18・19日で東京に行き、国立劇場の日本舞踊協会公演と、
歌舞伎座の二月大歌舞伎を観てきた。
18日の歌舞伎座夜の部で、久しぶりに幕見席を買い、
『芝居前』と『七段目』の二幕を続けて観たのだが、
座席のすぐ後ろではなく、座席と座席の間にある通路の真後ろにあたる、
壁際の「お立ち台」に上がって観てみたら、これが大正解で、
遮るものが何ひとつない100パーセントの視界が得られ驚嘆した。
これぞ、パーフェクトなグランド・ビュー!!!だった。
そしてこれが、実は今回の歌舞伎座での最大の収穫になった。
大切なのは、
「座席エリアのブロック間通路 真後ろ突き当たり・壁際お立ち台」
という点だ。
「お立ち台」でも、自分の前方に座席列のある場所では、
その座席背後とお立ち台の間のスペースに立ち見客が立つ可能性が高いので、
必ずしもこの壮観を楽しむことはできない。
一幕見席について(松竹)
上のリンク先『幕見席へのご案内』に出ている右側の写真の、
グレーの部分が私の言う「お立ち台」なのだが、
実際にはここも、床と同じ朱色の絨毯が貼られている。
幕見席では、座席のすぐ後ろからすべてが立ち見エリアなのだが、
座席エリアのブロック間の通路を塞いで立つことと、
通路階段部分に座って観ることは禁止されているので、
私は混雑気味の立ち見席に入ったとき、直感的に
「前に誰も来ない。……なら、ここ一択だな」
と思ってお立ち台に上がり、
自分の前方が座席エリア内の通路にあたる場所に陣取った。
そうしたら、これが冒頭に書いた通り、
私にとっては、予想を遙かに上まわる大成功だったのだ。
私の前に人が立つことは禁止されている(^_^;のだから、
誰も、何も、私の視界を遮るものはなかった。
私は身長153センチで、上背がないので、普通の席にいると、
視界の下三分の一に前の席の人達の頭部のシルエットが入って、
どうしても舞台のどこかが欠けた状態で観ることが多かったのだが、
お立ち台に上がってみたら、そのようなストレスが一切無かった。
前の客が前のめりだとか、動きすぎる等の問題とも無縁(T_T)。
似たような視界は、座席列のすぐ後ろに立つことでも得られるが、
私にとっては、お立ち台の魅力のほうが勝った。
お立ち台なら、前にいる人達と完全に離れられるし、
後ろが壁で、寄りかかって立つこともできるからだ。
また、自分にとって重要でない(爆)場面のときは、
お立ち台であればこそ、そこに腰を下ろすことも可能で、
更に、座席のように区切られていないお蔭で、隣に立つ人が居ないときは、
左右の空間を広々と独占できるのも快適だった。
何より、お立ち台だと劇場全体の天井に近いところから見下ろすかたちになり、
舞台の床がほぼ全部見えて、奥行きの表現が大変よくわかった。
一階席などにいると、役者さんが前に出たり後ろに引いたりするのが、
一応それなりには感じられるが、上から観たらもう全然その比ではなく、
舞台を完全に立体的に把握でき、発見が多々あった。
昔の幕見では花道は見えなかったと思うのだが、
今は、勾配が急になったため、すっぽんまで余裕で見えた。
二階・三階でも「東」以外では、花道全体を観ることは到底かなわないし、
私にとっては今回の見え具合なら普段の三階席と変わらず、不満はなかった。
強いて言えば、『木挽町芝居前』のときの花道の松緑は、
「声はすれども姿が見えず」状態ではあったが(^_^;。
その、『木挽町芝居前』は幕見券を買った段階から立ち見だったのだが、
私は、この「通路真後ろ・お立ち台」からの眺めにあまりにも心打たれ、
通しで買った次の幕の『七段目』のときは、
座席への案内があったのを断ってここに居座った。
昔の歌舞伎座のとき、結構、幕見は利用したつもりだったのだが、
大抵、席を確保するようにしていたし、
また、いかに賢く席を勝ち取るかのほうに熱中していたりもして、
立ち見のお立ち台がこれほど素晴らしいものだとは考えたことがなかった。
次回から、じっくり細部まで観たい演目のときには、
むしろ「幕見・お立ち台」を積極的に使うことにしようと思った。
私は割と、立っていることや歩くことが平気なほうではあるが、
それでも、こういう楽しみ方をするには、
年齢的にいずれ限界が来るだろうから、今が最後のチャンスだと思う。
今後は、ちょっと積極的に「お立ち台観劇」を続けるつもりだ。
唯一と言って良い欠点は、「幕見」は前売りで買えないということだ(爆)。
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