転妻よしこ の 道楽日記
舞台パフォーマンス全般をこよなく愛する道楽者の記録です。
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HN「転勤族の妻よしこ」、筆名「山田亜葵」。家族は、転夫まーくん(またの名を「ツアコンころもん」)、転娘みーちゃん(1995年生まれ。首都圏在住。会社員)。
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歌舞伎・古典芸能
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2019年01月15日 11時43分05秒
12月31日から1月12日まで、一日たりとも休みの無かった、
私の年末年始の重労働が、ついに終わった。
31日は半徹で神社に詰めており、元旦は隣村の神社の手伝いにまで出向き、
2日からも続けて11日まで毎日、中区のマンションから村に通って、
一般の初詣や厄祓い、会社安全祈願、団体さんの初詣行事の対応をした。
連日朝7時半から夕方5時まで、日によっては朝6時半始まりで(泣)、
「寝てない」「寒い」「自由が全然ない」毎日だった。
会社なら5時に終われば夜だけはフリーになるところだが、
神社だと5時から撤収を始めて終わるのが6時過ぎ、それから中区まで戻って、
夕食は主人と娘がなんとかしてくれたのだが(有り難や有り難や)、
終わって片付けたらただちに寝ないと、翌日がまた早朝始まりだから響く、
という毎日で、事実上「布団で一瞬」と「神社で忙殺」の反復のみだった。
しかしともあれ、この期間の様々を皆勤で務めたのは私だけだったので、
最年少の最下っ端とはいえ、その頑張りは一応、
神社内で認めて戴くことができ、1月10日に副総代長様に、
「12日の片付けは会社があるので休みます。
13日午後の『とんど』焼きも、すみませんが私は来ることができません」
と申し出たときには、
「どうぞ、ごゆっくりお休み下さい。本当にお疲れ様でした」
と丁重なる許可が出た。
それで12日の会社が夕方終わったあと、お言葉に甘えて家で休息……、
などということはせず、直行で広島駅に行き、一路、東京に向かった。
これ以上やってられるか!の心境だった。
こういう面で極めて理解のある主人に、心から感謝した。
この日は新幹線の中で眠り惚けたあと、夜10時頃に銀座に着き、
定宿のホテルにチェックインし、何もかも放り出して入浴、
そのまま携帯を切って、一切から解放されて朝まで9時間爆睡した。
主観的には、やっと、ようやく、年末休暇が始まった、という気分だった。
翌日13日は、国立劇場で菊五郎劇団の恒例のお正月公演。
菊之助と松緑が夫婦の設定で、しかも各々二役(以上)を務めての豪華版。
菊五郎の孫である寺嶋和史&寺嶋眞秀の二人も揃って出演とあって、
華やかな音羽屋一門勢揃いの舞台となった。
物語のほうは、……白鷺城にオバケが出るのは『天守物語』、
ひもじい若君+幼いお友達、がともに歌うのは『伽羅先代萩』、
若様の首は斬れないから身替わりの子を、というのは『寺子屋』、
狐が人間に化けてあれこれ活躍し恩返しするのは『義経千本桜』、
……と、途中で「その話ってどっかで(^_^;」と思う箇所がいろいろあったが、
それは即ち、歌舞伎の面白さが贅沢に盛り込まれているということでもあり、
お正月に観る菊五郎劇団としては言うことなしの楽しさだったと思う。
時蔵の兵庫之助が目の覚めるような鮮やかさで眼福、
梅枝や右近もますます美しく、橘太郎の殺陣もなかなか見応えがあり、
しかし何より、悪役の菊五郎が格好いいのなんの、
スケール感が段違いで、響き渡る深い声も圧巻!であった。
そしてこの日の夜はANAホテルの地下プロミネンスで音羽会新年会。
菊五郎夫妻、菊之助夫妻と和史くん知世ちゃん、寺島しのぶ夫妻と眞秀くん、
そして尾上右近、彼は六代目菊五郎の曾孫なので一族ではあるわけだ(^_^;。
会場の案内等のサポートには、後援会スタッフや菊五郎一門の方々が。
挨拶、乾杯、食事に歓談、写真撮影、ショータイム、
けん玉リレー、じゃんけん大会、等々と進行する中、
音羽屋の旦那さん(菊五郎)がテーブルをまわって下さったので、
近々とお話を伺うことができ、実に素晴らしかった。
やはり今回のような敵役は演じていて楽しいと仰った。
はい、それは観ていても感じました、旦那。
実に生き生きと演っていらっしゃいましたので。
喜寿の記念に何か企画があるのかと尋ねたお客さんがあったが、菊五郎丈は
「賀の祝いなんて、やってしまうと区切りがついちゃうだけで、
何も良いことがないと思うから、全然考えてないんですよ」
と手を振って否定された。
また、私たちの目の前でボーイさんにウィスキーのおかわりを注文されたので、
「お身体はその後いかがですか、大切になさって下さい」
と話しかけたお客さんがあり、数年前の胃潰瘍の事件以来、
私たちも大いに心配しているところではあったが、旦那さんは笑って、
「いんや、あんなの、全然どうってことない。大したこたぁない」
と力強い(汗)お返事だった。
まあ確かに、禁酒禁煙・早寝早起きのひーさま、
……などというのは、想像しづらい姿ではあるが(汗)。
最後は旦那さんの発声による「上り(のぼり)締め」。
いわゆる「一本締め」を、最初は両手の人差し指だけでやり、
順に、中指、薬指、小指、と足しながら繰り返し、
五回目となる最後は両掌全体で、という趣向。末広がりで実に良かった。
会場を出る前に菊五郎丈と両手で握手をして、
「きょうの舞台も本当に!素敵でした!お声がほんっっとに素晴らしい!!
明日も拝見します~~!!」
と申し上げ、
「やぁやぁ、それはそれは。いや、本当にありがとうございます」
と満面の笑顔で返して頂いた。至福であった(^^)。
そして、14日に再度、国立劇場で観劇、夕方の新幹線で広島に帰ってきた。
半月ぶりにまともに睡眠を取ることができ、
○時!○時!と追い立てられることなく食事をしたり着替えたりができ、
良い舞台を二度も観て、夢見るように楽しい思いをした二泊三日だった。
これで、ようやく年が明けた!と実感することができた。
道楽の旅を終えて東京を後にするときでさえ、
いつもなら「休暇は終わりか…」と若干、力が抜けるところだが、
今回は「あの神社のご奉仕は既に完了している!」と思うだけで、
その場で踊り出したいほど(爆)の解放感に満たされており、心が軽かった。
文字通り、大変に、めでたいことになった(笑)。
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