離れした値段が付けられており、ハッキリ言って論外だ。
 eBayを見ると「ジャケットは青ロゴで盤は修正マトリクスの 2ndプレス」という中途半端な組み合わせのアイテムが出ていたが、「修正マト 2ndプレス」の盤自体は既にオレンジ・ロゴのジャケットで持っているので、いくら青ロゴとはいえさすがにジャケットだけのために何万円も出す気にはなれない。それでも結局終わってみれば12万円近い落札価格なのだから青ロゴの神通力は凄まじい。
 そしてその1週間ほど後に、今度は「青ロゴジャケ+無修正マトリクス」という正真正銘の 1stプレス盤が出品されたのだが、惜しいことにA面で1か所針飛びするとのこと。私は試しに£350という腰の引けた額(笑)で入札してみたが軽くアウトビッドされ、あえなく撃沈。こんな針飛び盤ですら結局£520(約8万円)で落札されたのだから青ロゴ恐るべしである。まぁ盤もジャケットもそれなりの状態ならディスクユニオンでの買い取り価格が18万円とのことなので、最低でも20万円以上出さないとまともな盤は買えないのかもしれない。
 そんなこんなで “やっぱり青ロゴ盤はちょっと無理か... ”と諦めかけていた時にまた別の青ロゴ盤が Discogs に出品された(←稀少盤の割りにはホンマにボコボコ出てくるなぁ...)。それもセット・プライス78,000円という、私にとって何とか手の届くギリギリの値段である。何でこんなに安いんやろ???と思ってコンディションを見てみるとやはりワケありで、スリーヴ・コンディションが G+だ。説明を読むと“Cover has water damage on the bottom left.” とある。やっぱりなぁ... そんな旨い話があるわけないわなぁ。しかし盤の方は無修正マトの真正 1stプレスでしかも great condition とある。う~ん... これは悩ましい(>_<) これを逃したら青ロゴの UK 1stプレス・無修正マト盤なんて手に入れるチャンスはもう二度と巡ってこないかもしれない。そう考えるといてもたってもいられなくなり、とりあえずダメージ部分の写真をメールで送ってもらうことにした。
 届いた写真はセラーの説明通りで、水に濡れた部分が茶色く変色しているのが気になったが、それさえ我慢すれば盤質の良い 1stプレス盤が聴けるのだ。勝負するか、それとも撤退するか、ここはひとつ腹を決めなければならない。私はしばらく頭を冷やしてよーく考え、それでも気になるようだったら買おう... と心に決めた。
 それから1週間が経ち、心の迷いは吹っ切れた。“ボロジャケ+ピカピカ盤”と“ピカピカジャケ+ボロ盤”のどちらを取るかといえば私は間違いなく前者を選ぶ。結局レコードは聴いてナンボなのだ。確かに高額な買い物だが、その分他のレコードを買うのを我慢すればいいだけの話。というワケで私はこの “ワケあり”青ロゴ盤の購入を決意... 久々の高い買い物なのでちょっとドキドキしながら Place Order をクリックした。 (つづく)
Led Zeppelin (Debut) album 1st UK Turquoise Cover 'Babe I'm Gonna Leave You'

モノラルで聴くゼップ⑤ 「A Collection Of Mono Albums」

2013-04-29 | Led Zeppelin
 ゼップのモノラル特集ではこれまでずーっとシングル盤を取り上げてきたが、最終回の今日は稀少なモノラルLPネタでいこう。そもそもアルバムに関しては、アルゼンチン盤とかチリ盤とかウルグアイ盤といった南米盤を除けば公式にはモノラルのオリジナル盤は一切存在しないのだが、「Ⅱ」「Ⅲ」「聖なる館」の3枚にはプロモ用ホワイト・レーベルのモノラル盤が存在しており(←何故「Ⅳ」だけモノラル盤が無いんやろ???)、その稀少性から市場では目の玉が飛び出るような高値で取り引きされている。「Ⅰ」のモノラル・プロモ盤は一応存在しているということになってはいるが、グーグル画像検索でもネット・オークションでもまだ見かけたことすらない超幻盤で(←あるサイトにはその存在自体が unconfirmed と書いてあった...)、もし出品されたらどんな値段になるのかまったく想像もつかない。ごくたま~に見かける「Ⅱ」「Ⅲ」「聖なる館」のモノ盤ですら、eBay で大体1,000~1,500ドル、ディ○クユ○オン(笑)では20万円近い値付けがされており、とてもじゃないが私なんかが買えるレベルのブツではない。
 しかしそんな貧乏マニアにとっての救世主的存在がブートレッグである。最近では “コレクターズCD” などというオシャレな名前で呼ばれているが、ビートルズやゼップのマニアならこういったブート盤のお世話になっている人も多いだろう。スコーピオ・レーベルからリリースされたこの「ア・コレクション・オブ・モノ・アルバムズ」という3枚組ブートCDは、「Ⅱ」「Ⅲ」「聖なる館」のDJコピー・モノラル盤をCD化したもので、1枚10万円以上する激レア盤3枚ということで計30万円以上出さなければ聴けない貴重な音源が中古CD1枚分ぐらいの出費で聴けるのだからホンマにありがたいことだ。因みに私はこのCDをヤフオクで1,200円で買ったのでコスパは抜群に高い。ファンとしてはレコード会社が出してくれないこういったレアな音源を発掘してリリースしてくれるブート・レーベルの頑張りに感謝感謝... ホンマに西新宿方面には足を向けて寝れませんわ(^.^)
 この「ア・コレクション・オブ・モノ・アルバムズ」は3枚のDJコピー盤からそれぞれ “アナログ起こし” で作られており、原盤ディスクのスクラッチ・ノイズがそのまま入っているのだがアナログ・リスナーならほとんど気にならないレベルだし、ヘタにノイズ・リダクションを施されてノイズと共にアナログの一番おいしい周波数帯域の成分まで除去されては元も子もない。そういう意味で、このCDの音は十分満足のいくものだと言えるだろう。
 更に、ゼップのモノラル・ヴァージョンはただ単に左右のチャンネルをミックスしたものではなく、モノ再生した時にヴォーカル・トラックとインストルメンタル・トラックのバランスが自然に聞こえるようにオリジナルのステレオ・マスターをリマスタリングする CSG(Compatible Stereo Generator)プロセスを経て作られたミックスなので、いわゆるひとつの “疑似モノラル” のように音が奥に引っ込んだり籠ったりということが少ないのだが、この3枚のCDでもそんなCSG効果が存分に発揮されたナチュラルなモノラル・サウンドが楽しめて言うことナシだ。
A Collection Of Mono Albums (Heartbreaker / Bring It On Home / Immigrant Song / Celebration Day / The Song Remains The Same / Over The Hills And Far Away)


 ここまで書いてきてあるアイデアが閃いた。ステレオ盤しか存在しないアルバムでもモノ針で再生すれば迫力満点のモノラル・サウンドになるのではないか... つまり「フィジカル・グラフィティ」や「プレゼンス」といった後期ゼップ盤を世界に一つしかない “自家製モノ” 化してしまおうということだ。ただ、ステレオ盤をモノ針でかけると溝を痛めてしまうとどこかで聞いたことがあるので、どちらもUK1st プレス盤は避けて 2nd プレス盤や国内盤を使って実験してみたところ、出てきた音は期待通りのガッツのあるサウンドで大満足(^o^)丿 もちろんCSGプロセッシングと同じというワケにはいかないが、それでもオルトフォンのモノラル・カートリッジ CG25 Di の威力は絶大だ。アナログはこういう愉しみ方もできるからエエですな。参考までに2曲ほどアップしておきますので興味のある方は聴いてみて下さい。
モノラル版インマイタイムオブダイング

モノラル版アキレス

モノラルで聴くゼップ④ 「Black Dog」「Rock And Roll」

2013-04-26 | Led Zeppelin
 “モノラル特集” もいよいよ終盤戦に突入だ。前にも書いたように一般に市販されているゼップのシングル盤は2枚目の「胸いっぱいの愛を」までがモノラルで3枚目の「移民の歌」からステレオに完全移行したのだが、ラジオ局に配られるプロモ・シングル、つまりDJコピーに関しては何と1976年リリースの「キャンディ・ストア・ロック」までAMラジオのオンエアー用にモノラル・ヴァージョンが作られていた。
 今日取り上げるプロモ・シングルは「ブラック・ドッグ」と「ロックンロール」の2枚なのだが、あまり市場に出てこないせいか日本では結構高値で取り引きされており、ヤフオクではシングル盤の分際で(?) “激レア★爆音mono!!” という煽り文句(笑)と共に10,000円~18,000円ぐらいで出品されているし、ディ○クユ○オンのサイトでも16,000円前後の値が付けられている。私はまだ1ドル=80円台の頃にeBayでそれぞれ $28と $20で手に入れたので何かめっちゃ得した気分だ(^o^)丿 今はもう1ドル100円を突破するのも時間の問題みたいだが、1ドル=75円だった頃がホンマに懐かしい... eBay ユーザーとしては Fuckin' Abenomics! と言いたくなってくる。
 この2枚は共にモノラル・サイドが赤/白レーベルで、裏面のステレオ・サイドは「ロックンロール」の方がオール水色レーベル、「ブラック・ドッグ」の方が赤/水色の2色レーベルになっている。しかも「ブラック・ドッグ」は両面とも3分50秒のショート・ヴァージョンが収録されており、何故か両面に “PLUG SIDE” の表示がある。これはラジオ局のDJに “こっちの面をかけてね” という、いわゆるひとつのA面表記のことなので、両面に表示しても意味がないように思うのだが...
 音の方は1枚目の「コミュニケイション・ブレイクダウン」や2枚目の「胸いっぱいの愛を」ほどの衝撃性はないが、それでもモノラル特有のエネルギー感は十分に感じられるし、ヴォリュームを上げていくとヴォーカル、ギター、ベース、ドラムスが一つの音の塊となってドドーッと襲い掛かってくるようで、イケイケのハードロックが大好きな私としては快感そのものだ。特にボンゾの一発一発がビシバシきまる「ロックンロール」は強烈で、“モノラルのゼップはボンゾを聴くためにある!” と言い切ってしまいたくなるぐらいカッコイイ(^o^)丿  残念ながら YouTube では著作権の関係から “全世界でブロック” されちゃったので、ニコ動の方にアップした音源でモノラル・サウンドを楽しんで下さいませ。


