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96条改定派の学者

2013-05-24 04:41:33 | Peace Cafe
96条の改定は、政治の都合だけの主張だと考えていた。まさか憲法学者にそういう考えの人がいるとは思っていなかった。ところが驚いたことに居たのだ。京都大学の憲法学の大石教授は96条の3分の2要件を過半数に変えることに、賛成だそうだ。理由は、「国民に憲法を問うことはいいことだ」が理由らしい。これが学問の結論かと思うと、まともな憲法学者とは思えないのだが。もっとちゃんとした法理論が必要である。弁護士であった橋下氏も、96条改定賛成を主張している。法の精神というものは、そんなご都合のものであろうか。悪法も法なりというソクラテスは法を重く見すぎか。少し反省もした。探してみたら、高崎経済大学・八木秀次教授も同様の意見だそうだ。しかし、この人の場合さらに驚いたことは、改憲の必要性がたくさんあるので、96条をまずは変えたいという実務的な考えである。変えるべき問題があるなら、正面からその問題を議論するのが学者ではないだろうか。

憲法が改定が3分の2の発議が良い理由は、日本という社会の状況にある。国民の意見が国の基本に対し、大きく分かれているからである。軍隊を持った方がいいという人と、軍隊を持つべきではないという正反対の考えの人に分かれているからである。現状では、自衛隊ぐらいがいいという人が多数派か。しかし、憲法で持つことはできなくなっている。そこで、憲法解釈論で、自衛のための軍隊である自衛隊は合憲であるという、無理のある解釈でここまでやってきた。それが、日本の戦後の経済成長の大きな要因であったと考えて間違えがない。軍事費があまり要らなかった。もう一つは、日本の再軍備を不安視していた、世界中から、受け入れてもらうことが出来た。このあたりがあって、日本は、軍事力ではなく、経済力で世界での地位を確保しようと頑張ることになる。この間も、当然再軍備すべきという勢力は存在したが、少数派であった。これほど国論の割れている先進国はない。だから、憲法改定は出来なかったし、簡単にすべきではない。

憲法9条のもつ、理想主義と現実社会の矛盾に国民全体が向き合う必要はある。その意味でまず憲法を十分に読み、議論することは必要なことだ。ところが、驚いたことに、9条を議論することを避けて、96条を変えてしまおうという、驚くべき変則手法が登場した。本音は自民党憲法草案がすべてであろう。隠している訳ではない。ところが、それを正面から議論すれば、憲法改定は出来るわけがない。選挙をして、3分の2を取ることは不可能と考えたのだろう。96条だけを正面に出して、憲法を変えやすいようにだけまずする。こういう悪質な政治手法だと思っていた。ところが、こんな国民を欺くような憲法改定を、持ち出すにあたって、憲法学者の中に96条を過半数に改定することに賛成する人間がいたのだ。学者ならその根拠をわかりやすく説明する義務がある。

大石教授は「最初の発議要件のハードルを高くしたまま憲法改正の入り口を閉ざす必要はない」と主張している。国民投票を重視している考えであろう。国民投票に行く人の過半数が軍隊を持ちたいという人であれば、憲法を軍隊を持つと変えた方がいいという考えとなる。憲法というものが、一時期の感情に流されていいものとは思えない。日本の100年先まで、見通す方向性を定めるものである。その時の感情論の、しかも投票者の過半数で決めるということになれば、時代の空気で国民の投票は流される。大石教授がなぜ、憲法というものを大切にしないのかが、不思議でならない。大石教授の本当の理由を調べても良くわからない。国民に判断を任せようという考えなのだから、憲法学者として、96条改正論の論拠を、わかりやすく国民に示すことが、京都大学教授としての義務ではないか。もし、どなたか、大石氏の主張が書かれているものがあれば教えていただきたい。

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26 コメント

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Unknown (マコ)
2013-05-25 10:08:22
大石眞さんは、何冊も著書を書いてあります。それらを読む必要があります。京大名誉教授佐藤幸司さんをはじめ、京大は改憲派の憲法学者が多いと学校の先生に聞きました。


>「国民に憲法を問うことはいいことだ」が理由らしい。
憲法を国民に問うことは、国民主権に反していないと思います。日本国民が左翼や右翼の言説の胡散臭さを理解して、憲法学を知って、知性を働かせて憲法のあり方を考えることは、民主主義国家には、重要なことだと思います。大石さんの見識は何もおかしくないと思いますが。

