殿は今夜もご乱心

不倫が趣味の夫と暮らす
みりこんでスリリングな毎日をどうぞ!

鬼のカクラン

2018年02月01日 15時59分48秒 | みりこんぐらし
去る1月27日は、38回目の結婚記念日だった。

その日は我々夫婦にとって、イマシメの日。

若気のいたりを悔い、注意一秒ケガ一生の重みを噛みしめる日。

だから祝わない。

それが我が家のならわしである。


その結婚記念日に先がけ、今年は夫からプレゼントをもらった。

風邪さ。

けっこう重篤。

ものすごく口惜しい。


やれバドミントンだ何だと好き勝手に出歩いて

風邪を引くのは夫の勝手よ。

苦しめばいい。

でも、私にウツすのはけしからん。

家事労働に明け暮れるばかりで体力の無い私には

ひとたまりもないではないか。


治るまで、どっか行ってりゃいいものを。

ああ、ヤツが愛人のアパートに入り浸って

何日も帰らなかった昔が懐かしい。

あの頃は、楽で良かった。



さて風邪を引いても寝ていられないのが、姑仕えの哀しさよ。

「休んだら?寝たら?」

うちの姑は優しいので、そう言ってくれるが

本気にしてはいけない。

これは『京のぶぶ漬け』。

喜んで寝たりなんかしたら、必ず用事を作って起こされる。


「手伝おうか?何かしましょうか?」

うちの姑は優しいので、そう言ってくれるが

本気にしてはいけない。

これも『京のぶぶ漬け』。

彼女がそう言いだすのは、やることが無さそうな時だけだ。

この計算高さには、毎度のことながら腹が立つ。


思い起こせば夫の実家に帰って6年、毎年のように風邪を引いている。

夏はいたずらに暑く、冬は暴力的に寒い鉄筋コンクリートの家は

全力で私を否定しているような気がする。

家のくせに生意気な‥と、やっぱり腹が立つ。


いや、やはり一番腹が立つのは、外から風邪を持ち帰り

何食わぬ顔で私に感染させたあげく、一足先に全快した夫だ。

またバドミントンへ行くようになり

息も絶え絶えの私に山のような洗濯をさせる。

ええ加減にせえ‥と、さらに腹が立つ。



「晩ごはん?何でもええよ。

そうじゃ、ハンバーグは?」

熱のある私を思いやって、献立を考えてくれる優しい夫であった。

バカめ‥ハンバーグと付け合わせの野菜で

どんだけ体力消耗すると思ってんだ。


「オムライスなんか、簡単そうじゃん。

オムライスがええわ!」

夫は一生懸命考えてくれる。

バカタレが‥弱った体でオムライス5個作るのが

どんだけ大変か、てめえがやってみろってんだ。


検討の結果、夕食は焼肉ということになった。

準備が楽‥理由はそれしか無い。

牛肉さえ与えておけば、少なくとも姑はご機嫌だ。

「瀬戸内寂聴さんも、お肉が好きだから長生き」

というのが、最近の彼女の口癖。

牛肉を食べたら長生きするというより

牛肉には、死ぬのを忘れる成分が入っているんじゃなかろうか。

わたしゃそう思う。


メニューは決まったものの、私はまだ動けないでいた。

なぜって、ホットプレートを出さにゃならん。

うちのホットプレートは、なぜか冷蔵庫の上に鎮座しており

取り出すには椅子が必要。

熱があると、高い所に上がったらフラフラするのよね。

だから私は冷蔵庫の横にある自分の席に座り

斜め上方に見えるホットプレートをにらんでいた。


と‥夫が気を利かせ、ホットプレートを取ってくれた。

が‥次の瞬間、私の横を何かがかすめる。

ホットプレートとセットになっているガラスのフタが

私めがけて飛んできたのだった。


重たいフタはガン!と椅子に当たって床に落ちると

生き物のように転がった。

そうよ‥夫の迂闊(うかつ)は筋金入り。

ホットプレートを出すという行為と、フタに気をつけるという行為は

彼の中で必ずしも一致しない。


「‥ねえ、さっき私、多分死ぬところじゃった?」

「ワシもそう思うた」

そう言いながら、夫は満面の笑みを浮かべているではないか。

怒る気力もなかった。

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6 コメント

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おぉ!! (モモ)
2018-02-01 18:35:34
やっぱり風邪をひかれてたんですね!
インフルエンザではなかったですか?
うちは、クーちゃんがインフルA と私が胃腸炎、けっこうキツかったですよ。

そう…お母さんはなかなか休めない。家庭内ブラック企業勤務。

お母さんのハウスキーパー料金は、年金として還元されるのかなぁ。

「逃げるは恥だが役にたつ」の漫画を読んで、ふと、思いました。

家庭内ブラック企業、何とか待遇改善される工夫、風潮になれば良いなぁ。
返信する
そうなのよ〜! (みりこん〜モモさんへ)
2018-02-01 21:13:42
インフルではなかったけど、きつい!