モノラルで聴くゼップ③ 「Stairway To Heaven」

2013-04-20 | Led Zeppelin
 キタ━━━(゜∀゜)━━━!!! 前々からずーっと欲しかった「天国への階段」のモノラル・プロモ・シングルをついに手に入れた。しかも盤質極上のピカ盤で、ジャケットもちゃーんと綺麗なのがついている。そもそも “モノラルで聴くレッド・ゼッペリン” 特集をやろうと思いついたのも、このレコードをeBayで落札できたことがきっかけなのだ。
 私がこの盤の存在を知ったのは3年ほど前のことで、YouTube で「移民の歌」のモノラル・ヴァージョンを探していた時にたまたま “Led Zeppelin Mono” で検索してみたところ、“Led Zeppelin – Stairway To Heaven 45 rpm (mono version)” というのを発見、“「階段」のモノ・ヴァージョンだとぉ???” と「移民の歌」そっちのけで大コーフンしながらもまだ半信半疑で説明に目をやると “The rare promo radio station copy with sleeve from 1972. Not released as a commercial single.” とある。要するにこれは1972年にAMラジオでのオンエアを目的に制作されたプロモーション・オンリーのDJコピー7インチ・シングル盤で、一般への販売は一切なし。更にこの種の盤には珍しくピクチャー・スリーヴが付属しており、片面に「階段」のモノラル・ヴァージョン、もう片面にステレオ・ヴァージョンが収録されているというのだ。へぇー、「階段」にそんな盤があったのか...(・o・)
 専門のサイトで詳しく調べてみると、「階段」は正式なシングル・カットはされなかったものの、アトランティック・レコードは70年代から90年代にかけて以下のように何度か「階段」のプロモ・シングルを作って主にアメリカのラジオ局に配っていたという。
  ①PR-175(1972 US):・唯一の「階段」モノ・ヴァージョン収録盤
             ・DJコピー白レーベル
             ・ピクチャー・スリーヴ付き
  ②PR-269(197? US):・両面に「階段」ステレオ・ヴァージョン収録
             ・DJコピー及びジュークボックス用薄青レーベル
             ・同じカタログ№でB面が「Hey Hey What Can I Do」の赤黒レーベル盤あり
  ③LZ-3(1990 UK):・「リマスターズ」販促用150枚限定盤
            ・スモール・センター・ホールの赤緑レーベル
            ・プロモ・レター付き
            ・裏面は「胸いっぱいの愛を」
  ④PR-4424(1991 US):・「天国への階段」発表20周年記念盤
             ・アトランティック赤黒レーベル
             ・両面にステレオ・ヴァージョン収録
             ・ピクチャー・スリーヴ付き
 私は別にコレクターでもマニアでもなくただこの曲のモノラル・ヴァージョンを良い音で聴きたいだけなので②~④には何の興味も無い。ただただ①の一点狙いである。とまぁそーゆーワケでこの3年間というもの、eBay で虎視眈々と狙っていたのだが、かなりレアなコレクターズ・アイテムだけあって中々出てこないし、ごくたまに出てきてもものすごい高値で落札されていく。所詮コレは私なんかが入手できるものではないな... と正直諦めかけていた。
 しかしたまたま去年の暮れからこのブログでゼップ祭りを始めて “やっぱりどーしても欲しい”感が強くなり、1月の半ば頃に運良く出品された際に $220を付けてみたのだが、何と$550で決着という凄まじい修羅場にあえなく撃沈(>_<) それでもめげずに粘り強く網を張っているとラッキーなことに3月に入って別のセラーから出品されたので再チャレンジ。なぜか今度は〆切直前になっても $175 表示のままだ。eBayではごくたまにエアポケット現象のようなビッド空白期があって垂涎盤を信じられないような安値で買えることがあるのだが、ひょっとするとこれは千載一遇のチャンスかもしれない。いつ取るか... 今でしょ!
 ということで林先生のCMに背中を押され(?)、今回は$60上乗せして $280で終了5秒前に入魂スナイプしたところ、$230で見事落札できたというワケだ。eBayやってる人なら分かってもらえると思うけど、勝負が決まった瞬間に目にする緑色の数字(←負けた時は数字が赤色で表示される...)は何度見てもエエもんですなぁ...(^o^)丿 カタギの人から見ればこれでも “シングル盤1枚にナンボ使ってるねん!” と思われるかもしれないが、私は好きな盤は何百回でも聴く人間なので気にならない。1回100円として200回聴けば軽~く元が取れるでしょ(笑)
 で、肝心の音の方だが、一言で言うと “芯のある音”。中低域が分厚く、ガッチリとした武骨なモノラル・サウンドだ。ボンゾの一発一発がズシリと重い。ただ、この曲のスケールの大きさを味わうなら裏面のステレオの方に軍配が上がるのだが... しかもこの45回転ステレオ・ヴァージョンとUK 1st プレスLP 収録の「階段」とでは音が微妙に、しかし確実に違っており、3者の中では LP の音が一番柔らかく感じられる。特に前半部の牧歌的な雰囲気は LP ヴァージョンの独断場で、逆に後半にかけて盛り上がるパートはモノラルに一日の長があるように思えた。シングル盤のステレオ・ヴァージョンは両者の中間といった感じで、三者三様の愉しみ方が出来るのが嬉しい。
 とにかく聴き慣れたステレオ・ヴァージョンとは又違った音で「階段」が楽しめるこのシングル、大枚叩いて買って大正解だった。まだ1年の1/3しか過ぎてませんが、私にとっての “今年のベスト・バイ” はコレでほほ決まりですわ\(^o^)/

モノラルで聴くゼップ② 「Whole Lotta Love」

2013-04-13 | Led Zeppelin
 去年の4月に今の職場に転勤して1年が過ぎ、大嫌いだった前所長が定年退職でいなくなって大喜びしたのも束の間、この4月の職場内配置転換で私が蛇蝎の如く嫌っていたインターナショナル・セクションとやらに入れられてしまった。何でこの私が??? 例えるなら無理やり聖歌隊に入れられたオジー・オズボーンみたいな感じ(?)で、居心地悪いことこの上ない。これは何かの罰ゲームなのか? とにかく何から何までイヤな事だらけなのだが、一番ムカつくのがアホの一つ覚えみたいに “グローバル” とか “インターナショナル” とか言って自己満足に浸ってる連中だ。一体何が悲しゅーて日本人同士が英語で会議せなアカンねん! アホちゃうか? とにかくそういったおめでたい連中の現実離れしたタワゴトに付き合わされてストレス溜まりまくりの毎日だ。おかげでブログの更新が停滞してしまったが、めげずにゼップ祭りを続けよう。