>これが学問の結論かと思うと、まともな憲法学者とは思えないのだが。

私は、昨年の夏休みに高校の先生の薦めで小島和司さんの「憲法概観」、佐藤功さんの「日本国憲法概説(これは2/3くらいですが)」を読みました。まだまだ十分理解できているとは思いませんけれど。笹村さんは、どなたの憲法学のテキストを読んでいらっしゃるのでしょうか?小林直樹さんでしょうか?
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憲法改正 (石川)
2013-05-25 11:08:57
>96条の改定は、政治の都合だけの主張だと考えていた。

笹村さんのご批判は、すべて笹村さんご自身に戻ってきます。
笹村さんは、護憲派だから、96条改正に反対なのでしょう。笹村さんの都合で、96条改正に反対されているのです。

>変えるべき問題があるなら、正面からその問題を議論するのが学者ではないだろうか。

96条改正に反対の人もそうすべきでしょう。そのうえで、

>憲法というものが、一時期の感情に流されていいものとは思えない。日本の100年先まで、見通す方向性を定めるものである。その時の感情論の、しかも投票者の過半数で決めるということになれば、時代の空気で国民の投票は流される。

このように書かれるのは不遜です。日本国民をばかにしています。笹村さんは、ご自分以外の日本国民を烏合の衆くらいにしか思っていないのではないでしょうか。
日本国民は皆、日本の将来を考えています。

憲法9条についても、自衛のための軍隊が持てるのかどうか、自衛隊が違憲なのかどうか、やさしい日本語で議論がないように改正べきではないでしょうか。

ご自分が護憲派だから、96条改正は反対だ、ということなら、同じ理由で改正賛成派を批判できないでしょう。
ご自分が、護憲派であることを書かないで、96条改正反対論を展開すべきです。
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国民に意見を問う (笹村 出)
2013-05-26 05:10:15
国民に意見を答うのは正しい考えだとは思います。
これは96条に示されていることです。

問題は、発議のハードルの意味でしょう。
国民が間違いやすいものということも、押さえておく必要がある。
原発事故直後、原発の賛否を国民投票で問えば、必ず、脱原発になるでしょう。
時間とともに空気は変わります。

憲法改定という重要事項は、時間をかけて国会で議論をする意味がある。
96条改定であれば、それが、どういう意味を持つのかを、十分に議論する。
過半数であれば、議論なしに、国民投票にいつでもかけられるということになります。

大石教授の著書で、96条改定の根拠が示されている部分を教えてください。

大学では長谷川正安氏のものが教科書だった記憶があります。
しかし、内容は記憶していません。
法学部学生だった安倍氏が
憲法学で文化功労者の芦部信喜氏を記憶していないのと同じです。

憲法は良く読みますが、憲法概論は読みたいとも思いません。

96条の問題を、護憲派、改正派で、議論すべき問題ではないです。
過半数が良いのか。3分の2が良いのかで考えるべきです。
石川さんは何故、過半数の方がいいと考えているかを主張すべきです。
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過半数の理由 (石川)
2013-05-26 10:56:03
私が過半数に改正したい理由は、この日本憲法がGHQに押し付けられたものだからです。それも短期間に、よく吟味されず、国民的議論などありませんでした。
私としては、無効にしたいくらいですが、これまで憲法を根拠に政治が行われてきたことからそれは不可能です。
そんなものを大事に改正できないようにしておくべきではありません。一度国民の議論により大改正した後なら、「3分の2」のままでもよいと思います。

そして憲法の文章がひどいと思います。
笹村さんは、憲法をよく読まれるそうですが、私は読む気になれません。

特に憲法前文がひどく、英語の苦手な高校生が辞書を片手にやっと英文和訳したような文章です。

失礼ですが、笹村さんは、この前文の内容を厳密に説明できますか?
私には無理です。
例えば

前文の冒頭の文「日本国民は、・・・行動し、・・・確保し、・・・決意し、・・・宣言し、・・・確定する。」
「し」ばかり続いて、国語の先生に直されそうです。

次の「そもそも国政は・・・」の文では、短い文の中に代名詞の「その」が3つ、「これ」が1つあり、厳密に何を指すかを問われると、たぶんこういうことではないですか、くらいの回答しかできませんし、日本語としても不自然です。

3番目の「これは人類普遍の原理であり・・・」とありますが、ここでも「これ」が何を指すか、あいまいではありませんか?前段の全体でしょうか?

