館林ロストシティーランブラーズ・フォークソングシングアウト

フォークを歌って43年の坂を今登坂中。世間に一言あってこそフォーク。軟弱アコースティックミュージックにシングアウトだ!

峯岸巡礼。

2024-01-18 04:35:32 | 旅は続く


群馬県碓氷郡松井田町入山・・・今は町村合併で、群馬県安中市松井田町入山。
元々過疎だったが、この18号バイパスが出来て、暮らしも便利になり、運送する車も増え、ドライブインなど飲食店も増えたことだろう。
しかし今は、このはるか上に上信越道が走り、通行する人々を奪っていった。新しい道路は、古い道路沿いを過疎にし、暮らしも奪う。
この奥地に峯さんの故郷は有った。

上信越道を彼と走る都度、この下にあんたの故郷があったのか?どんな暮らしだった?と聞いた。
「寒くてな。大きな岩の絶壁にかこまれて、何にもなかった。炭焼きで暮らしていた」・・・などと、聞いた。炭焼き・・・そんな生業が終わってゆく最後が想像され、いつか一緒に行ってみたいと思っていた。

昨年暮れお母さんが亡くなった。年齢から言えば往生だったようだ。

彼は小学校1年の秋までここに暮らした。親の生業は炭焼きだったが、炭焼きでは食えなくなって、親戚を頼って川崎に行くことになったらしい・・。まさに僕らの幼い時代は、燃料が石炭や石油に代わり、高度経済成長ってやつが、波だった時代だった。





61年ぶりの故郷。61年の歳月は、いったい幾何の記憶を残しているのだろうか?「なんとなく場所もわかるよ?」と、言っていたが、それにしても61年・・・彼はその歳月の中1度も故郷に帰ることは無かった。
「ここだ!」と車を止める。「ここに家があっったんだ!」
現地に立つと、みるみる、思い出がよみがえって来たらしい。同行の俺たちも、徐々に興奮していった。
写真のドライブインは現役で、叔母さんの嫁ぎ先らしい・・・



入山川という清流が家の下に流れている。きっと彼の遊び場だったに違いない。昔は相当ヤマメなどが居ただろうと想像がつく水質と流れだ。



あの岩の木が茂る中腹に炭焼きの現場があったようだ。「あの下の杉の木の辺りから、山に入ったんだよ!」と。







「母方の祖父の家があそこにあった」・・と、道路の反対側の小さな沢に向かった。かれの、記憶の箱が、みるみる開いてきたのが分かる。
当時の石垣・・・・たしかに、ここに暮らした痕跡が今も残っている。







父親は40代の若さで亡くなった、彼は中学生だったようだ。そこから母親、兄弟4人・・・・貧しく、つつましく、そしてたくましく生き抜いたようだ。
お父さんの骨は、親戚を頼って、そこを墓地としたらしいが、その墓はどうだったか、ほとんど覚えがないようだ。実際墓も見ていないようだ。
ただ、親戚を頼る・そこの墓にいれてもらった・・・と言った、母親や年上の兄弟からの話が記憶として残っているようだ。
「墓の場所は分かる」ということで、行ってみた。父親のお姉さんの嫁ぎ先の墓だ。

墓は、改葬されているようで、名前など見つからなかったが、間違いなくここのようだ。

彼はゆっくり長く、手を合わせた。

「母親が亡くなったと親父に報告出来てよかった・・」と言っていた。



彼の通った小学校(すでに廃校だが・・)に向かう。その途中、「ここが最初に住んで俺が生まれた場所だ」と・・・・どこかの家があって、間借りしていたようだ。










「小学校までは遠くてなぁ・2・3キロあったかも?」・・・と言っていたが・・・

小さな橋を2つ渡り、緩やかな上り坂が続いたが、距離は800mあるかないかだ。小学1年生にはきっと遠い距離、上り坂だったに違いない。

「第4小学校だったよ」

第4だから、1・2・3と少なくとも4つは小学校があったわけだが、過疎化が小学校の合併になって、最後は入牧小学校になって廃校したのだろう。
小さな二宮金次郎が今も残され、数年前まで地域のセンターで使われていたようだ。
「もっと広かったイメージがあったのに」と言っていたが、廃校になった小学校は、ドラマのような情景だった。



あった!!!金次郎の傍らに「松井田町立第四小学校愛唱歌」の碑!!彼の通った第四小学校はここにあったのだ。



61年前の記憶・・・・寒くて、あまりいい思い出は無い・・・川崎の都会に引っ越すのは嬉しかったという彼だが、遠い記憶はこんなに現地に立つと蘇るものなのだなぁと思った。

俺も念願がかなった。思いで深い場所になった。

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