 “モノラルで聴くレッド・ゼッペリン” 特集パート2は「胸いっぱいの愛を」である。前回取り上げた「グッド・タイムズ・バッド・タイムズ / コミュニケイション・ブレイクダウン」のUSモノラル盤に出会うまで私はゼップを100%アルバム単位で聴いていたので、改めてシングル・ディスコグラフィーを調べてみたところ、非売品のプロモ盤を除けば 2nd シングルの「胸いっぱいの愛を」までがモノラルで、1970年リリースの 3rd シングル「移民の歌」からステレオに変わったとのこと。いったん火が付いたら徹底的に極めないと気が済まない性分の私は、次のターゲットをその「胸いっぱいの愛を」に絞った。
 「グッド・タイムズ...」の時に焦って再発盤をつかむという大ポカをやったので、「胸いっぱいの愛を」のシングル盤に手を出す前に更に詳しくレーベル面の違いをチェックしてみると、ややこしいことにレーベル面左側に記されているマトリクス・ナンバー末尾のアルファベットが -PL、-MO、-LY、-SPと、私が調べただけでも4種類違った盤が存在している。どれの音が良いのか、あるいはみな同じ音なのかサッパリわからない。悩んだ挙句、音の良かった「グッド・タイムズ...」盤のマトリクス末尾が-MO だったので、「胸いっぱいの愛を」も同じ -MOの盤をeBay で探して $20でゲットしたのだが、結果的にこれで正解だったようで音溝には期待通りの生々しい音が刻まれていた。
 尚、後で分かったことだが、これらのアルファベットはプレス工場のコードIDで、
  MO: Monarch Records, Los Angeles, California
  PL: Plastic Products, Memphis Tennessee
  LY: Shelly Products, Huntington Station, New York
  SP: Specialty Records Corp.; Olyphant: Pennsylvania
ということらしい。だから私が買ったのはロサンゼルスにあるモナーク・レコードの工場でプレスされた盤ということになる。どうやら 1st プレス云々とは関係が無いようだ。
 更にネットで調べると、あるサイトに日本盤シングルに関する記述があり、何と日本で最初にリリースされたゼップ・シングル2枚はワーナーパイオニアではなく日本グラモフォンから出ていて(←カタログ№が DT- で始まるヤツです)、US盤と同じくモノラル・ミックスを使用しているというのだ。これはエライコッチャである。私はかなり長い間 “日本盤=音が悪い、オリジナル盤=音が良い” という迷信を信じて生きてきたのだが、音聴き会G3で音の良い日本盤や逆に音の悪いオリジナル盤を聴かせてもらっていたこともあってかえって興味がわき、“可能ならグラモフォン盤のシングルも聴いてみたいなぁ...(^_^.)” と思うようになった。
 こーなったら善は急げである。さっそくヤフオクで網を張ってみたところ、ラッキーなことにそれから数日してそのグラモフォン盤「胸いっぱいの愛を」が出品された。ゼップのグラモフォン盤というのは出るところに出れば結構高くて諭吉さん一人分ぐらいはするらしいのだが、この時は何故か無競争で800円で手に入れることが出来た。ジャケットにウォーターダメージがあってブヨブヨ(笑)だったが盤質はかなり良かったので大満足だ。
 で、US盤と日本盤の音の違いだが、US盤の方がわずかにハイ上がりかなという程度でほとんど差は感じない。60年代プレスの日本盤でたまに凄い音のレコードに出会うことがあるが、これなんかまさにその典型と言っていいだろう。とにかくボンゾの豪快なドラミングがズンズン腹に来るし、ゴリゴリくるペイジのリフもめっちゃ気持ちイイ(^o^)丿 プログレちっくな中間部は音が右往左往しないのでステレオ・ヴァージョンに軍配が上がるが、その混沌パート後の例の切っ先鋭いギターソロは圧巻のド迫力だ。
 B面はUS盤が「リヴィング・ラヴィング・メイド」で国内盤が「サンキュー」とそれぞれカップリング曲が違っているのだが、モノラルの良さが堪能できるのは前者の方で、前回の「コミュニケーション・ブレイクダウン」もそうだったが、やはりアップテンポで押し出しの強いプリミティヴなロックンロールにモノラルの武骨なサウンドが合うのだなぁと実感した。
Led Zeppelin - Whole Lotta Love - 45 RPM Original HOT Mono Mix

Led Zeppelin - Living Loving Maid, Mono 1969 Atlantic 45 record.


モノラルで聴くゼップ① 「Communication Breakdown」

2013-04-07 | Led Zeppelin
 レコードの再生方式には大きく分けてモノラルとステレオの2種類がある。私が音楽を聴き始めた1970年代半ばというのはもう完全にステレオの時代で、モノラルというと “古くさい” “奥行きや臨場感がない” → “音が悪い” というネガティヴなイメージしかなかった。当時買ったLPレコードの中に「プリーズ・プリーズ・ミー」のジャケ違い日本盤「ステレオ!これがビートルズVol.1」というのがあり、“ステレオ”という4文字が神々しく輝いて見えたものだ。1980年代に入ると私の音楽生活は80'sポップス中心となり、いつしか“モノラル”という言葉に出会うことすらなくなった。
 しかし1990年代の半ばにジャズを聴き始め、行きつけのレコード屋で “50~60年代の古い音源はモノラルに限りますよ...” とブルーノートのオリジナル盤LPを聴かせてもらって私のモノラルに対する偏見は木端微塵に打ち砕かれた。目からウロコとはまさにこのことで、ステレオがなんぼのもんじゃいとばかりにスピーカーの中央に凝縮されたエネルギーがドーンと鉄砲水のように襲いかかってきて気持ちイイのなんの...(≧▽≦)  続いて聴かせてもらったペギー・リーやドリス・デイのような古いヴォーカル物も中音域の密度感がハンパない。これがきっかけで私は “ジャズやヴォーカル物のLPはモノラルのオリジ盤に限る” を信条とするようになった。
 ジャズ関係で欲しい盤はほぼ手に入れて一息ついた2004年頃、 “ジャズでこれやったらひょっとしてロックやポップスも凄いんちゃうの?” と思いつき、手始めにeBayでプレスリーやロネッツといったオールディーズのモノラル盤を取って聴いてみるとこれがもうビックリするくらいの生々しさだ。すっかりモノラル教(?)信者と化した私は死力を尽くして最大の難関であるビートルズにトライ、紆余曲折を経ながらも「金パロ」から「ホワイト・アルバム」まですべてUKパーロフォンのモノラル盤で手に入れた。
 ビートルズで言うとちょうどアルバム「イエロー・サブマリン」からステレオ盤がメインの時代に入るので、ロックの世界におけるモノラルとステレオのチェンジオーバーは1968/1969年と見ていいだろう。クリームなら「ホイールズ・オブ・ファイアー」(1968)と「グッバイ」(1969)がモノラルとステレオの分かれ目というワケだ。だからレッド・ゼッペリンにモノラル盤が存在するなどとは夢にも思わなかったし、実際カタログに載っていたゼップのオリジナルLPにモノラル盤は無かったので、彼らのアルバムはすべてUKオリジナルのステレオ盤で手に入れて満足していた。
 そんなある日のこと、ネットでたまたま目にしたゼップ関連の掲示板に彼らのアメリカにおけるデビュー・シングル「グッド・タイムズ・バッド・タイムズ / コミュニケイション・ブレイクダウン」のUS盤はモノラルだという記述があり、raw power(生々しいパワー)とかoverwhelming sound(圧倒的な音)とかいう表現で絶賛されていたのだ。レッド・ゼッペリンにモノラル盤が存在するのか... ボンゾの爆裂ドラミングをモノラルの凄まじい音圧で浴びるように聴いてみたい!!! いてもたってもいられなくなって eBay で検索すると BUY IT NOW $3.00 という嘘のような値段で出ていたので即決。しかし “一体どんな凄い音が出てくるんやろ?” とワクワクドキドキしながら届いた盤をかけてみると “これのどこが overwhelming やねん???” と盤をブチ割りたくなるような薄っぺらい音だ。これは一体どーゆーことなのだろうか?
 納得いかない私が上記のサイトでもう一度確認してみると、レーベルのデザイン表記が微妙に違う。私が買った盤のレーベル面右下部にはワーナー・コミュニケーションズの “Wロゴ” が表示されているのだが、それは1974年以降にリリースされた盤についているもので、ゼップに関しては右下に “1841 BROADWAY, NEW YORK, NY” という所在表示がある1968~1973年頃までの盤がアーリー・プレス。つまり私のは1970年代半ばにプレスされた再発盤だったというワケだ(→詳細はココ)。LPを買う時はレーベル面の画像を細かくチェックするのだが、シングル盤ということで油断していた私が甘かった。
 しかしこの程度のことでめげる私ではない。今度は画像をしっかり確認してから正真正銘のファースト・プレス盤をゲット、シングル盤ということで人気がないのか無競争で$9.99 だった。盤が届き、はやる心を抑えながら “多分こっちの方が凄いやろな...” とあたりを付けて「コミュニケイション・ブレイクダウン」の方に針を落とすと、いきなり雷鳴のようなギター・リフの轟音が部屋中に響き渡り、ボンゾのバスドラが大地を揺るがす。まるでガレージ・パンクのような荒々しさだ。予想通り、いや予想以上に野太い音の塊がセンターからドドドーッと押し寄せてきて気持ちエエことこの上ない。
 もう片面の「グッド・タイムズ・バッド・タイムズ」は押し出し感よりも立体感が重要なのでステレオ・ミックスの方が合っているように思うが、それでもイントロの バンバン♪ のド迫力にはブッ飛んだ。モノラルのガツン!とくるアナログ・サウンドでレッド・ゼッペリンを味わい尽くす... これってハマると結構病み付きになりますぜ(^_^.)
コミュニケイション・ブレイクダウン [モノラル]

グッド・タイムズ・バッド・タイムズ [モノラル]
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Great Zeppelin / Great White