5番目の「日本国民は、恒久の平和を念願し、・・・崇高な理想を深く自覚するのであって・・・」とありますが、
この文章の中で、日本国民は恒久の平和を念願しているのか、つまり、「念願し」は「日本国民は」の述語なのか、それとも「崇高な理想」の修飾語なのか、私にはわかりません。
普通に読めば、述語なのでしょうが、それでは「崇高な理想」の内容がわからなくなってしまいます。
また、このような場合に、「自覚する」などと使いますか?

次の「われらは、平和を維持し、専制と隷従・・・除去しようと努めている国際社会において名誉ある地位を占めたいと思う。」についても、「平和を維持」するのは「われら」ですか、それとも「国際社会」ですか?つまり「平和を維持し」は「われら」の述語ですか、「国際社会」の修飾語ですか?

次の「われらは、全世界の国民が・・・権利を有することを確認する。」において、このような場合に一般に「確認する」という言葉を使いますか?

次の「われらは、いずれの国家も・・・のであって、政治道徳の法則は・・・」についても、「政治道徳の法則」が原文のままでは意味不明です。その前に「この」をつけるべきだったのではないでしょうか?「この政治道徳」としてもらえればわかるのですが。

まだまだ、言いたいことがあります。
一方でその程度の読解力もないのかと批判されそうですが、少なくも私は憲法前文は好きではありません。
もっと日本語として美しい文章に改正すべきだと願っています。
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96条の問題 (笹村 出)
2013-05-26 16:25:22
石川さんの意見を要約すると、
憲法の内容が、アメリカに押しつけられたもので、気に入らない。
また文章が分かりにくくてだめだ。
ということのようです。

今問題にしているのは、そんなことではないのです。

96条の3分の2を変えるべきかどうかです。
大石教授は変えるべきと言われている訳です。

私はそれは、学者にあるまじき発言で、
もし憲法学者として、そういうことを主張するなら、
その論拠を、わかりやすく国民に示すべきだと、主張している訳です。

国立大学の教授ですから、
国民に対してその程度のことはすべき義務があります。

この際そのほかの憲法論議はすべきでは無いと考えています。
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96条 (石川)
2013-05-26 21:44:46
ですから、今の日本国憲法はGHQに押し付けられたもので、国民が議論したものではなく、さらに文章としての明らかな欠陥もあるので、硬性憲法にしておく必要性がありません。
一度国民の議論を尽くして、過半数の議決により改正し、その後に3分の2に改正すべきならそうすべきだということです。

これがどうして理由にならないのでしょうか?
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何故過半数に変えるのか。 (笹村 出)
2013-05-27 05:10:31
押しつけられたものだから、
というだけでは、改定の理由になりません。
国会で議論したものです。
文章の欠点など、法律すべてがそうです。

まさか、大石教授の理由もそうなのでしょうか。
もしそうだとすれば、学者とは言えません。
大石教授は、過去96条を過半数にすべきという
論文を書いてはいないと確信しています。

自民党の意見に同調した発言に過ぎないでしょう。

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Unknown (マコ)
2013-05-27 15:32:41
>大石教授の著書で、96条改定の根拠が示されている部分を教えてください。

大石教授の主張の根拠を知りたければ、大石教授の著書を調べるべきだと思います。自ら調べずに大石教授に「もっと説明すべきだ」と、ここで主張しても何にもなりません。私の同級生でも成績の良くない人ほど、「先生がちゃんと説明しないから、俺たちが理解できず、成績が伸びない」と不満ばかり言います。そういうのは怠け者の戯れ言のように思うのです。

>憲法は良く読みますが、憲法概論は読みたいとも思いません。

憲法学のテキストを読まずに、憲法への理解を深めることはできないと思います。憲法の条文だけを読んでも「憲法の問題」を理解できないと思います。

>芦部信喜氏を記憶していないのと同じです。

私は、同じではないと思います。笹村さんは芦部さんのテキストをお読みになったことがございますか?昔、芦部さんが司法試験の出題者だった前後は、芦部さんのテキストが随分読まれたようです。「二重の基準」「憲法訴訟」などが非常に注目されていた時代であり、「新しい人権」に関する解説も充実していたかららしいです。

