子供の頃、友達の家に遊びに行って
びっくりしたことがある。
その子には、当時高校生のお姉ちゃんが一人いた。
お姉ちゃんと共有の子供部屋に入ると
天井を含むスペースの半分が
当時の人気アイドル「にしきのあきら」で覆われている。
大小のポスターや切り抜きが隙間なく貼られ
どこを向いても「あきら」「あきら」「あきら」…。
本棚に「明星」やら「平凡」やらの雑誌が
ずらりと並んでいるのも圧巻であった。
極めつけは、机の正面に貼られた手書きの大きな紙。
“あきらとアケミの約束”
「一生あきらを愛します」
「あきらのお嫁さんになります」
「ごはんは4杯でやめます」
「お菓子は一回2袋まで」
「絶対やせます」
こ…これは…!
小さく、食の細かった私(当時)にとって
その数字は衝撃であった。
芸能人とはいえ、よその男を「愛します」と書いて
親に怒られないのも衝撃だった。
今にして思えば、どっかの国の将軍様みたいな扱いであろうか。
遊んでいると、ドス…ドス…と足音が近付いてきて
おすもうさんのようなお姉ちゃんが部屋に入ってきた。
さらに衝撃。
「こ…こんにちは…」
「こんにちは」
お姉ちゃんはぶっきらぼうに答え、大きなため息をつきながら
あの約束が書いてある机の前に座る。
椅子がギギ~ッと苦しそうな音を立てる。
「外で遊ぼう…」
友達に促され、私達は部屋を出る。
お姉ちゃんが部屋に入って来たら、妹は外に出ることになっているらしい。
庭へと続く廊下を歩いていると、部屋から
「あきらぁ~っ!」
という叫び声が聞こえた。
私は衝撃の嵐に疲れ果て、早々に退散した。
その後、あきらは女優さんと結婚し
お姉ちゃんの夢は破れた。
体重もそのままだ。
残る約束は「一生愛します」だが
空に太陽がある限り、継続しているかどうかは不明である。
たずねる勇気は無い。
びっくりしたことがある。
その子には、当時高校生のお姉ちゃんが一人いた。
お姉ちゃんと共有の子供部屋に入ると
天井を含むスペースの半分が
当時の人気アイドル「にしきのあきら」で覆われている。
大小のポスターや切り抜きが隙間なく貼られ
どこを向いても「あきら」「あきら」「あきら」…。
本棚に「明星」やら「平凡」やらの雑誌が
ずらりと並んでいるのも圧巻であった。
極めつけは、机の正面に貼られた手書きの大きな紙。
“あきらとアケミの約束”
「一生あきらを愛します」
「あきらのお嫁さんになります」
「ごはんは4杯でやめます」
「お菓子は一回2袋まで」
「絶対やせます」
こ…これは…!
小さく、食の細かった私(当時)にとって
その数字は衝撃であった。
芸能人とはいえ、よその男を「愛します」と書いて
親に怒られないのも衝撃だった。
今にして思えば、どっかの国の将軍様みたいな扱いであろうか。
遊んでいると、ドス…ドス…と足音が近付いてきて
おすもうさんのようなお姉ちゃんが部屋に入ってきた。
さらに衝撃。
「こ…こんにちは…」
「こんにちは」
お姉ちゃんはぶっきらぼうに答え、大きなため息をつきながら
あの約束が書いてある机の前に座る。
椅子がギギ~ッと苦しそうな音を立てる。
「外で遊ぼう…」
友達に促され、私達は部屋を出る。
お姉ちゃんが部屋に入って来たら、妹は外に出ることになっているらしい。
庭へと続く廊下を歩いていると、部屋から
「あきらぁ~っ!」
という叫び声が聞こえた。
私は衝撃の嵐に疲れ果て、早々に退散した。
その後、あきらは女優さんと結婚し
お姉ちゃんの夢は破れた。
体重もそのままだ。
残る約束は「一生愛します」だが
空に太陽がある限り、継続しているかどうかは不明である。
たずねる勇気は無い。