2013-04-03 | Led Zeppelin
 今日はグレイト・ホワイトが1999年にリリースしたゼップ・カヴァー・アルバムの最高傑作、「グレイト・ゼッペリン」だ。レッド・ゼッペリンのトリビュート・アルバムというのは数多く存在するが、そのほとんどは様々なアーティストによるカヴァーを寄せ集めたコンピ盤か、あるいはインディーズ系のゼップ専門トリビュート・バンドによるものであり、第一線で活躍しているロックバンドによる1枚丸ごとゼップ・カヴァー・アルバムというのは私の知る限りではこの盤しかない。しかもパーシーそっくりの声質を持つジャック・ラッセルの歌と “これぞプロフェッショナル!” と言いたくなるような高い演奏力でもって、ゼップ以上にゼップらしく聞こえるぐらい(?)ハイレベルな完コピを聴かせてくれるのだ。
 そもそもバンド名のグレイト・ホワイトとは Great White Shark、つまりホオジロザメのことで、そのせいか彼らのアルバム・ジャケットにはサメの背びれが登場することが多いのだが、この「グレイト・ゼッペリン」ではゼップの 1stアルバムのデザインを堂々とパロッて飛行船の代わりに巨大な白鮫を登場させており、ビンデンブルグ号ならぬ “ホオジロザメ号” が爆発炎上するという遊び心溢れるジャケット(←爆発部分は前回のレズ・ゼッペリンのと同じ写真使ってる...)がめちゃくちゃ気に入った私はネットで見つけて即ゲット、ロクに試聴もせずにジャケ買いした1枚だ。
 中身の方は1996年12月にサンタ・アナのギャラクシー・コンサート・シアターで行われた “レッド・ゼッペリン・プロジェクト”、つまりワン・ステージ全てをゼップのカヴァーで固めたコンサートの模様を収録したライヴ盤で、まず目に付くのがその渋~い選曲だ。超有名曲は「移民の歌」と「天国への階段」ぐらいのものでそれ以外はある意味マニアックと言っていいようなマイナーな曲が選ばれており、このあたりにも “単なるヒット曲集にはしねぇぞ!” というゼップ・マニアとしての彼らの拘りが強く感じられる。コンサートの1曲目が①「イン・ザ・ライト」というのも超の付く変化球だし、本家がライヴで演らなかった②「リヴィング・ラヴィング・メイド」(←聞くところによるとペイジはこの曲が好きじゃなかったらしい...)が聴けるというのがこのアルバムの大きな魅力だ。私はこのキャッチーなロックンロール曲が大好きなので、グレイト・ホワイトが全盛期のゼップさながらに力強く歌い演奏する②が聴けて大喜びしたものだ。
Living Loving Maid


 ④「シンス・アイヴ・ビーン・ラヴィング・ユー」も絶品だ。声質は言わずもがな、緩急織り交ぜながらパーシーの歌い方の特徴までも巧くとらえたジャック・ラッセルのヴォーカルがもう鳥肌モノの素晴らしさだし、ペイジが憑依したかのようにあの雰囲気を見事に再現したマーク・ケンドールのクリソツ・プレイにもゼップ・ファンなら涙ちょちょぎれること間違いなしだ。
Great White - "Since I've Been Loving You" - The Ritz 1988


 「イン・スルー・ジ・アウトドア」は新譜としてリアルタイムで体験した唯一のゼップ盤なのでかなり愛着のあるアルバムなのだが、世評はイマイチだし収録曲のカヴァーも非常に少ない。だからトラックリストの中に⑧「オール・マイ・ラヴ」を見つけた時はめっちゃ嬉しかったし、ヘタしたら本家ゼップよりも上手いんちゃうの... と思えるような(←ドラムは完全に負けてるけど...)手堅い演奏にも大満足。そしてそんなシニアなバラッドの後に超体育会系の⑨「移民の歌」を持ってきて一気に盛り上げるところもさすがという他ない。本家のパーシーが72年に喉を痛めたせいでセットリストから外されたこともあって、この曲をオリジナル・キーで歌い切るジャック・ラッセルの凄さを再認識させられた。
GREAT WHITE ALL MY LOVE.wmv

Great White - Immigrant Song


 「フィジカル・グラフィティ」収録の隠れ名曲⑬「ザ・ローヴァー」も圧巻だ。この曲も本家ゼップのライヴ・ヴァージョンを聞いたことがなかったので②や⑧と同じく大喜び\(^o^)/したトラックなのだが、何にせよ、ヘヴィーなリフの積み重ねが生み出す後期ゼップ特有のうねるようなグルーヴをライヴでこれほど見事に再現できるバンドは彼ら以外にいないだろう。
 グレイト・ホワイトがレッド・ゼッペリンへの限りない愛情と拘りでもって作り上げたこの素晴らしいカヴァー・アルバムはまさに空前絶後の偉業と呼べるもの。ゼップ・ファンなら絶対に “買い” でしょう。
Jack Russell's Great White Marquee 15 Led Zepplin The Rover.wmv

Lez ZeppelinⅠ

2013-03-30 | Led Zeppelin
 2回にわたってゼッパレラを大特集してきたが、その流れでいくと次は当然レズ・ゼッペリンだ。彼女達の2nd アルバムは「レズ・ゼッペリンⅠ」というタイトルが付けられており、“セカンドなのにワンとはこれいかに???” と言いたくなるが、ギタリスト兼バンド・リーダーのステフが下のインタビューで(5分8秒あたりから) “私達の2枚目のアルバムはゼップの原点、つまりファースト・アルバムに立ち返ろうと思ったの。それもオリジナルに限りなく忠実な形でね。だから彼らが当時使っていたのと同じヴィンテージ機材を使ってアナログ・レコーディングしたのよ。” と答えているように、何とゼップの1st アルバムを曲順から個々のソロに至るまで微に入り細にわたって完全再現しようという大胆不敵なコンセプトの下で制作されているのだ。
Lez Zeppelin - Interview and Live Concert


 ここで話は少し逸れるが、このアルバム・コンセプトの話を聞いた私は、PCM放送の「ジャズ道場破り」という番組で行われた日本チャーリーパーカー協会会長の辻バード氏とジャズ喫茶の名物オヤジである寺島靖国氏の対談を思い出した。辻バード氏が言うには、「ジャズという音楽形式はクラシック音楽がそうであるように一定のピークを越えてすでに歴史を終えている。今はその終わった形式を再現する芸術として残っている。前の人を乗り越えて新しい峰を作っていくという動きはもうない、つまり過去の偉大な人を超えようとしてももう越えられないということ。ただ、再現だからダメだというのではなく、その再現の仕方に無限の可能性があると思う。だから新人の矢野沙織に僕が期待するのは、パーカーの曲をパーカーと同じアドリブで、パーカーと同じ音色・リズム感で全く同じように吹くことなんです。」とのこと。(←この発言に対して感情的に反論する寺島氏との “かみ合わない論争” がもうめちゃくちゃ面白くって、私の音楽仲間内ではこの辻バードvs寺島論争の話題で盛り上がることが多い...)
 確かにジャズのCDはワケの分からない新譜よりも50年代モダンジャズの再発盤の方が遥かに売れているという現状を鑑みても辻バード氏の発言は的を得ているし、21世紀に入ってからのゼップを始めとする70~80年代の王道ロック、いわゆる “クラシック・ロック” というジャンルの盛り上がりを考えればロックもジャズ同様の状況にあると言えるのではないかと思う。つまり辻バード氏発言の “ジャズ” を “ロック” に、“パーカー” を “レッド・ゼッペリン” に、 “矢野沙織” を “ゼップのフォロワー達” にそれぞれ置き換えてみると、まさにこの「レズ・ゼッペリン1」というアルバムの存在意義が明確に浮かび上がってくるのだ。
 このアルバムがリリースされたのは2010年なのだが、当時はラモーンズや昭和歌謡で忙しかったし(笑)日本盤のダサいイラスト・ジャケを見てイマイチ食指が動かずにスルーしていた。しかし去年の春頃だったと思うが、USアマゾンでたまたま目にしたゼップ関連商品の中にこのアルバムのUS盤が紹介されており、ゼップの1stと同じく飛行船ビンデンブルグ号の爆発炎上写真を巧く使った意味深なジャケット(←初めて見た時はクソワロタ。コレに比べたら日本盤のジャケはホンマにセンス無いなぁ...)が気に入って今度は即買いを決めた。
 肝心の演奏内容の方は、今回ギタリストのステフ以外のメンバーを一新して臨んだというだけあってドラムスとベースのリズム隊が強化されており、彼女達のこのアルバムにかける意気込みが伝わってくるような見事な完コピぶりだ。逆に言えばもう一ひねり欲しいというか、彼女達なりの個性の主張があまり感じられず面白みに欠けると言えなくもないが、ヴォーカルがパーシーの金属的なハイトーンとは違って低くて太い女性の声なので、その点では新鮮な感覚で聴ける。聞くところによるとペイジ本人がレコーディングに立ち会ってサウンド・プロダクションに関してアドバイスしたとのことだが、何にしても先の “再現芸術” という観点から言えば文句なしに素晴らしい仕上がりである。
グッドタイムズバッドタイムズ

ハウメニーモアタイムズ


 ⑦「コミュニケイション・ブレイクダウン」は彼女達のデビュー・アルバムにも収録されていたので早速両方のヴァージョンを比較してみたのだが、1st の方がノリ一発で一気呵成に突っ走るという感じのラフでハードな演奏でライヴ感に溢れるダイナミックな音作りになっているのに対し、この2nd の方はよりオリジナルに忠実に再現することに重点が置かれており、1stに比べると幾分抑制が効いた音作りになっている。よくぞまぁここまで...と感心するのは2ndの方だが、破天荒なカッコ良さに魅かれて何度も聴きたくなるのは1stの方だ。又、前々回アップした同曲のゼッパレラ・ヴァージョンとの聴き比べも一興だろう。
Lez Zeppelin Communication Breakdown film by Dean Holtermann


 ゼップのトリビュート・バンドにとっての試金石ともいえる「幻惑されて」も必聴だ。丁寧に作り込んだスタジオ録音ヴァージョンとは言え、オリジナルの雰囲気をここまで見事に再現されるとそのマニアックなまでの拘り具合いに脱帽するしかない。この調子で「Ⅱ」「Ⅲ」「Ⅳ」...とゼップのオリジナルを順番に再現していってくれたらそれはそれで画期的というか、ある意味前人未到の偉業ではないかと思うので、ファンとしては是非とも実現してほしいものだ。尚、下に貼り付けたライヴ映像ではゼッパレラのグレッチェン・メンと同じように、ギタリストのステフがまるでペイジが憑依したかのような華麗な手さばきでお約束の “弓弾き” を披露(5分22秒~)している。
 メジャー・レーベルから2枚のCDを出し知名度でも先行するレズ・ゼッペリンとインディーズ所属ながら地道なライヴの積み重ねで猛烈に追い上げるゼッパレラ... №1ゼップ・トリビュート・レディース・バンドの座を巡る熱き女の戦い(?)が見ものである。
Lez Zeppelin - live Mannheim 2007 - b-light.TV production