芦部さんは「8月革命」の論者であり、護憲派なので、笹村さんのヒーローのお1人かもしれませんが、安倍さんの学生時代は、宮沢俊義や清宮四郎、伊藤正己などの威光が今よりずっと放たれていたと思うので、「芦部」の名前を覚えていないことは大した問題ではないと思います。

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自分の考えが大切 (笹村 出)
2013-05-28 04:27:16
一体、マコ様には主張はお持ちなのでしょうか。
問題点をいろいろ書いておりますが。
96条改定にかんして、過半数の方がいいと、もし考えているのなら、
大石教授に代わって、その理由を書いてみてください。
大石教授の著書も、読まれているのでしょうから、
私には、マコ様の理由で十分です。

学問は国民のためのものです。
憲法が国会で問題になっているときに
その主張を支持する、意見を京都大学教授として述べた以上、
その理由を同時に示すことが、学者としての義務です。
この点はどう思われているのでしょうか。

彼の過去の著作には、過半数への改定については、書かれていないと思います。
その程度は、読まなくても想像がつきます。

国民の99%の人間は、大石教授の著作を読まずに、国民投票をします。
それは当り前のことです。
首相も読んでいないようです。
もちろん私も読んでいません。
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Unknown (マコ)
2013-05-28 12:38:33
笹村さんの知りたいことは、「大石教授が96条改定に賛成の理由、特に憲法学や法学に基づく理由」ですよね?

大石教授の主張を正しく批判するためには、大石教授の主張を正しく理解する必要がありますよね?
相手の話を十分理解しないで批判するのは、単なる悪口だと思いますが、笹村さんは大石教授の悪口を言いいたかったのですか?

また、大石教授の代わりに私に理由の説明を求めていますが、ご自分で調べるの面倒くさいからですよね?うちの高校の先生は「自分で調べるのが面倒だから、他人に解説を頼む」という態度を厳しく咎めます。教員だった笹村さんは、そのような態度を是となさっているのですか?

>読まなくても想像がつきます。

笹村さんの思い込みです。笹村さんは、憲法学のテキストをあまり読んだことがないように思います。大石憲法に限らず、憲法のテキストには、改正に関して、96条の解説部分に限らず、硬性憲法、新しい人権など色々な所で論じらます。

私が憲法のテキストを読んで驚いたのは、部分を読んでも理解が深まらないことです。人権や統治機構、憲法の歴史、自然法の考え方などを総合して把握して初めて理解が進むよう印象を持ちました。笹村さんが憲法のテキストを読まないのは、「真摯に憲法を正しく理解したい」という意欲が無いからだと思いました。テキストには、問題点がいろいろと上げらています。その問題点を並べていくと、著者が、例えば自衛隊に関して、九条に関して、どのように考えているのか、理解できて行くように思います。

>その主張を支持する、意見を京都大学教授として述べた以上、その理由を同時に示すことが、学者としての義務です。

「理由がわかりにくいとか、わかりずらい説明は、説得力に欠けているので、普通、相手にされずに終わるんじゃないでしょうか。中学の時ですが、説明に難がある先生の場合、生徒誰も聞いてませんでした。中学生でさえそうなんですから、まして大人は、余計に相手にしないんじゃないでしょうか?

笹村さんは、学者が「96条の改正の必要性」あるいは、「96条改正に賛成」の理由をきちんと述べる場合、文字数で何文字くらい要すると思います?あるいは、講義で何時間くらいかかると思いますか?もちろん、かいつまんで話すことはできると思いますが、論が粗くなってしまうので左翼や護憲派には、メチャクチャ突っ込まれると思います。てぐすね引いて待っているのですから。だから、かいつまんで話すことは危険ですよね?

>国民の99%の人間は、大石教授の著作を読まずに、国民投票をします。

99%の国民が読む本なんて、これまでにもなっかったと思いますし、これからもないんじゃないですか?

笹村さんが、「憲法を正しく理解したい」という意欲がどれだけあるのか、様々な学説を比較し、どのくらい検討してご意見を述べられるのか?ということだと思います。

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