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津々堂のたわごと日録

爺様のたわごとは果たして世の中で通用するのか?

■再び・・佐分利越人を考える

2023-03-16 13:04:15 | 人物

 先の「■熊本の文学界はどう考えているのか・・佐分利越人という人物」について、ある方から「肥後先哲遺蹟」にある記述の内、どちらが佐分利七兵衛で、どちらが「越人」なのか、どう考えるのかとのお問い合わせをいただいた。
そう言われるとまことに困ってしまうが、好古類纂にある次の文章あたりが話を可笑しくしているのではないかと思っている。

   越智越人(ここでは佐分利氏とはしていない)、通称平次郎、眉山子と號す、肥後熊本の士にして、佐分利流槍術家なり、
   禄五百石を食せし、細川公の近習たりしが、好色の癖ありて、吉原遊女を家に迎へ、之が為に改易せられ、徒弟の知行所、
   尾州知多に移住す、やゝありて、名古屋桑名町に染工の業を創め、菱屋重蔵と称す、後赦されて國に歸り、其主越中守の名
   を憚り、越人を改めて蕗磧と號し、芭蕉に従ひ俳句を能くす、芭蕉其女色に溺るゝを見て、終らざるを憐み、曾て行脚の句
   ありしも、疎んして其家に寄食せず、越人之を後悔し、羨まし思ひ切る時猫の戀の句あり、芭蕉其慙愧を嘉し、後の選集に
   此句を加へしと云、元禄十五年三月十四日歿す、著す所不猫蛇蕉門正風仰説録あり、

 肥後先哲遺蹟の「佐分利越人」の項に先祖附の要約が記載されているが、その最末尾に「諸家先祖附佐分利家記には、越人の通穪七兵衛とあり、俳諧集好古類纂には平次郎なり、美濃に寓居せし比平次郎と穪せしものか、未確認を得す、且類纂に、越人の失行によりて改易せらるとあれとも、養父平大夫暇を賜はりしものなり。」とあり、種々の情報が交錯していることをうかがわせる。
佐分利七兵衛は養子であり、実は島又左衛門(重次、1,000石・御鉄炮廿挺頭)
の三男である。
養父である兵大夫長成(500石・御鉄炮廿挺頭)が寛文11年(1672)に御暇となって居り、七兵衛(ここでは平次郎)が改易されたとの事実は存在しない。
養父兵大夫が御暇後、七兵衛は実方の兄で旗本の島角左衛門の領地である、美濃国に七年間過ごしたのは事実であり、元禄四年(1691)十月に帰参を仰せ付けられているから、美濃国に赴いたのは天和三年(1683)の頃だと思われる。
こう見ていくと、「うらやまし猫の恋」の著者・吉田美和子氏作成の略年表とは大いに齟齬がある事は一目瞭然である。
何故このようになったのか。久武綺石(文化二年歿)の墓石に刻まれた次文章
「俳諧者滑稽之流也、而其始也戯謔而也、及芭蕉翁同其體栽、而燮風旨、然後言近而指遠者有焉、謂之正風、吾藩佐分利越人、嘗出居濃洲、學於蕉門、及其後歸也、職事鞅掌、不暇傳人、正風自綺石子云」も果たして正しいのかという疑問さえ生じる。

我が藩に果たして「佐分利越人」という存在認められるのか?、越人だとする佐分利七兵衛は俳人であったのか?何もかもが疑問に思えてしまう。
先ずは図書館に出かけて、先祖附を取得してみようと思う。

 

 

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■三斎死去後の三斎領についての一つの風聞

2023-03-16 07:38:11 | 先祖附

 三齋の死(正保2年12月2日)後の八代隠居領について光尚は、正保三年五月の時点では分家の宮松(細川立孝の嫡男)に三万石を内分し宇土に置くことを幕府に申し入れている。
三月の時点での八代の動静を藩庁に報告した報告書(丹羽亀之允言上之覚)のなかに次のような一文がある。
こういう噂が流れているが、どこから出た話なのだろうか?

宮松に三万石を内分することは既に決まっているとしているとしているのは興味深い。

    (正保三年)三月十六日、藤崎作左衛門宛書状(抜粋)

   此表(八代)侍衆■二而取沙汰候ハ公儀御年寄衆様へ可被遊御談合与被成御意候ハ
   三齋様御領分ハ松助様と中無殿御息女と御縁辺被仰合松助様へ三万五千石可被進と
   可分置御談合候 宮松殿ニ者三万石被進候二相究可申由ニ御座候

 この文中に登場する「松助様」とは、光尚の弟・尚房のことだが、尚房に中無(=中務 立允・立孝)の息女を娶わせて三万五千石を与えようというのである。中務の息女とは鶴姫(長命)しかいない。尚房が寛永十四年生まれ(当時九歳)、鶴姫は寛永十八年生まれ(当時五歳)である。結果としてこの話はまとまっていない。
尚房に20,000石が内分されるのは、兄・光尚が亡くなり、綱利が遺領相続した後の寛文五年に至ってからのことである。長岡佐渡寄之(忠興六男)女・万と結婚した。

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