A Pleasing Pounding / Zepparella

2013-03-26 | Led Zeppelin
 今日もゼッパレラ・ネタでいこう。彼女達のことをネットで色々調べてみたところ、バンドの創設メンバーはドラマーのクレメンタインとギタリストのグレッチェン・メンの二人で、彼女達はゼッパレラ結成前は AC/DC のレディース・トリビュート・バンドである AC/DShe (←このバンド名ワロタ...)で活動していたとのこと。クレメンタインがフィル・ラッドをパロッた “フィリス・ラッド”、グレッチェンがアンガス・ヤングをパロッた “アグネス・ヤング(笑)” を名乗ってブイブイいわしていたらしい。これ↓がその頃のライヴの様子だが、ギブソンSGを抱えスクールガール・ファッションに身を包んでアンガスになりきるグレッチェンの姿が拝める超お宝映像だ。
AC/DShe "United States" Whole Lotta Rosie.m4v


 そんな二人がゼッパレラを結成したのは2004年のことで、当初はヴォーカリストとベーシストを固定しない practice project として活動していたという。やがてヴォーカルのアンナ・クリスティーナ、ベースのニラ・ミネロクをパーマネント・メンバーに迎えて制作されたのが先述の2枚のライヴ CD というわけだ。私はこの第1期ゼッパレラのラインナップこそがベストだと思っているが、残念ながらアンナとニラは他のプロジェクトに参加するために2010年末にバンドを離れており、現在のメンバーはヴォーカルがノエル・ドーティ(←声質がロックよりもポップス向きやと思う...)、ベースはアンジェリン・サリス(←顎のラインがジョーンジーに似てるかも?)だ。
 前回書いたように彼女達の1st アルバム「Live at 19 Broadway」は首尾よく手に入れることが出来たのだが、2nd アルバム「A Pleasing Pounding」の方は残念ながらアマゾンの日・米・英のどこを見ても鬼のようなプレミア価格になっていて全く手が出ない。MP3ダウンロードは大嫌いだし(←ありがたく試聴だけはさしてもらいました...)伝家の宝刀 eBay にも出ていない。最後の手段として世界中のレコード店やコレクターが出品しているグローバル・オンライン・マーケットをいくつか当たってみると、ラッキーなことに GEMM というサイトに「Pleasing Pounding」が1枚だけ出ていた。それも $12.50 という良心的なお値段でだ。わかる人にはわかると思うが、このようにあの手この手を使いながら入手困難盤を安く手に入れることが貧乏コレクターのささやかな喜びなのだ(←後になって知ったのだが、これらのCDは彼女達のHPで$20で買えるようだ...)。
 届いたCDはデジパックになっており、What Are Records? というこれまた聞いたことのないインディーズのレコード会社名が記されている。手作り感漂うメディア(←今回はちゃんとした銀色で正規プレス盤ぽいけど...)といい、レーベル面外周の “Led Zeppelin Forever” といい、作りは「Live at 19 Broadway」と同じである。中身の方は2007年9月7日のレッド・デビル・ラウンジ(サンフランシスコにある有名なライブハウス)におけるライヴ・レコーディング。オープニングの①「移民の歌」は唯一前作とかぶっている曲だが、2年の月日が経っているだけあって、同じ曲なのにこちらの方が遥かに演奏の出来が良い。
 デビュー・アルバムと比較して感じたことは、バンドとしての演奏力の向上だけではない。良い意味で選曲が渋いのだ。「コミュニケイション・ブレイクダウン」「胸いっぱいの愛を」「ハートブレイカー」「移民の歌」「ブラック・ドッグ」「ロックンロール」といった初期の代表的なナンバーが中心だった前作とは違い、このアルバムでは中期の作品が多く選ばれており、さながら “裏ベスト” 的な様相を呈しているのだ。中でも全9曲中の約半分にあたる4曲がアルバム「フィジカル・グラフィティ」から選ばれているところに注目したい。何よりも嬉しかったのは彼女達が②「シック・アゲイン」や⑤「カスタード・パイ」といった私の愛聴曲を演っていること。特に大好きな②ではオトコ顔負けの骨太な演奏を聴かせてくれており、彼女達を単なるレディースのコピバンと侮っていると驚倒すること間違いなしだ。
Sick Again - Zepparella

Zepparella - Led Zeppelin's - Custard Pie - On Stage In Tahoe -


 10分を超える⑦「イン・マイ・タイム・オブ・ダイング」も大熱演だ。この曲ってゼップの中でもカヴァー難易度がかなり高い “体育会系” のナンバーだと思うのだが、このグルーヴ感溢れる演奏を聴けば彼女達がいかに気合いの入ったコピーバンドか分かるだろう。「フィジカル・グラフィティ」以外のナンバーでは⑨「ジ・オーシャン~ブリング・イット・オン・ホーム」が出色の出来。うねる様なグルーヴを生み出すことによってゼップ独特のあの空気感を上手く再現しているのだ。セクシーな美女4人組が見かけとは裏腹に野太いサウンドでゼップを豪快にカヴァーする... 何ともまぁ痛快ではないか! このノリであの難曲中の難曲「アキレス・ラスト・スタンド」を始めとして本家が「祭典の日」ライヴで取り上げなかった曲なんかもゼッパレラ流の解釈でどんどんカヴァーして聴かせてくれたら最高だろう。ゼップのDNAをしっかりと受け継いだアマゾネスの飛行船ゼッパレラ号の今後が大いに楽しみだ。
Zepparella - In My Time of Dying (Rockfest, September 8, 2012)

ZEPPARELLA performing - "BRING IT ON HOME" at the NUGGET in Sparks Nevada, Lake Tahoe Music

Live At 19 Broadway / Zepparella

2013-03-22 | Led Zeppelin
 「祭典の日」DVDが届いて来る日も来る日もゼップ漬けだった去年の暮れに YouTube でゼップ関連の映像を色々チェックしていた時のこと、たまたま関連動画の中に女性ヴォーカリストがマイクを握りしめて写っているものがあった。興味を引かれてクリックすると、白い衣装を身に纏ったレディース・バンドがゼップの「ホェン・ザ・レヴィー・ブレイクス」を演奏しており、これがもうめちゃくちゃカッコ良くて私は画面にくぎづけになってしまった。まずはコレ↓を見てほしい。
Led Zeppelin When The Levee Breaks by Zepparella


 彼女達のバンド名は “ゼッパレラ”、コピーが難しいと言われるゼップ独特のグルーヴを絶妙なタイム感覚でもってセクシーな美女4人組がものの見事に再現しているのだから驚くなと言う方が無理というものだ。威風堂々といった感じでゼップの難曲を楽々と歌いこなすヴォーカリストはブルースハープを吹く姿も中々様になっているし、ペイジばりにスライド・バーを上下させるギタリストはめっちゃ美人で色っぽい。ハッキリ言って私の好みのタイプだ(^.^) ちょっと地味なベーシストは寡黙な仕事人と言った感じでその佇まいはジョーンジーを彷彿とさせるののがある(笑) そして最もインパクトが強かったのがドラムのネーチャンで、髪を振り乱し(←闇姫の “忍法髪あらし” かよ...)小さな身体全体を躍動させながらまるでボンゾが憑依したかのような爆裂ドラミングを聴かせてくれるのだ。カメラワークも文句なしの素晴らしさでバンドのカッコ良さを見事に捉えており、最近見た中で最も衝撃的で印象に残るビデオクリップだ。
 これはエエもん見つけたわいと大コーフンしながら YouTube で彼女達の動画を片っ端から検索して見つけたのがこの「幻惑されて」だ。あれ?ヴォーカリストが違う人だ... こっちの方が新しいみたいなのでメンバーチェンジがあったんだろうか? だとしたら残念だ(>_<) 声質がゼップの曲にイマイチ合ってないし、醸し出すグルーヴ感も上記の「レヴィー・ブレイクス」のヴォーカリストとは雲泥の差があるからだ。ベーシストも「レヴィー...」とは別人だ。コピバンにも人事異動はつきものなのか。しかしそのハンデを補わんと八面六臂の活躍を見せているのが例の美人ギタリストで、何と本物ばりに弓弾きを披露(4分29秒~)、一転してアップテンポで駆け抜ける後半部(7分50秒~)でも鎖を解き放たれた犬のように奮然と疾走を開始する。美人で色っぽくてカッコイイ... これ以上何を望めばいいのだろう? ドラムのネーチャンは相変わらずの全身全霊プレイでバンドを猛プッシュ... 特に9分22秒あたりからのドラミングには鬼気迫るモノがある。ゼッパレラを支えているのは間違いなくこの二人だと確信した。
Zepparella Dazed and Confused


