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公益通報が出来ない国

2024-07-12 04:24:56 | Peace Cafe


 兵庫県で県知事が7つの不正やパワーハラスメントを行った。という公益通報を県民局長が行なった。西播磨県民局長だった人だ。その理由は働きやすい自由な職場になって欲しいと言うことだった。しかし、きちっとした内部調査すら行わないまま、3ヶ月の停職処分にした。

  県の説明では3月末、男性が文書を出したことを認め、処分の検討に入ったとしている。斎藤知事は会見で「業務時間中に、うそ八百含めて、文書を作って流す行為は公務員として失格」と厳しく非難し、懲戒処分を行う方針を表明。

 4月の会見では「当該文書は、県の公益内部通報制度では受理していないので、公益通報には該当しない」と述べた。男性はその後、県への公益通報手続きを行ったが、県の人事課は調査を続行。「文書の核心部分が事実ではない」として、5月に他の理由も併せて男性を停職3カ月の処分にした。

 と言うのが県の説明であるが、公益通報は緊急避難である。県以外の組織に提出しても同じことである。知事が強引に処分を進め、デタラメな告発を、職務中に行ったと記者会見した。知事の記者会見でこの事件を多くの人、私は知ったのだ。そして、この元局長は自殺をされた。実に残念なことになった。様々な形で、この間、局長やその周辺に圧力がかかったのではないだろうか。

 これはおかしいという声が議会から出て、100条委員会で再調査することになっていたが、停職処分をされた当事者は自殺してしまった。たとえこの公益通報が全くの虚偽であったとしても、すべての責任は、形だけの調査で停職処分を行った、県知事にある。

 公益通報の意味はそういう、独立性と立場の保全が確保されている必要がある。公益通報は本来であれば、ないほうが良いことだ。その組織内に、独立性と立場の保全がされた、完全な中立性に対して信頼できる相談窓口が必要なのだ。所がそうした場が無い組織が大半なのだ。だから、公益通報制度が出来たのだ。

 百条委は地方自治法100条に基づき、地方議会が自治体関係者の関わる疑惑や不祥事の真相などを究明するために開く。設置には本会議で出席議員の過半数の賛成が必要となる。 百条委員会の必要性を議会が認めたということは、知事の問題ある態度は議員には、ある程度認識されていたのだろうと思われる。

 この事件は、職員に告発され、逆上して処分をした知事の犯罪行為にある。このやり方を見ても、告発者の行為にある程度信頼が出来ると考えられる。こうした権力者の横暴が許される社会は、民主主議社会とは言えない。ある意味独裁社会のようなものだ。まだまだこういう民主主議における権力の構造を理解していない人間がいるのだ。

 公益通報があった場合、明らかに虚偽である場合も含めて、第3者機関が調査を行わなければならない。そのことによって公益通報が自由に出来る、民主主議社会が成立することになり、職場の環境が開かれたものになるからだ。部下も上司も立場は違うが、同等の人間の権利があるのだ。

 第3者期間の調査を怠れば、例え虚偽の通報であったとしても、その処分を下した権力者の行為は犯罪行為とされなければならない。もしこの基本の考え方が、働くものに保障されていなければ、公益通報は出来ないことになる。内部にも監視の目があるということで、権力者の独裁的行為が抑えられることになる。

 先日は同様の公益通報と言える事件が鹿児島県警でもあった。鹿児島県警の本部長が警察官の犯罪捜査を、行わないように指示したという、問題である。内部情報を漏らしたとして、前生活安全部長(60)が国家公務員法(守秘義務)違反の疑いで逮捕された事件である。

 現在、鹿児島県警に対して、国による特別監察がはいり、7月中に結論を出すことになっている。前安全部長は公益通報であったとして、裁判で争うことにしている。勾留されること自体がおかしい事件であるにもかかわらず、拘留を認めた、裁判所も間違った判断をしたことになる。

 公益通報の対象となるには、通報内容が法に抵触する事案であることが一つの要件だ。前部長が通報先として外部の記者を選んだのは、県警の内部通報窓口が全く機能していないことに原因がある。職員が、組織の問題を外部組織に相談、通報すれば抑えられると考えたからだ。

 実はこの事件が表面化したのは、鹿児島県県による犯罪行為によってだったのだ。ウエッブメディア「ハンター」の強制捜査が行われた。他の鹿児島県警の警察官による。婦女暴行事件の漏洩を巡って、ウエッブメディアを強制捜査したのだ。

 そもそも、報道を警察が強制捜査するなどあってはならないことなのだ。報道の独立性と、自由を損なうことになれば、民主主議は維持されないことになる。例え、メディアが警察の内部情報を握ったとしても、その事実関係を強制捜査によって調べるなどと言うことは許されることではない。

 その不正な捜査の結果、偶然に前部長が北海道の報道に送った内部資料が、「ハンター」のパソコンにあったのだ。それを押収して、前部長を内部情報を漏洩した罪で、逮捕することになる。民主主議社会に於いては、行ってはならない報道機関の強制捜査で、公益通報の情報を押さえて、前部長を調査もせずに逮捕をしたのだ。

 本来、その役割は当事者の鹿児島県警が行うべきものではない。警視庁の監察課が担うはずだ。そもそも職員が不正を通報する際、信頼して相談できる窓口がない時点で、その警察組織は健全とはいえない。多分大半の警察に信頼できる相談窓口などないと思われる。そうした相談窓口から、上司が処分されたというような事件がない。

 捜査員がウェブメディアを運営する男性に、令状を閲読させずに証拠品を押収した可能性があるとすれば、大問題である。県警は市民ではなく組織防衛を目的に、捜査力を私物化している。ましてや、令状を発付した裁判所は一体何をチェックしているのか、理解に苦しむ。裁判所が犯罪に2度も加担してしまった。

 日本の暗黒構造が垣間見えてくる事件だ。日本の権力構造が民主主義的なものとは言えず、内部告発や公益通報がまもられて、行われるようなことにはなっていなかったのだ。これは社会正義を感じて、組織内部から通報をしたくても出来ないと言う事になってしまう。

 今回の2つの事件を民主主義的に解決することが、まず必要なことになる。そのためには、鹿児島県警の事件の処理がどのように、今後の成り行きを、国民が注視し続けることが必要だ。この通報が既存報道に送られたものではないことを、注目しなければならない。

 警察の局長が大手報道に情報を送ることでは、警察内部の犯罪を押さえられると考えた所に、報道に対する不安が生じていると言うことだろう。警察内部の人間が、大きな報道機関の警察上層部との癒着を疑っているのだ。もうこの時点で警察はだめだろう。

 例えばNHK送れば、公益通報として守られるとは、考えられない状況なのではないだろうか。公共放送が公益性がないのでは、最悪である。公共放送であるが故に、権力者と癒着構造が生まれると言うことはありがちなことだ。この点も徹底調査が必要であろう。

 兵庫県知事事件では、何故客観性のない簡単な内部調査で、職員の停職処分が行えたかである。行えると考えた知事の横暴性にも驚くが、職員の知事に対する告発への、処分を知事が指示して行うなど、あってはならない組織では無いか。

 権力者の意向に従い、職員の逮捕や職員の処分が、公益通報を無視して一方的に行えるとすれば、その仕組み自体に問題があるだろう。まず、公益通報の確立をすることだ。今回の2つの事件を良い機会にして、権力者の独裁を許さない社会を確立することでなければならない。
 
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