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石垣島ユニマットリゾートの問題点

2021-11-01 04:03:48 | 石垣島


 石垣島の自然が多様で魅力的なものである原因は豊かな水にある。豊かな水ではあるが、石垣島には島の許容量と言える利用できる水の限界量がある。その限度を越えて仕舞えば、自然のバランスが崩れてくる。水が不足すれば人が住めない島になってしまう。

 水が足りなくなって無理に海水を淡水化でもして暮らそうというのは、石油でも出なければ無理なことだ。石垣島は幸いなことにわずかづつ人口が増加している。定住人口の増加が最優先されるべきでは無いだろうか。その為には、将来計画を考える上で、水の利用限界も見定めなければならない。

 今石垣島では第二次観光計画が立てられているが、この一番重要な点は水の許容量である。石垣島では何人ぐらいまでの人が暮らす事ができて、観光客の受け入れはどのくらいが限界になるかを、総合的に判断しなければ観光のの将来像は作れないはずだ。

 石垣島の現状では良く節水の呼びかけが行われている。その時に新聞にあるダムの水量を見ると、98%とかある。ダムの水が少ないわけでも無いにもかかわらず、市の広報車が節水を呼びかけて巡り歩く。ダムは5カ所あり、たぶん限度一杯に作られている。まだいくらでもダムが造れるというような意見もあるようだが、ダムの建設の可能性も調査対象にした方が良い。

 現在の定住人口は約5万人であるが、加えて住民票の無い、長期滞在の居住者もいるように感じる。実質の定住人口は上限として6万人くらいを計画しなければならないのだろうか。今よりも20%ほど多くの生活水が必要になると言うことになる。これだけでも足りるのかどうか心配になってくる。

 その上に、年間百万人という観光客がやって来る島なのだ。将来計画としては、150万人ぐらいが目標になるのだろう。一般に観光は水を大量に必要とするものだ。石垣島の水利用の限界がどこにあるのかは考えて置いた方がいいはずである。例えばプールのあるリゾートは出来ないとか。

 石垣市行政は石垣島全島の水資源の調査をする必要があるのではないだろうか。特に地下水の状態については、宮古島で行われたような詳しい専門家の調査が必要と思われる。それを踏まえた石垣島の将来計画が立てられるべきだだろう。

 現状では観光リゾート計画が目白押しである。島の水資源の限界をこえていないかとても心配になっている。今節水の広報車が回ると言うことは、誰が考えてもそうは余裕がないと言うことだけは間違い無いことだろう。だから、これから作るリゾートはホテルであれ、住宅開発であれ、水をどう確保するかが重要な課題になる。

 今、計画されているユニマットのゴルフリゾートは一日1050トンの水を利用する計画である。そのうち、100トンは石垣市の上水から供給すると市長が勝手に約束したらしい。市民に節水を要請しながら、そんな余裕があるとも思えないのだが、議会で審議されることも無く、水の供給を勝手に約束したのかと思う。

 しかもその100トンは飲料水向けなのだろうか。ホテルであれば、一部屋当たり1トンなら、100部屋分なのか。施設 はホテル 7 棟 レジデンス 1 棟 ヴィラ棟 28 棟 戸建ヴィラ 52 棟 とある。100トンでは飲料水だけでも足りないだろう。

 それが行政の提供する水道水の上限なのだろうか。なし崩し的に水道水の提供がされることにならないか。雨が降らなくなれば地下水は汲み上げられなくなる。その時には市の約束の100トンはそのまま守られるのだろうか。ゴルフリゾートが閉鎖になったとしても水は絶対に上げないと言えるだろうか。

 もちろんユニマットのゴルフリゾートの水は100トンではとうてい足りない。まだ950トン必要なのだ。ここには飲料水も含まれているとみなければならない。そこで足りない水は地下水から汲み上げるというのだ。そんな地下水がどこにあるのか私には不安である。

 そんな環境アセスはデタラメなものに違いない。あり得ない水の量を汲み上げる計画が記載されている。だいたい環境アセスというのは、いい加減すぎる場合が良くあるものだ。実態など反映もしていないと考えた方が良いこともある。今回のアセスも、どうやってリゾートホテルを作れるかが、前提にされたような環境アセスメントである。

 このまま計画が実行された結果どうなるかである。建設されたゴルフリゾートは、限界まで水を汲み上げることになることだけは間違いが無い。当然のことだが、地下水がだんだん塩水化してくるに違いない。二カ所の汲み上げ井戸らしいが、海に近い汲み上げ井戸の場所なのだから、限界を超えて水を汲み上げて行けば、数年を待たずに一帯が塩水化する。

 将来はゴルフリゾートの下に広がる畑や水田地帯や名蔵アンパルの大切な自然環境も変えることになることになるに違いない。環境や農業を大切にするのであれば、やってはいけない地下水の大量汲み上げである。石垣島の将来にとって一番大切な環境が崩れ始めることになる。

 問題はさらにその前に起こるだろうと見ている。前勢岳の北斜面一帯がゴルフリゾートである。当然ゴルフ場に降った雨が、浸透し地下水になる前提である。それ以外の水の供給源はすくない。となれば、その浸透水はゴルフ場の除草剤のすべてを、集めて利用されることになるだろう。グリホサート系の除草剤ラウンドアップが普通は使われることになるのか。

 除草剤ラウンドアップは土壌に浸透した場合、3週間で効果は半減するという。その間に地下水に入ることは充分に考えられる。国として禁止を決めたのは、ルクセンブルク、ドイツ、オーストリア、チェコ、フランス、マルタ、メキシコ、フィジー、トーゴ、フランスなど。 規制など禁止へと向かっているのは、イタリア、タイ、ベトナム、コロンビア 。日本では安全な農薬とされて、どこでも誰でも購入できる。

 農地では無いゴルフ場では安全性が軽減されて、さらに強烈な除草剤を使用できる。たちまちに地下水汚染になるに違いない。私なら、そんなゴルフリゾートに泊まっても、食事は食べない。水はもちろん飲まない。そんな水を飲み続ければ、おかしな病気になるに違いない。そうした井戸水で身体を損なった人を私は実際に知っている。

 島の水資源をまず調査することから始めなければならない。今の人の暮らしは水を大量に必要としている。まして観光客はふんだんに水を使う。プールで泳ぐ訳だ。石垣島にも沢山のダムがある。これからも貯水のタンクを作る計画があるらしい。そうして貴重な水を貯めたとして、一帯どのくらいの量があるのかを調査するのが、すべての計画の前提である。

 リゾートホテルよりも田んぼの方が、環境のためには大切なことなのだ。田んぼはラムサール条約では、湿地として扱われる可能性がある。田んぼに使われた水は田んぼに溜められ、地下水の涵養にもなる。観光は平和で美しい石垣島があってこそのことなのだ。当たり前すぎることだ。

 
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