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外来植物・帰化植物のこと

2024-06-03 04:16:20 | 環境関連


 外来生物が日本の生物を駆逐してしまう、というので、特定外来生物というものを国が決めて、駆除している。石垣島でも特定外来生物(ナガエツノハゲイトウ)が広がっている現状がある。外来生物の中には有用な生物だというので、わざわざ持ち込んで広げてしまったものもある。

 特定外来生物は国が法律で取り締まっている生物である。泥棒と同じで、発見したら国に通報し、駆除してもらわなければならない生物なのだ。しかし、実際には定着してしまったものが大半で、今後どうしたらいいのだろうかと悩ましいところである。
  • この法律の目的は、特定外来生物による生態系、人の生命・身体、農林水産業への被害を防止し、生物の多様性の確保、人の生命・身体の保護、農林水産業の健全な発展に寄与することを通じて、国民生活の安定向上に資することです。
  • そのために、問題を引き起こす海外起源の外来生物を特定外来生物として指定し、その飼養、栽培、保管、運搬、輸入といった取扱いを規制し、特定外来生物の防除等を行うこととしています。
 
 社会常識とは違うかもしれないが、特定外来植物の取り締まりは間違っているという事を書きたい。それは農業利用されていた、アゾラ・クリスタータのことがあるからだ。アゾラクリスタータを使って、アゾラ農法や合鴨農法をやることは犯罪行為という事になる。

 世界的に見ると、アゾラ農法が飢餓を救うという事で、アフリカの飢餓地帯では、アゾラ農法が有効という事で、飢餓救済のために広げる活動を、JICAが行った事例がある。アゾラ農法はすでに6世紀に記録がある。中国南部からベトナムで行われていた循環型農法である。

 その窒素固定能力はマメ科植物よりも能力が高い。1ヘクタール1日で1キロ~3.6キロとされる。しかもリンさえあれば、窒素はない方が増殖が良いという特性がある。何も持ち込まないでも稲作が出来るという優れたものだからだ。北米大陸にあったアゾラクリスタータは有意な植物なのだ。

 しかし、日本のアカウキクサと交雑してしまい、純粋なアカウキクサがほとんど絶滅しかかってしまった。それがいけないという事が言われる。またアカウキクサのすさましい繁殖力で、水面が覆われてしまい、確かに水生昆虫などの生物の繁殖が制限されるという事が起きている。

 外来生物というものは新しい環境で、周辺環境に順応した状態まで時間がかかるという事なのだ。アゾラがそれほど困りものの浮草とは私には思えない。時間が経過すれば、日本の環境に収まってくるはずだと思う。わずか1000年後に確認してもらえばわかるはずだ。

 日本に現在ある様々な生物の半分くらいは帰化植物である。それの何がいけないのかが分からない。栽培されている農産物や園芸植物など、ほとんどが外来植物と言える。外来植物を拒否していては、日本人は明日の食べ物もないだろう。

 外来生物によって、生物の多様性が失われるという事が言われる。しかし、外来生物がすでに日本の自然を支えているのだ。生物の多様性を失わせているのは、人類の生存である。人類さえいなければ、地球上は生物の多様性は豊かになるだろう。

 しかしそれはあくまで一時のことで、大噴火や、氷河期、惑星の衝突、温暖化など、様々な自然現象で、生物は絶滅して、また再生するを繰り返している。人間が移動させた為に起こる多様性の消滅など、地球の時間軸から言えば、何もないに等しい。

 1年後のことは確かに心配かもしれないが、1万年後のことを考えてみれば大した問題ではない。だから、生物の存在をないがしろにして良いというのではない。生物は大切だが、外来生物だから何がいけないのだと言いたいのだ。そもそも、日本の自然の半分は外来生物で出来ているのだ。

 植物を移動させるのもいけないという、環境原理主義者もいる。その人は一体何を食べているのだろうか。薔薇が美しいとは思わないのだろうか。猫が可愛いとも思わないのだろう。たぶん人間的感情の乏しいような人だから、窓辺に一輪の薔薇を飾り、ネコを飼う事もないはずだ。 

 ちょっと千年前の特定外来生物であれば、許せて、ここ50年くらいの外来生物が耐えかねるというのでは科学性がない。地獄のように水面を赤く覆いつくす光景が異様で耐えかねる。こういうのは慣れればどうという事はない。私など田んぼが一面覆われたらうれしくて仕方がない。 

 これで肥料が十分なのだ。但し簡単には増えるものではない。水が汚いから増えるのだ。綺麗な環境では簡単に増えるようなものではない。私は増やすためにいろいろ努力しているので、なかなか増殖が難しいと痛感している。合鴨農法をやられた方でも増えなかった方の方が多い。 

 もう一つ書かせてもらえば「へラオオバコ」のことがある。これは要注意外来生物になっている。何故へラオオバコがいけないのかが良く分からない。これは牧草として大変有望なものだ。繁殖力も強いし、踏み付けにも強い。麦科牧草とは違う栄養があり、大いに利用すべきものだ。 

 環境省が制定した外来生物法がある。そこに書かれているものが、我が国の生態系等に被害を及ぼすおそれのある外来種リストというものがあり、200種がレベルごとに掲載されている。出来れば駆除した方がいい生物。として様々なレベル分けがなされ、指定されている植物は200種ある。

 もうこの中にはまさかこの植物がと思うような一般的な植物が目白押しである。オオバコや椰子やクレソンまで指定されている。つまりあってはならない場所にあるという事がいけないらしい。確かに環境主義者にしてみれば、腹立たしいことであるのだろうが、私にはあってほしい植物が満載である。

 例えば、オオバコは心臓病に効果がある。 セイタカアワダチソウは湿疹の時にお風呂に入れる。クレソンなど食べればいいだろう。現状維持のために、有用な植物まで排除していいのだろうか。アメリカセンダングサは沖縄では蜜源である。

 アメリカハマグルマは路肩保護のために入れられた植物だ。沖縄ではすでに手におえない状態で広がっている。しかし、この植物の繁殖力と生産性の高さは、植林地の下草として使える。これが生えてしまえば、大きくなる草は生えない。あえて除去はしていない。この草が苗木をどのくらい障害するかは、よく観察している。

 モクマオや銀ねむは沖縄では防風林として入れられて、広がり過ぎた植物だ。確かに強風の石垣島ではモクマオやギンネムは有難い植物である。すぐ出てくるし風に強い。それがだめならどうしろと言うのかというので、今はセンダンを植えている。

 ギンネムならマメ科植物だから、土壌を良くしてくれるはずだ。だからギンネムが出てきたら、今は切らないでいる。防風林のつもりである。センダンが大きくなってから切ればいい。ギンネムの葉は水牛も好物である。ギンネムが増えると何が消えるのだろうか。それは仕方がないことではないのか。


 
 
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