>家庭内ブラック企業(笑)
ほんと、主婦ってそうだわ。
姑がいてごらんよ。
ほぼ地獄。
姑に手がかかるんじゃなく、家族に手をかけない
あるいはかけられないことを姑が快く思わず
そのために起きる色々が、病気の嫁に追い打ちをかけるという
回りくどい被害が多発(笑)

年金として還元されるんなら励みになるでしょうね!
命を削りながら家族の世話してます。
だから強い。
そしてそれが復活のパワーになっているように思います。

優しいわね、モモさん。
で、今日の笑える一言。
私「ああ、苦しい!父さんが菌を持って帰ったんじゃ!」
母「んまあ!寒いのに仕事行ってるのに!
あんたには感謝の気持ちが無いの?」
私「ばあちゃんの口から感謝が出るとはね」
母「当たり前のことじゃが!人間、感謝が大事よ!」
再び熱が上がった私でした。
返信する
お見舞い申し上げます〜 (もじ)
2018-02-05 14:31:07
38周年記念より、こちらの方が良いかと… でも 継続が証明ですね❗️

風邪 気を付けなくては、ですね〜
熱が出るだけでも フラフラになりますものね〜

私も実父が入院し、風邪すら気を付けなくてはいけない事、ありがとうなんて言われたら お終いよ〜 と みりこんさんが
書いていた事 思い出し 励みにしています〜😷

こじらせないように お大事にしてください〜🍀
返信する
ありがとう〜 (みりこん〜もじさんへ)
2018-02-06 12:35:57
完全にこじらせた上、ヨシコも発症(笑)
あの人、自分だけ元気だと落ち着かなくて
病気になってホッとしてる様子、アリアリ。
お陰様で、そろそろ通常の生活ができそうな所まで
回復いたしました。

お父様が入院!
大変じゃん。
励みにしてくださって、ありがとうございます。
私も応援していますよ!
頑張ってね!
返信する
危ない危ない! (夫人)
2018-02-06 18:28:42
ホットプレートの蓋って大きいから頭に直撃したらたんこぶだけでは済まないですよ。
流血騒ぎにならずに良かった。
体調が悪い時の食事の支度ほど面倒なものはありません。
特に食欲がないと余計ですよね。
お弁当でも買って勝手に食べてくれたらどれだけ助かるか。
そこでも問題が。
世の中には自分の分しか買って帰らない夫がいるんですってね。
いったいどういう神経の持ち主なんでしょうか。
理想的なパターンは
①出勤時にお伺いを立てる
夫「今日は一日静かに寝てろよ
  晩飯は仕事帰りに俺が弁当を買いに行くから」
②帰宅前にお伺いを立てる
夫「今弁当屋に来たけどお前は何が食べたい?」
こんな気遣いをされた日にゃ、夫が風邪を引いた時はアレもしてあげよう、コレもしてあげようとなること請け合いです。
ちなみにアーノルドの場合、風邪薬のせいで眠たそうにしている私に対して、やれ寝ろ、さあ寝ろと無理矢理布団の中に押し込み、枕元にアイスクリーム、プリン、ゼリーと私の好きな食べ物をズラリと並べるでしょう。
そして朝起きるとガンガンにストーブで温められた部屋のせいで、アイスクリームはドロドロに溶け、プリンもゼリーもぬるぬるになっていること間違いなし。
惚気ているのではありません。
余計なお世話でとても迷惑しているというお話でした。


返信する
でしょ〜? (みりこん〜夫人さんへ)
2018-02-06 20:20:54
ホットプレートの蓋、危ないですよね。

体調が悪い時って、食事の支度がつらいですね。
頼むから昼は帰ってくれるな‥と頼みましたよ。
ヨシコは必ずいるし、何の解決にもならないんですけど
人数が少ないだけでも気分的に楽。

自分のしか買って帰らない夫は許せませんね。
アツシがそうだったらしいです。
昔のことだから弁当は売ってなかったけど
自分だけ外食してたそう。
若い頃にこれを聞いてゾッとした私は
自分の夫をできるだけ教育しました。

アーノルドさん、相変わらず優しいわね!
夫ものどごしのいいアイスやデザート系
色々用意してくれます。
でも私ものろけじゃないの。
彼の好きなチョコレート味とバナナ味に集中。
好き嫌いの無い私ですが、これだけは苦手。
お供え物と同じで、食べられんのよ。
惜しいというか、腹立つわ〜。
返信する

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