 すっかり彼女達に魅せられた私は早速アマゾンでCDをチェック、「Live At 19 Broadway」と「A Pleasing Pounding」という2枚のアルバムが出ているようなのだが、何とこれが2枚とも1万円を超えるニンピニン・プレミア価格(>_<)  CD1枚に1万円以上出すアホがおるんかいな? “CDは安く買ってナンボ” が信条の私は日本がダメならアメリカがあるわいと USアマゾンで検索、こちらも日本ほどではないが$50以上とか結構なお値段のものが多い。そんな中、「Live at 19 Broadway」の方に1枚だけ$16の盤を発見して即ゲット(^o^)丿 いやぁ、ネットってホンマにありがたいわ。
 届いたのは BonnyBoy Records という聞いたことも無い名前のインディーズ盤で、メディアも一見 CD-R と見間違えそうな自主制作盤っぽいものだ。レーベル面の外周には Led Zeppelin Forever と書かれており、このあたりにも彼女達のゼップ愛が感じられる。内容は2005年10月28日にサンフランシスコ近郊にあるフェアファックスという町のナイトクラブ、19 Broadway で行われたライヴをレコーディングしたもので、パーフェクトなコピーを目指したスタジオ録音の「レヴィー・ブレイクス」や「幻惑されて」とは違い、ノリ一発といった感じで突っ走るラフでアグレッシヴな演奏が楽しめる。オトコ顔負けの強烈なエネルギーの奔流が圧巻だ。以前このブログで取り上げた「レズ・ゼッペリン」もそうだが、アメリカの女性ロッカーってホンマにゼップが好きやなぁ...
Zepparella, Communication Breakdown, May 2010

Zepparella Lemon Song
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Cinnamon Ⅱ

2013-03-18 | Led Zeppelin
 ゼップ・カヴァー曲特集も一段落したので、今度はコピバン特集でいこう。ゼップぐらいの大物になるとコピー・バンドは世界中にゴマンといるだろうが、CDを出せるほどの人気・知名度を誇るバンドはそうそういない。そんな数少ない精鋭バンドの中でも私が特に気に入っているのが名古屋のエレクトリック・レディ・ランドというライヴハウスを拠点に活動しているシナモンである。
 彼らは1972年のゼップ2度目の来日公演をきっかけに “究極のゼップ・ライヴ再現バンド” を目指して結成され、かれこれ40年以上も活動している筋金入りのコピバンなのだが、何と言っても凄いのがそのマニアックなまでの拘りようだ。本家ゼップと同じ楽器・機材を使い、膨大な数のブートレッグを徹底的に聴き込んで分析・研究し、 “○年○月○日のどこそこでのライヴ・ヴァージョンで...” という感じでMCから細かいミストーンまで完全に再現しているのだから本当に恐れ入る。ここまでくるともう単なる “コピー” というよりも “芸” の域だと思うのだが、とにかく “真のゼップ・オタク” の名に恥じない気合いの入りようで、有象無象のコピバンとは激しく一線を画する存在なのだ。因みに彼らはこれまで何度もアメリカでライヴを行っており、イギリスのブートレッグ・ビートルズとのカップリング・ツアー(←想像しただけで笑えてくる...)は大ウケだったらしい。
CINNAMON - Rock And Roll @Electric Lady Land 名古屋 2009/12/12


 そういえば20年ぐらい前だったか、関西テレビで深夜にゼップの名を冠した番組をやっていて、動物園のライオンや池の魚に無理やりゼップを聴かせたり(←ラジカセを水中に沈めてた...)、ミナミの街頭でゼップのCD販促活動をやったり、食いだおれの人形をジミー・ペイジに変身させたりと、いかにも関西ローカルらしいおバカな企画満載で大笑いした記憶があるのだが、そんなカルトな番組の中でゼップの “奏法講座” みたいなコーナーを担当していたのがこのシナモンだった。確か前ドラマーのボンゾウさん(笑)だったと思うが、 “ゼップを歌う時はとりあえず「マママママ...」とか「プッシュ! プッシュ!」とかのフレーズを入れとけばそれらしく聞こえる” という趣旨のことを仰ってたのを聞いて “なるほどなぁ...” と大いに納得した記憶がある。
 コピー・バンドというのはあくまでもオリジナル・アーティストの “音” を忠実に再現することによってファンの心の隙間を埋めるためにのみ存在しているのであって、極論すれば “コピバン聴くぐらいなら本物聴くわ...” ということになる。だからたとえ地方のライヴハウスなどではそれなりにウケていても実際に CD を出せるようなケースは非常に稀だと思うのだが、シナモンは私の知る限りこれまでに6枚ものCDをリリースしている。1st がクリソツ・オリジナル、2nd と3rd がゼップ・メドレー、4thから6thまでがライヴ盤という内容で、中でも一番よく聴くのが抱腹絶倒のゼップ・メドレーが楽しめる 2nd アルバムだ。
 このCDはゼップの4枚目に倣ったのかジャケットにバンド名もタイトルも記されておらず、本家をもじった4つのシンボル(蛇、魚、バナナ、水鳥?)が描かれている。内容は約28分間にわたる怒涛のゼップ・メドレーで、サントラ盤を意識したのか(?)アタマにわざわざオーディエンスの歓声をかぶせた「ロックンロール」や間奏部で「バトル・オブ・エヴァーモア」や「ノーバディーズ・フォルト・バット・マイン」「イン・ジ・イヴニング」「ケラウズランブラ」といったゼップ曲のフラグメンツが次々と現れる「胸いっぱいの愛を」など細部に至るまで実にマニアックに作り込まれており、ゼップ・ファンなら思わずニヤリとさせられること間違いなし。曲目は以下の通りだ;
 Rock And Roll
 Living Loving Maid
 Communication Breakdown
 Whole Lotta Love
 Rock And Roll
 Out On The Tiles
 Black Dog
 Kashmir
 The Rain Song
 All My Love
 Tangerine
 The Song Remains The Same
 Rock And Roll
 The Song Remains The Same
 The Rover
 Sick Again
 Trampled Underfoot
 The Wanton Song
 Dancing Days
 Misty Mountain Hop
 Since I've Been Loving You
 I Can't Quit You Baby
 Dazed And Confused
 Communication Breakdown
 Good Times Bad Times
 Nobody's Fault But Mine
 The Ocean
 Moby Dick
 Heartbreaker
 Living Loving Maid
 Rock And Roll
 Stairway To Heaven
これら32曲が卓越したテクニックと絶妙な音楽的センスで何の違和感も感じさせることなく繋げられているのだから凄いと言う他ない。まさにゼップの曲を知り抜いた彼らだからこそ出来た珠玉のメドレーであり、ちょうど「スターズ・オン45」や「フックト・オン・クラシックス」のようなノリでゼップの名曲群を気軽に楽しめるというゼップ・ファンにはたまらない1枚なのだ。
シナモン


【おまけ】Jimmy SAKURAI氏率いるこの↓MR.JIMMY というバンドもかなり凄いです。是非生で見てみたいなぁ...
MR.JIMMY live@CROCODILE
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「ロックンロール」カヴァー特集② ~隠れ名演編~

2013-03-14 | Led Zeppelin
 「ロックンロール」カヴァー特集パート2は、名演にもかかわらず様々な理由で意外と見落とされがちな “隠れ名演編” でいってみます。

①Jerry Lee Lewis
 これはジェリー・リー・ルイスが2006年にリリースした「ラスト・マン・スタンディング」というアルバムの冒頭を飾っていたトラックで、50年代に活躍した御大ジェリー・リーがゼップの「ロックンロール」をカヴァーするだけで凄いことなのに、何と本家のジミー・ペイジがギターで共演しているというのだからこれはもう感涙モノ(≧▽≦) 大胆不敵なロカビリー・アレンジによってゼップのオリジナルが原形をとどめないぐらいデフォルメされており、まるで「ホール・ロッタ・シェイキン・ゴーイン・オン」に「ロックンロール」の歌詞を乗せた替え歌みたいに思えるぐらいジェリー・リー色に染め上げられているのだが、コレはコレで大いにアリやなぁと思えるユニークなカヴァーになっている。とても71歳とは信じられないぐらいガンガンとピアノを連打しながら全盛期と変わらない元気な歌声を聴かせるジェリー・リーは老いてますます盛んという感じだし、偉大なる先輩を立てながら嬉々としてノリノリのソロを聴かせるペイジのプレイも素晴らしい。例えるならファン・マヌエル・ファンジオがターボもアクティヴサスも知ったこっちゃないと言わんばかりにマクラーレン・ホンダやウイリアムズ・ルノーを豪快にスライドさせながらセナやマンセルとバトルを楽しんでいる、といった按配だ。それにしてもジェリー・リーに last man standing(周りがバタバタと倒れていく中、最後まで生き残った最強の男)とは付けも付けたりといえる名タイトルだ。
Jerry Lee Lewis "Rock 'n' Roll" #featuring Jimmy Page on guitar#


