殿は今夜もご乱心

不倫が趣味の夫と暮らす
みりこんでスリリングな毎日をどうぞ!

夏に花咲く

2009年07月15日 14時30分49秒 | みりこんぐらし
先日、我が家ではとある問題が勃発した。

ことの発端は長男の車。

長男は普通車と、趣味の釣りに使うボロい軽自動車の2台を所有している。

先月、軽の車検が近付いたので、ひとまず廃車にすることにした。


こういう時には鼻のきく夫…

その軽を自分の知り合いに譲ってやってくれ…と言い出した。

長男も父親が尋常でないのは熟知している。

子供の頃から、私とは別の意味で煮え湯を飲まされてきたのだ。


しかし、あまりに熱心なのでしぶしぶ承諾し

その代わりに…と条件をつけた。

即座に名義変更をして任意保険に入り

廃車の時に払うつもりだった税金を払って領収を返して欲しい…。

夫は「自分が責任持って、必ずちゃんとする」と約束した。

ピンとくるものはあったが、せっかく父子が親しく話しているし…

と思い、口を出さなかったのが悪かった。


こういう時にはやることの早い夫…

長男の承諾を得ると

軽はさっそく現金7200円を添えた税金納入用紙と共に

夫によってどこかへ運ばれて行った。

税金の支払いを条件付けたのは

車のその後を知るための唯一の手がかりだからである。


何回か夫に「領収は?」とたずねたが

「会ってないから、まだもらってない」と答えていた。

そして先日、税金の督促状によって、約束が履行されてないのを知った。


税金を払ってないということは

先月受けるはずの車検を受けてないということになる。

このぶんだと、名義変更も怪しい。

車検を受けていない、税金も払ってない長男の車が

堂々と公道を走行していることになってしまう。


これには長男も甘いところがあった。

この子は車が好きで、名義変更や車検にも自分で行くため

誰もが出来ると軽く考えているふしがある。

民間で勝手なことをすると経済効果も上がらないし

責任の所在が不明瞭になりやすくて危険だ…セコいから足を洗え…

とよく言っていたのだが、今回こんな事態になってしまった。

何を言ってもあとのまつりだ。


もちろん、夫に厳重抗議。

こういう時には逃げ足の早い夫…

「うん、うん、わかった…聞いてくる」

と出かけてしまった。

税金のお金は、おそらく使ってしまったのだろう。

領収が返ってくるまで、任意保険は残しておいたことに胸をなでおろす。


「責任持ってちゃんとやるって約束したじゃん!」

なんて、今さら子供っぽいセリフをガタガタ言う気は無い。

責任だのちゃんとだの、無しで生きている男なのだ。

よ~くわかっているつもるなのだが

時々「普通の人」と錯覚してしまう我々が悪かった。


まだ起きてもいないことを心配するのは、無駄なこと。

たいていのことは、起きてから考えればいいのだ。

起きないに越したことはないが、それでも起きてしまうことはままある。

心配して待っていても、突然降ってわいても、起きた時のショックは同じだ。

「やっぱり…」と言うか言わないかの違いだけである。

しかも突然のほうが、後から考えれば良い判断が出来ているものだ。


亭主の浮気や自分に関わる問題なら、それもよかろうが

今回は、うかつだった自分たちの問題だけではすまない。

車を譲ったことで、見知らぬ相手もろとも

面倒なことに巻き込まれるのはごめんだ。

聞いた名前が本当なのかどうかも、今となっては怪しい。


「聞いて来る」と出かけた夫の答えは

「壊れたから、○○オートサービスで廃車した」だった。

我が子が絡んでいるだけに

怒鳴り散らして、ついでにぶんなぐりたいのはやまやまだが

大事なことなので、感情でうやむやにしてはならぬ。


なごやかに「では、相手から廃車証明書をもらって来て」ということになる。

「必ずだよ」…長男もいつになく強く言う。

「わかった。明日もらってくる」


廃車するにも納税証明がいる。

税金を払っていないのだから、廃車証明書なんぞあるわけがないのだ。

そんなことで夫を責め、勝者になる気はさらさらない。

夫にとっての「明日」は

「今でない」という意味であり、永遠に来ない日でもある。


こういう時にはカンが冴える夫…

自分の発言で墓穴を掘ったのを察知したようだ。

「なんで関係ないオレが責められにゃならん!」

と席を立つ。

関係、大ありじゃん…と顔を見合わせる長男と私。


「父さん、待って!大事なことだから、ちゃんと最後まで話し合って!」

長男が追いかける。

「僕が○○オートサービスに電話して確認するよ。

 相手の人にも連絡するから、電話番号を教えて」


こういう時には逆ギレして怒鳴る夫…

「電話なんかせんでええんじゃ!しつこいんじゃ!おまえら!」


我々はこの時点で追撃をやめた。

正義をふりかざして結束した母子に

2対1で責められるのはいやなものだろうし

誰も見てはいないが見苦しい。


言動から察するに、車が壊れて今は乗ってないというのだけは

事実であろうと思われる。

だから、夫にとっては「終わったこと」なのだ。


乗ってさえいなければ、こちらはとりあえずかまわない。

そしてこれは、すでに車だけの問題ではないことを感じた。

また、車の買えないような相手とつきあっているのだ。


車関係の費用を会社任せにしてきた夫は、維持費にうとい。

車一台にいろいろ面倒臭いことがついて回るのがよく理解出来ていない。

しかも隠したい部分があるので、明確な説明ができない。

よって、その場を逃れるためにウソにウソを重ねさせるだけだ。

手負いのゴリラに…気の毒ではないか。

自白を待ってイライラするより

念のためにこっちで停止の手続きをすればすむことである。


現実から完全逃避して、恋に全力投球できるのが夫。

その天真爛漫が、結果的に家族を傷つけることになるわけだが

傷つくのは家族の勝手であって、夫にはなんらその意思はない。

だから、わざわざ傷つき嘆いてやる必要はないのだ。


起きたことは起きたこと。

その都度、緊急性のある問題だけに対処していれば

そのうちどちらかに“お迎え”が来て、静かになるであろう。


ま、夫の好きな夏が来て、まがりなりにも恋の花は一応咲いたようだ。

めでたし、めでたし。
コメント (15)
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