殿は今夜もご乱心

不倫が趣味の夫と暮らす
みりこんでスリリングな毎日をどうぞ!

みりこんのよくある一日

2009年07月19日 10時33分26秒 | みりこんぐらし
知りたくないだろうが、私のごく一般的な日常をお話ししよう。


7月○日晴れ

朝…家族を送り出してから、家事と化粧。

“壁”は早めに塗っておかないと、日が高くなってからでは面倒になる。


顔の次は、次男に頼まれた仕事用車両のバックミラーに色を塗る。

今日は真っ赤をセレクト。

あ~目がチカチカする…と後悔。


昼…夫と昼食。

暑いから食欲がないわ…と言いながら、おかわりをする。


午後…毎週無農薬の野菜を届けてくれる友人と談笑。

ミラー塗りを仕上げ、その後長い休憩に入る。

夫の実家での食事作りは、先日無事終了したので

最近はタラタラしていることが多い。


夜…家族で夕食。

今日の出来事などを楽しく談笑。

その後、夫はサウナへ。

残った者は、思い思いの余暇を楽しみ

ああ、今日も平穏だった…と感謝しながら就寝。


…内訳をお話しようではないか。


朝…出社したら車両のミラーがひとつ、何者かに盗まれていたそうだ。

「このところミラー泥棒が続くから、またスペアを買った。

 変な色を塗っといて」

      「げ~!」

「暇なんだろ?」

ミラー泥棒…ありそうな話だが、我が家の場合は少しニュアンスが違う。


トラック系のバックミラーは

乗用車と違ってドライバー1本で簡単に取りはずせる。

泥棒が増えたのではない。

泥棒なら、もっと金目の物を狙う。


一番簡単で、しかも無いと公道を走れず現場に入れない。

破壊と違って警察沙汰になりにくく、罪の意識も軽い。

足止めには最も効率が良いとわかっている同業者の嫌がらせである。


皆が潤っていた昔とは違い、今は少ない仕事の奪い合いだ。

生き延びるには、回りを蹴落とすしかないと思ってしまうのであろう。


ミラーが無くなる前日の深夜、敷地に入るのを見た者がいるので

どこの誰かはわかっているが

寝ずの番をして捕まえたところで

この程度の窃盗では、弁償で不起訴になってしまう可能性が高い。

いちいち気にするのは、ばからしい。


家に運びこむと、たかがミラーといえどもデカい。

新品のままでは、万一再利用されたらしゃくだと男どもは言う。

はずしたら即座に海へポイなのはわかっているが、せめてもの抵抗。


夫など「嫌がらせをされてるうちが花」と言う。

私も「するようになったらおしまい」と思う。

何回でもやるがいい。

何回でも付け直したるわい!


夜…家族で楽しく談笑した内容は、まあこんなところ。

昼間次男は、ミラー泥棒とは違うもうひとつの同業者ご一行に囲まれたと言う。


こっちはちょっと暗黒の世界の息がかかっているので

やることが強気でストレート。

今日は、取引先が推奨する安全面を考慮した上着を

いち早く着ていたのにインネンをつけられたそうだ。


「おまえが着たら、うちが着てないと言われるじゃないか!」

それで言い合いになったと言う。

なんと幼稚だこと。


まあ、それもわからないではない。

経営難のベテラン、左前にかけてはオーソリティーの我が家は

昔から被服費は出ないので、仕事着が欲しけりゃ自費だが

数年前まで暗黒のお力で羽振りのよかったその会社は

仕事着を経費で買って配布する習慣がついてしまっている。

よそが着たら、自分のところも買ってやらないといけない。

社員の数が多いので、死活問題であろう。


兄がいたら、絶対こういうことにはならない。

次男はゆるいキャラなので、向こうもつっつきやすいようだ。

理由はなんでもいい。

兄と入れ替わる形になった若い次男をつぶそうとしているのである。


のんき者の次男は、さほど気にしてない。

「次から着て来るなって言われたけど、どうしようかな~。

 この服、気に入ってるのに。

 母さんだったらどうする?」

    「着る」

「7対1でも?」

    「迷わず着るね。

     ニコニコして着るね」       

「喧嘩になったら?」

    「チャンスじゃん。

     無抵抗で殴ってもらって、傷害に持ち込むね。      

     警察沙汰になったら、とうぶん公共事業には入れないもん。     

     相手が多少でも賢かったら、口だけで絶対手は出さないはず。
          
     どう転んでも、大丈夫。

     怯えて着なくなったと思われて、喜ばすことはないわい」

「そうか…。次はそうしてみる」

     「健闘を祈る」


仕事を取るということは、よその食いぶちが減ることだ。

これからは命がけでないと、この世界では生きていけない。

長引く不況で、近隣の業界はそれほどすさんでしまった。

好きな仕事をしたければ、因縁すらつけられない男になるしかないのだ。


夫 「これからはすぐオレに電話しろ!駆けつけるから」

次男「無理だよ、父さん。今の現場、会社から30分かかるよ。

   来る頃にはボコボコにされて、オレは倒れてるね」

私 「このでっかいお腹から“どこでもドア”が出てくるかもよ」

長男「そのドア、ホテルへ直結してるから

   おまえ、喧嘩になったらどっかホテルの前まで走れよ」

次男「父さんのは“どこでもドア”じゃなくて“誰でもドア”だと思うけど…」

夫 「多少は選ぶぞ」

あはは…おほほ…楽しく談笑。


我が子が理不尽なことをされて、気持ちのいい親はいない。

愛用の、例の出刃包丁が脳裏をかすめるくらいだ。

しかし現場で囲むなどと短絡的な行動に出るのは

相当焦っているからだと思われる。


傾き初心者は、初めて体験する八方ふさがりに夜も眠れないであろう。

誰かを攻撃していなければ、いてもたってもいられないと思う。

しかし傾き歴の長い我が家は、すでに慣れている。

いまさらジタバタすることが無いのは、不幸中の幸いである。


今後も何をしでかすかわからない。

各社、生き残るために毎日が戦いなのだ。

我が家は昔から守備一筋…それでいいと思っている。

ガンジー主義のような、立派なもんではない。

火の車に乗車中なので、よそのことまで気にしてはおられませんのよ。


…私の平凡な一日は、こうして終わる。
コメント (12)
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