②Van Halen
 1986年にヴォーカルがデイヴ・リー・ロスからサミー・ヘイガーに交代してリリースしたアルバム「5150」が初の全米№1に輝き、ノリにノッていた新生ヴァン・ヘイレンのニュー・ヘイヴン公演の模様を収録したDVD「ライヴ・ウィズアウト・ア・ネット」のラストで演奏されていたのがこの「ロックンロール」だ。ゼップ屈指のハイスピード・チューンをエディー・ヴァン・ヘイレンの超絶ライトハンド奏法で聴ける幸せを何と表現しよう? そういえば彼らがあの衝撃的なデビュー・アルバムを引っさげてロック・シーンに登場した時、音楽誌では “80年代のツェッペリン” という形容詞が頻繁に使われていたし、サミーとエディーが初めて共演した「ファーム・エイド」でもこの曲が演奏されていたっけ。まぁそれはそれとして、単なる音符の羅列の速射砲に過ぎない有象無象の速弾きギタリスト連中とエディーとの決定的な違いはその歌心溢れるプレイにあり、バカッ速くてしかもメロディアスというところが天才と呼ばれる所以だろう。とにかくドライヴ感抜群のエディーのプレイで聴く「ロックンロール」は筆舌に尽くしがたい素晴らしさだ。又、地元の地名に引っ掛けて “ニュー・ヘイレン!” を連呼するサミーは早くも完全にバンドに溶け込んでおり、将来ケンカ別れすることになるとはとても思えないぐらいの一体感を感じさせるパフォーマンスで楽しませてくれる。アメリカン・ハードの王道ここにあり!と啖呵の一つも切りたくなるようなカッコイイ「ロックンロール」だ。
Van Halen-Rock and Roll (Live Without A Net-1986)


③Double Trouble
 故スティーヴィー・レイ・ヴォーンのバック・バンドを務めていたダブル・トラブルが2001年に様々なゲスト・ミュージシャンを迎えてリリースしたアルバム「ビーン・ア・ロング・タイム」に入っていたのが何とゼップの「ロックンロール」だった。盤石のリズム・セクションに加えてスーザン・テデスキの伸びのある姐さんヴォーカルとレイ・ヴォーンの直系フォロワー、ケニー・ウェイン・シェパードの火の出るような熱いギターをフィーチャーしてバリバリにカッコ良いカヴァーに仕上げている。特にケニーの骨太ギター・サウンドはまるで墓場からレイ・ヴォーンが蘇えってきたかのようで、SRVの大ファンの私としては涙ちょちょぎれるヴァージョンなのだ。
Double Trouble (ft. Susan Tedeschi) Rock And Roll


④Gotthard
 「移民の歌」の時にも取り上げた90年代で唯一のお気に入りバンド、ゴットハードが1994年にリリースしたセカンド・アルバム「ダイアル・ハード」にボートラとして収録されていたのがコレ。基本的には原曲に忠実なアレンジなのだが、その豪快でガッツ漲るノリノリ&キレキレの演奏はスリルとスピード感に溢れ、ロック不毛の90年代という時代にあって鮮烈な輝きを放っている。曲のアタマとラストに「ブラック・ドッグ」のフレーズを挿入するニクい演出はまさに技アリ!といった感じで、ゼップへの愛情が感じられる素晴らしいカヴァーになっている。「移民」といいこの曲といい、初期ゼップの曲を楽々と歌えるスティーヴ・リーのロック・ヴォーカリストとしてのポテンシャルの高さは特筆モノだ。
Gotthard - Rock & Roll (Led Zeppelin Cover)


⑤Skid Row, Scorpions, Cinderella featuring Jason Bonham
 1989年8月12、13日の2日間にわたってモスクワのレーニン・スタジアムにボンジョヴィ、モトリークルー、オジーオズボーン、スコーピオンズ、シンデレラ、スキッドロウといった錚々たる顔ぶれを集めて行われたモスクワ・ミュージック・ピース・フェスティヴァルにおいて、両日ともに最後のシメとして若き日のジェイソン・ボーナムをスペシャル・ゲストに迎えてオールスター・ジャム・セッションで演奏されたのがこの「ロックンロール」だ。モトリーのヴィンスとスキッド・ロウのバズの2人がフロントを務めている方が初日、バズとスコーピオンズのクラウスというツートップにシンデレラのトム・キーファーが絡んでいく方が2日目(←マネジメントとのトラブルからモトリーはこの日のジャムには不参加)の映像で、伸びのあるハイトーン・ヴォイスで大活躍のバズにヤクザなヴォーカルで対抗するヴィンス、そして圧倒的な声量を誇るクラウスと、ハードロック・ファンにとっては見所満載のセッションなのだが、私的には “男性版ジャニス・ジョップリン” こと、トム・キーファーのソウルフルなヴォーカルに心揺さぶられる。それにしてもこんな凄いメンツ、よう集めたなぁ...
Sebastian Bach and Motley Crue - Rock N' Roll #Live in Moscow, Russia, 12.08.1989# -

Sebastian Bach and Scorpions - Rock N' Roll #Live in Moscow, Russia, 13.08.1989# -


【おまけ】久々の素人さんシリーズですが、とても5歳児とは思えない豪快なドラミングに驚かされます(゜o゜)
Rock and Roll (Led Zeppelin) Ethan 5 years old

「ロックンロール」カヴァー特集① ~女性ヴォーカル編~

2013-03-10 | Led Zeppelin
 ゼップのカヴァー特集第5弾はハードロック史に燦然と輝く不朽の名曲「ロックンロール」、まずはパート1として女性ヴォーカル編からいってみます。

①Sheryl Crow
 2003年に彼女の故郷であるオハイオ州デイトンで行われたライヴの模様を収めたDVD「カモン・アメリカ2003」のラストを飾っていたナンバーがこの「ロックンロール」だ。シェリル・クロウというと1993年のデビュー・アルバム「チューズデイ・ナイト・ミュージック・クラブ」しか持っておらず、ヒット・シングルの「オール・アイ・ウォナ・ドゥー」に代表されるリラクセイションに満ちたグルーヴィーなサウンドというイメージが強かったので、YouTubeで「ロックンロール」のカヴァーを探していてコレを見つけた時は “あのシェリル・クロウがゼップをカヴァーしてるんか?” と狐につままれたような感じだったが、実際に映像を見てみるとコレがもう我が目を疑うくらいの圧倒的なパフォーマンスでビックリ... USAな衣装を身に纏い、裸足でグランドピアノの上に飛び乗って身体をくねらせながらオーディエンスを煽りまくる姿がめちゃくちゃカッコ良く、ロックに不可欠なエネルギーとスピード感がビンビン伝わってくる。とにかく熱いのだ。ゼップ・ファンならギタリストを左右対称に映し出す粋な映像処理にもニヤリとさせられるだろう。
Sheryl Crow " Rock And Roll " #High Quality#


②Stevie Nicks
 シェリル・クロウのゼップ・カヴァーにもビックリしたが、ある意味それ以上に衝撃的だったのがフリートウッド・マックの “妖精” スティーヴィー・ニックスが歌う「ロックンロール」だ。この曲が入っている彼女のオールタイム・ベスト盤「クリスタル・ヴィジョンズ」に付いていた彼女のライナーノーツには、ゼップは彼女のカレッジ時代からの超お気に入りロック・バンドだったこと、ずっとこの曲をレコーディングしたかったが周りから “絶対に無理” と言われて余計にこの曲を歌いたいと思うようになったこと、2006年のモントルー・ジャズ・フェスティヴァルでシックのナイル・ロジャースとこの曲を演ってステージ袖で聴いていたロバート・プラントに褒められたのが生涯最高の想い出の一つになったことなど、興味深いエピソードがが綴られている。下に貼り付けたのは2007年のライヴ映像だが、ややぽっちゃり体型になったもののドスの効いたべらんめぇヴォーカルは相変わらず健在で、その溌剌とした歌いっぷりはとても還暦目前(!)とは思えないくらいエネルギーに満ち溢れている。
Stevie Nicks - Rock and Roll


③Heart
 ゼップのカヴァー特集で最多出場を誇るハートだが、私が初めて聴いたハートのゼップ・カヴァーが「グレイテスト・ヒッツ・ライヴ」に入っていたこの「ロックンロール」だった。アルバム収録ヴァージョンは1980年のシアトルでのライヴの時のもので、まだ巨大化してヒグマみたいな体型になる前の、若かりし頃のアン・ウィルソンの突き抜けるようなハイトーン・ヴォイスが炸裂! まさに怖いモノ無しといった感じで疾走するウィルソン姉妹の姿は理屈抜きのカッコ良さに溢れている。尚、このアルバムにはもう1曲、ビートルズの「アイム・ダウン~ロング・トール・サリー」のメドレーがライヴ・ヴァージョンで収められており、そちらもハートの魅力満載の素晴らしいカヴァーに仕上がっている。
Heart Rock'n Roll 1982

Heart - I'm Down/ Long Tall Sally (Live)


④SHOW-YA
 アンとナンシーのウィルソン姉妹率いるハートがアメリカの “女版ゼップ” なら、日本のカウンターパートはこの SHOW-YA だろう。ライヴのオープニングSEに「移民の歌」を好んで使っていることからも分かるように、彼女達はゼップの遺伝子を受け継ぐ正統派ガールズ・ロック・バンドだ。ロスのロキシー・シアターでのライヴの模様を収めた「ディスタンス・オン・ゼア・ウェイ -1990 イン LA-」という DVD に入っているこの曲でもパンチの効いた寺田恵子のヴォーカルが楽しめて言うことナシ(^.^)  バンドが一体となって全力で突っ走る様は痛快そのものだ。
SHOW-YA ROCK'N ROLL


⑤Lita Ford
 これは“70年代ロックを80年代ロック・ミュージシャンによって90年代に蘇らせよう” というコンセプトの下、80年代にホワイト・スネイクやキングダム・カムといった “歌モノ・ハードロック” のプロデューサーとして名を馳せたキース・オルセンが中心となって作り上げた日本企画によるゼップ・トリビュート盤「ステアウェイ・トゥ・ヘヴン」(1997)に入っていたもので、元ランナウェイズのギタリスト、リタ・フォードがオリジナルに忠実なアレンジで活きの良いヴォーカルを聴かせてくれる。ドラムの音が少々軽いのが玉にキズだが、リタとティム・ピアースのツイン・ギターは聴き応え十分だ。
Lita Ford - Rock and Roll (Led Zeppelin cover)

