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里芋の水田栽培

2014-01-16 04:52:36 | 自給


牟礼のリンゴ畑 10号。リンゴが実る頃、何度か長野に描きに行った。リンゴの成る姿はとても魅力がある。春日部先生と最後に写生旅行にいったのも牟礼だった。あのときには肺気腫がもうかなり重度であった。それでも、たばこを吸いながら絵を描いていた。





里芋の水田栽培で収量が2倍から3倍になるということが、鹿児島大の岩井純夫教授(園芸学)の発表があった。鹿児島大学には昔は暖地農業の学科があった。高校生の頃に熱帯の農業という名前にあこがれを持った。農学部には当時も興味があったようだ。里芋は南方では主食である。タロイモと呼ばれる。広くいえば里芋はタロイモの一種である。中国のスーパーでは様々な里芋が売られていた。里の芋と呼ぶところが、山芋との関係である。そもそも縄文時代から、山芋は普通に食べられていたはずだ。人間の暮らしと芋の関係は歴史が深い。南の地方からタロイモを携えた人がやってきたのだろう。お米が来る前の時代のことだ。沖縄では沖縄芋という水田栽培の里芋が古くから作られている。焼き畑などで、タロイモを作るということは、ニューギニアの高地でも行われていると、子供の頃本田勝一の新聞の連載で読んだ。行ってみたいものだと胸高鳴らせたものだ。私の自給自足の夢は、あの頃植え付けられたのかもしれない。

里芋は作りやすいということが、一番の特徴である。有機農業を始めてやる人は、先ず里芋からやるといいと言われるほどだ。水分があり、日当たりさえ良ければ、植えて置けば何もしないでも出来る。毎年、そのままにしておいても再生してくる。本当に強い作物である。タロイモにも様々な品種があるようで、でんぷんを取る品種もある。毒性があるとか、アクが強いとか、何か理由があるのだろう。日本にはいったのは、縄文時代ではないかと思う。間違いなくお米より前のことだ。しかし、タロイモは日本人の主食には成らなかった。それは、日本が里芋の北限であるからだ。フィリピンあたりであれば、一年中生産できる。ところが日本では、夏作に限られる。保存性も良くないから、主食には成りえなかったのだ。しかし、里の芋として大切に食べられてきた。お祝い事には必ず使われる芋である。中国ではお月見は里芋のお祭りとされている。日本でも15夜のお月見には必ず里芋が供えられる。古くは、米粉の団子ではなく、里芋をつぶして作ったお団子が飾られたと想像している。

水がある方が里芋が良く出来るというのは、鹿児島大学の研究を待つまでもなく、百姓なら誰でもいうことである。「里芋は、お日さんと水だ。」と言われる。桑原のメダカの沖津さんは、たけのこイモを上手に作られる。その子芋をたくさんもらい、私も作っている。これがまた味が良い。私はタケノコいもの子芋が一番好きなのだが、人によって好みが違う。最近はセレベスが好きだという人が多い。たぶんフィリピンの里芋品種なのだろう。私が子芋好きなのは、子供の頃のおやつだったからだと思う。庭にムシロを敷いて、子芋を蒸かして食べる。ただ塩を付けて食べるのだが、こんなにおいしいものはないと思っていた。親芋を煮て食べてもさして好きではなかったのだ。イズルが好きだからと言って、わざわざ里芋を作ってくれていた、お婆さんの味だ。しかし、向昌院は石だらけの、あまり水気のない土地で、里芋は作りにくいところだった。ところがそういう場所の方が美味しいのだと言っていた。果たして水田の里芋の味はどうだろう。

欠ノ上では岩本さんが、柿の木の下に里芋を作ってくれた。ここはいつも湿った土地である。柿の木の下の日陰なのに、葉を延ばすと人間の背丈より大きくなったから、2メートルはあったのではないか。像の耳と呼ばれる理由も分る。サツマイモも、トウモロコシも良く出来なかった。水気で里芋に向いているといういことは確かだ。昔は田んぼだった場所だから、水がどうしても入ってしまう。柿の木には良くない場所だと思うが、里芋にはいい。光が足りなくても、水があればよく出来るという作物のようだ。もう一つありがたいのは、草負けしないということだ。大抵の草と競争しても勝つ。叢生栽培が出来る。今年は、何種類かの里芋を植えて、味比べをしてみたいと思う。冬の間に、鶏フン堆肥を蒔いて、耕しておきたい。暖かくなって、田んぼの頃にもう一度やれば、良い畑になるはずだ。

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2 コメント

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里芋の可能性 (やまかく)
2014-01-16 20:35:16
これからの時代、お金も技術も体力も時間も無い人が新規に自給農業を始めることを前提に考える必要があると思います。施設、機械、技術、手間が要らない、場所もあまり選ばない作物が、強く望まれます。とすれば、里芋は、この条件に当てはまる、大きな可能性を持つ作物と言えるのでしょうか。
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里芋の可能性 (笹村 出)
2014-01-17 05:12:25
里芋は有機農業で、誰にでも出来ます。
体力もさしていりません。
施設、機械、技術、手間が要らない、場所は日向。
問題は、保存法ですね。畑に埋めて置くのですが、
これが案外に難しい。冬を越すには、いも穴を作る必要がある。
いも穴の工夫でしょうか。
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