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イリオモテヤマネコの496日ぶりの事故死

2021-05-04 04:33:45 | 環境関連


 イリオモテヤマネコの交通事故が4月21日、浦内橋と干立集落間の県道215号線で発生、雄の成獣1匹が死んだ。ヤマネコの交通事故は2019年12月11日以降、496日間起きていなかったが、無事故日数の記録が途切れた。

 道路に検知システムを作っているが、上手く機能していない。検知システムだけでは事故を完全に防ぐことはできない。運転者への注意喚起もうまく機能していない。ヤマネコが道路に出てこないようにならない限り、交通事故は完全には防げない。

 実に悲しいことだ。最近ヤマネコに気持ちが行っているので、何か家の猫が死んでしまったような気持になる。死んだ個体はこの地域に定着していたイリオモテヤマネコと確認されている。

 私たちが、餌場を作ろうと計画していた地域である。活動が始まらないうちにヤマネコが死んでしまった。何という悲しい事故かと思う。沿道の草とりをほんの少し体験してもらった地点だ。沿道に草が茂らなければ、少しはヤマネコが見えるだろうという事である。

 海岸線に暮らしているヤマネコが多いのではないかと以前から推測されている。今度西表島全域をメッシュで区切り、すべてに定点カメラを設置して、前頭数を確認することになっている。100匹以上いてくれることを祈るような気持でいる。

 100匹以下になると、生存がかなり危うくなると思われる。一つの小さな島で哺乳動物が生存を続けるための絶対数である。100匹以下になってきたら、もう捕獲して、どこかで飼わない限り生存は危うくなる気がしている。パンダと同じことである。

 その時はツシマヤマネコと交雑も必要になるかと思う。きっとそんなことは許されないという人がいるだろうが、そうでもしない限り絶滅してしまう時が来る。やらないで済めばもちろんその方がいいに決まっているが、そのくらいの不安がある。

 最後のニホンオオカミは甲府動物園にいた。子供のころその銅像を見たことがある。甲斐犬と交雑させようとしたがダメだったのだ。ニホンオオカミの絶滅も悲しいことであるが、今イリオモテで起きていることは過去のことではない。

 西表島の海岸線に車を飛ばせる道路が作られた。これで、事故が多発するようになった。それほど大きな島ではない。車を飛ばせない道路を作るべきだったのだ。人間の都合ばかりで、ヤマネコのこと等考えられていなかった。ヤマネコが飛び出せないような道路も考えが足りなかった。

 観光客が増えて、レンタカーが急激に増えた。島の住民にとっては良かったことではあるのだが、ヤマネコの事故死に繋がっている。防ぐ手立てをしなければならない。私もできることがあれば、何でもやらせてもらいたいものだ。残念ながらそうした活動もコロナで止まっている。

 50数年前イリオモテヤマネコの発見されてから地元では、ヤマネコと人間のどちらが大事かという議論があった 。当然のことながら人間に決まっている。だからこそヤマネコを大事にすることが、人間を大事にするというつながりを作らなければ、ヤマネコを守ることはできない。

 人間の暮らしとヤマネコの生存が何とか維持された西表島が素晴らしい場所なのだ。日本最後の野生の地である。その象徴がヤマネコなのだ。西表島の住民がより豊かに暮らせる環境づくりと、ヤマネコの生存が重なるような状態を目指す必要がある。

 道路にヤマネコがえさを採りに出て来る要因は、田んぼにヤマネコが入れなくなったことがあると見ている。その話は環境保護センターの方には手紙を書いたのだが、そいう事を西表島環境庁保護センターでは考えていないようだ。

 というか返事もない。草取りなどどんなことでもボランティア行きたいという事にも、連絡がない。田んぼという西表島の暮らしを支えるものと、ヤマネコのえさ場が共存できなければ、その肝心な西表島の人たちの暮らしは守れないだろう。

 環境原理主義者であれば、西表島から人間が居なくなればいいと考えるかもしれない。そんな自然保護であるなら、無意味だと思う。人間の暮らしとヤマネコが共存できる世界以外には意味がない。それが何千年実現できて来たところが西表島の自然環境のすごいところなのだ。

 ところが人間は減少したが、西表島の生活環境も極端と言えるぐらい変化した。例えば自動車の利用だ。その為の道路の整備である。もちろんそれは必要なことだ。しかし、道路の作り方には注意が必要だったのだ。石垣島と同じような道路の作り方ではヤマネコの生存を脅かすことになったのだ。

 40キロしか速度を出せない道路を考える必要があった。そうしたことを提案することが環境保護センターの役割である。経済重視が、住民との融和、その結果何も言わない保護センターになっているのではないか。

 確かに道路の制限は西表島の人の暮らしにはかなりの負担を感じさせることになる。それに見合うべきヤマネコからの恩恵がなければならない。ヤマネコがいるので、西表の暮らしが成り立つという共存である。環境保護センターはこのことを考えることが重要である。

 西表の海岸線にはかなり水田がある。イノシシの害から田んぼを守るために、どこの田んぼにも電柵が張られている。ヤマネコは田んぼに入れないことにここ10年でなった。長年えさ場であった田んぼに入れないから、道路に出て餌をとろうとしている可能性がある。

 まず、田んぼをえさ場に戻してみることではないだろうか。張り巡らされた電柵を超える丸太橋を作るか、あるいは電柵をくぐるトンネルを作ればいい。イノシシさえ防ぐことが出来れば、ヤマネコは田んぼに迷惑をかけることはない。

 これが出来れば、餌場は一気に増えることになる。それには行政がトンネルや丸太橋を提供する必要がある。設置した田んぼにイリオモテヤマネコの補助金の交付をする。これだけで一気に生息環境が整う事になるのではないだろうか。

 これこそ西表の農業が守られ、自然環境が守られる共存策になるだろう。出来れば、その田んぼがカエルなどが沢山発生する物でありたい。その為には有機農業も推進する必要があるだろう。有機農業をするだけの付加価値を付けなければだめだ。

 いずれも政府はそうした予算などつけないに違いない。イリオモテヤマネコを大切だと考える人たちが、基金を作る必要がある。あるいはお米を食べる必要がある。そうして西表のヤマネコと農業者が共存できるようにする。

 全国のイリオモテヤマネコを保全したいと考える人が、西表の有機米を食べることしかない。高いお米になるかもしれないが、きっと全国にはそういう気持ちの人が、少なくとも1000人くらいはいるだろう。それでイリオモテの人の暮らしとヤマネコが共存できることになる。

 西表島が世界自然遺産になることで、西表の人口が減少するようでは失敗である。屋久島は人口が減少した。西表島は今より数倍人口が多かった時代があった。その上にヤマネコが猟の対象になっていたのだ。それでもイリオモテヤマネコは絶滅せず生き残った。

 今の人口であれば、充分人間とヤマネコが共存できる。屋久島は人口減少が続き、何のための世界遺産かわからない事になっているのではないか。前例を良く調べるべきだ。地域が維持されてこその世界遺産である。地域が維持される。その維持の仕方が、自然環境を維持する形でなければならない。

 田んぼはその意味で実に有効なものだ。ヤマネコ米を日本中で購入運動がおこることを願っている。その為に自分にできることがあれば協力したい。

 
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