Rock And Roll / 桃姫BAND

2013-03-06 | Led Zeppelin
 少し前のことになるが、YouTubeでパープルの「ハイウェイ・スター」のカヴァーを色々探していた時に偶然見つけた “Momohime BAND” というのがめっちゃ気に入り、 “桃姫バンドっていかにもインディーズっぽいバンド名やけど、聞いたことないなぁ...” と思いながらネットで調べてみてビックリ... 何とあの尾崎亜美の覆面バンドではないか! しかも元ミカ・バンドの小原礼を始めとして錚々たる顔ぶれのミュージシャンたちを従えて60~70年代の洋楽ロックの名曲をカヴァーしているのだからこれはエライコッチャである。
 尾崎亜美といえば私がまだ中学生の頃に資生堂のCM(←小林麻美、タマランなぁ...)で流行った「マイ・ピュア・レディー」が大好きで、当時買ったLPは今でも大切に持っている。あの頃は確か “ポスト・ユーミン的な女性シンガー” という位置付けだったように思うが、このライト感覚のポップな歌謡ボッサを聴けばとてもじゃないが彼女がパープルやゼップを歌う姿なんて想像すら出来ないだろう。
資生堂 マイピュアレディ 高画質


 しかしそんな彼女がそれから約15年経った1992年に全曲洋楽ロックのカヴァーというアルバム「初陣」を制作、そしてそのラストを飾っていたのが何とゼップの⑨「ロックンロール」だったのだ。ボンゾがリトル・リチャードの「キープ・ア・ノッキン」にインスパイアされて出来たという例のドラムのイントロ部分はちょっとアレだが、唸りを上げるギターをバックに “これがあの尾崎亜美なのか?” と驚くぐらいワイルドでカッコ良いヴォーカルを聴かせてくれる亜美タンに驚愕させられる。いや、これホンマに凄いです(≧▽≦)
Rock And Roll

こちら↓はTV番組で小原礼&奥田民生と共演した時の貴重な映像。和服姿でゼップを歌うか...(^.^)
Led Zeppelin - Rock and Roll Vocal,Ami Ozaki Bass,Ray Ohara Guitar,Tamio Okuda


 このアルバムを知るきっかけとなった③「ハイウェイ・スター」のカヴァーもめちゃくちゃカッコイイ(^o^)丿 ジョン・ロードを想わせるイントロのオルガン・パートからもう一気にアクセル全開という感じで高いテンションを保ちながら一気呵成に突っ走る。彼女の歌声はとにかく迫力満点で、あのジャニス・ジョップリンを彷彿とさせるバリバリのロック・ヴォーカルだ。しかもただシャウトするだけでなく豊かな表現力で原曲の魅力を巧く引き出しているところが素晴らしい。
Momohime BAND - Highway Star


 ステッペン・ウルフの②「ボーン・トゥ・ビー・ワイルド」はファンキーなアレンジが実に新鮮でエエ感じ。後半部では小原礼との夫婦デュエットも聴けるという至れり尽くせりのナンバーだ。ジェファソン・エアプレインの⑤「サムバディ・トゥ・ラヴ」やドナ・サマーの⑦「ホット・スタッフ」でも変幻自在といった感じでグルーヴィーなヴォーカルが炸裂、尾崎亜美のシンガーとしての魅力ここに極まれり、と言いたくなるようなキラー・チューンが満載だ。
 この前取り上げた大橋純子盤もそうだが、大好きな70's洋楽ロックのカヴァー・ヴァージョン探しを通して1枚また1枚と愛聴盤が増えていくのがとにかく楽しい。洋邦問わず、ワケのわからん音楽だらけの新譜を聴こうという気はサラサラないが、古い音源の中からこういう素敵な盤との出会いがあるからまだまだ音楽ファンはやめられませんな...(^.^)
Born To Be Wild

Somebody To Love

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「移民の歌」カヴァー特集

2013-03-03 | Led Zeppelin
 3月になってもゼップ祭りはまだまだ続きまっせー(笑) ということで「天国への階段」「カシミール」「ブラック・ドッグ」に続くカヴァー特集第4弾は「移民の歌」です。

①Karen O
 これは先日 moondreams さんに教えていただいた映画「ドラゴン・タトゥーの女」のオープニングを飾っていたカレンOが歌う「移民の歌」カヴァーだ。私は任侠モノ以外の映画にはからきし疎くその存在すら全く知らなかったのだが、YouTube で初めて聴いてめちゃくちゃ気に入ったので早速このブログで取り上げることにした。moondreams さん、ありがとうございます!
 この曲のキモは一気呵成に突っ走るその圧倒的なスピード感に尽きると思うのだが、カレンOのこのカヴァーは卓越した映像処理との相乗効果もあって観る者の目を画面に釘付けにすること間違いなしで、この曲を使ったティーザー予告編も映画のオープニング・タイトルもそれ自体で完結したミュージック・ビデオとして十分通用する逸品に仕上がっているところが凄い。ただ、トレント・レズナー&アティカス・ロス名義の3枚組サントラ盤はこの「移民の歌」以外のトラックはいかにもサントラといった感じの全くワケの分からん代物ばかりなので、ロック・ファンはこの曲のみをmp3でダウンロードするだけで十分だと思う。
『ドラゴン・タトゥーの女』予告編

The Girl with the Dragon Tattoo - Immigrant Song (Title Sequence) [HQ]


②Gotthard
 私は好き嫌いが非常にハッキリしていて、陰々滅々とした90年代ロックを “聴くに値しないもの” として蛇蝎の如く嫌っているのだが、ゼップの「移民の歌」カヴァー繋がりで出会ったこのゴットハードというスイスのハードロック・バンドは例外中の例外で、そのバリバリにハードでありながら歌心を忘れないキャッチーなサウンドは私の嗜好のスイート・スポットをビンビン直撃してくる。後から知ったのだが、このバンドにエイジアの2代目ギタリスト、マンディー・メイヤーが一時期在籍していたのにもビックリ(・o・) やっぱり80年代の薫りのするメロディアスなハードロックはエエなぁ...(^o^)丿
 彼らの「移民の歌」カヴァーは1996年の3rdアルバム「G」のボートラでも聴けるが、下に貼り付けたのは2005年のチューリッヒでのライヴの模様を収めたDVD「メイド・イン・スイッツァランド」からのもので、その圧倒的なステージ・パフォーマンスはハードロック・ファン必見の素晴らしさ。好きなバンドのカヴァー・ヴァージョン探しの中で新たなお気に入りバンドを見つけれてラッキーだ。
Gotthard - Immigrant Song (Live - Made In Switzerland)


③王様
 前回の「黒い犬」に続いて又々王様である。今回も “船を漕いだ~ オールを漕いだ~♪” とオリジナルに忠実な直訳ロックで大いに笑わせてくれるのだが、個人的にめっちゃツボだったのが要所要所で炸裂する “ハイ!” という合いの手(←アンタは吉幾三か...)だ。後半部の “ヨイショ、ヨイショ...” という掛け声にもクソワロタ(^o^)丿 サウンドが少々薄っぺらくて軽いのが玉にキズだが、ゼップのスタジオ・テイクにはなかったギター・ソロを挿入したライヴ感溢れるアレンジは秀逸。尚、この曲は以前取り上げた「鉛の飛行船伝説」ではなく、オリジナル・アルバム未収録曲として初期のベスト盤「王様の恩返し」に入っているのでマニアは要注意だ。
王様 - 移民の歌


④Ann Wilson
 この曲のカヴァーは原曲に忠実にアップテンポで演奏されるケースがほとんどだが、それじゃあ当たり前すぎて面白くないとばかりに(?)前代未聞のスローテンポでこの曲に挑んだのがゼップを知り尽くしたアン・ウィルソン姐御である。2007年にリリースされた彼女のソロ・アルバム「ホープ&グローリー」の中で一番衝撃的だったのがこの重厚なゼップ・カヴァーで、何よりもまず原曲の後半部から、しかもアカペラでスタートするという大胆不敵なアレンジに意表を突かれる(゜o゜)  凡百のヴォーカリストなら間が持たないであろうスローテンポでも聴かせてしまうのはパワフルで説得力抜群なアンの歌唱の恐るべき吸引力ゆえだろう。黒い衣装に身を包んだアン・ウィルソンって、なんか中世の魔女みたいな妖しい雰囲気やなぁ...
Heart - Inmigrant Song - 2007


⑤Great White
 グレイト・ホワイトの「移民の歌」は全曲ゼップ・カヴァーで固めた1999年リリースのライヴ・アルバム「グレイト・ゼッペリン」収録のヴァージョンが最高だが、「リカバリー・ライヴ」(←米英日でそれぞれ収録曲が異なるので要注意!)に入っていた1986年のスタジオ録音テイクも捨て難い。本家プラントが1973年に喉の手術をして超絶ハイトーンを出せなくなって以降、最もオリジナルに近い金属的なヴォーカルを再現しているのがグレイト・ホワイトのジャック・ラッセルだと思う。それにしても彼らのゼップ・カヴァーの本気度はハンパないなぁ... (≧▽≦)
Great White - Immigrant Song