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アリの一言 

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「共闘」で「安保法制廃止」を棚上げした日本共産党の言行不一致

2025年06月28日 | 日本共産党
 

 日本共産党の田村智子委員長は19日、立憲民主党の野田佳彦代表と会談し、参院選の1人区で候補者調整を行うことで合意しました。「田村氏は記者団に「共闘の意思の確認。そして政策の一致について、党首会談で合意できたことは非常に大きな意義がある」と説明」(20日付朝日新聞デジタル、写真左)しました。

 ではどのような「政策の一致」があったのでしょうか。共産党機関紙「しんぶん赤旗」はこう報じています。

<選挙で連携するための政策について、野田氏は、先日の市民連合(安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合)による各党への政策要望を「重く受け止めている。これが連携の基礎である」と述べました。田村氏は、市民連合の政策の中でも、▽市民生活を犠牲にする大軍拡を認めない▽消費税の減税、インボイスの廃止▽企業・団体献金の禁止―の3点が大事ではないかと述べ、野田氏も「非常に大切な政策と考えている」と述べました。
 さらに、安保法制について野田氏は、「違憲部分の廃止は貫いていく」と述べました。田村氏は「非常に大切な政策の合意ができた」とのべました。>(20日付しんぶん赤旗)

 ここには重大な2つの問題があります。

 第1に、田村氏は「大軍拡を認めない」すなわち軍事費を大幅に削減することについても、あたかも野田氏と一致したかのように述べていますが、立民が先日発表した「参院選政策」にはそのような政策はありません。そもそも日米軍事同盟=安保条約を積極的に支持する立民が軍事費の大幅削減に同意することは考えられません。

 共産党と立民の「政策合意」に「大軍拡反対」が含まれているかのように述べるのは事実を偽るものです。

 第2に、こちらは偽りようがない事実ですが、両党の「政策合意」には「安保法制廃止」が含まれていないことです。

 しんぶん赤旗の記事によっても、野田氏は「違憲部分の廃止は貫いていく」と述べているにすぎません。これは立民の年来の主張ですが、「違憲部分(どこが違憲部分かも明確にされていませんが)の廃止」と「安保法制の廃止」が似て非なるもの、本質的にまったく異なるものであることは言うまでもありません。

 「違憲部分の廃止」論は「安保法制廃止」論ではなく、一部修正(仮にそれが実行されたとしても)の「安保法制存続」論です。それを田村氏は「非常に大切な政策の合意」と絶賛したのです。

 ここで想起すべきは、昨年9月30日開かれた共産党第3回中央委員会総会(3中総)における田村氏の幹部会報告です。田村氏はこう述べました

「市民と野党の共闘は、安倍政権による集団的自衛権行使容認と安保法制の強行を、立憲主義の破壊として批判し、安保法制を廃止し立憲主義を回復することを、共闘の「一丁目一番地」に一貫してすえてきました」(24年10月1日付しんぶん赤旗)

 「安保法制廃止」は「野党共闘」の「一丁目一番地」だと強調したのです。3中総で決定したその基本方針を、いたいいつどのような議論を経て変更(放棄)したのでしょうか。

 3中総の幹部会報告が報じられた際も、共産党が「共闘」で「安保法制廃止」を貫いてきたというのはウソだと指摘しました(24年10月4日のブログ参照)。それまでの経過を偽った幹部会報告を行い、いままたその言明に反して「安保法制廃止」を棚上げした「共闘」を行おうとしている。これが二枚舌でなくてなんでしょうか。

 日本共産党は政策的に右転換を続けるだけでなく、政党として最低限求められる言行一致の誠実さをも放棄していると言わざるをえません。

 野田氏が「連携の基礎である」と述べている「市民連合」の「政策要望」についても一言します。

 市民連合は6月10日に共産党へ(写真右=市民連合HPより)、同12日に立民へ同じ内容の「野党共通政策の要請」を行いました。
 その「要請書」の3つ大項目14の小項目の中に、「安保法制廃止」はおろか「安保法制」の言葉すら1つもありません。いったいどういうことでしょうか(立民への忖度としか思えませんが)。

 その名称を「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」としている通り、「市民連合」にとって「安保法制廃止」は「一丁目一番地」どころか会そのものと言って過言ではありません。にもかかわらず「野党共通政策の要請」に「安保法制廃止」を入れないのは、会としての存在意義が根本的に問われる自殺行為と言わざるをえません。

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