非核化と平和体制 始動
朝鮮戦争68年式典 韓国首相が強調
朝鮮戦争68年式典 韓国首相が強調
韓国政府は25日、朝鮮戦争(1950年開戦~53年休戦)開戦から68年にあたりソウルで記念式典を開きました。昨年までの式典とは様変わりし、今年はテーマに「犠牲で守った大韓民国」に加えて「平和と繁栄の朝鮮半島」を明記。政府を代表してあいさつした李洛淵(イ・ナギョン)首相は「朝鮮半島の非核化と平和体制の確立が始動した」と強調しました。(面川誠)
「北東アジアに意義」
李氏は、朝鮮戦争によって「南北の民間人と軍人、国連軍と中国軍など約460万人が命を失い、南北の住民約1000万人が家族と離れ離れになった」と指摘。韓国を守るためにたたかった参戦兵士の犠牲をたたえた上で、「平和と繁栄こそ国内外の参戦勇士の皆さんの献身への最高の恩返し」だと語りました。
李氏は「昨年末まで戦争の不安が渦巻いていた朝鮮半島で、いま恒久的な平和定着が模索されている」と指摘。「今年の2回の南北首脳会談と、史上初の米朝首脳会談によって、朝鮮半島の非核化と平和体制の確立が始動した」と強調、「この大転換を中国、日本、ロシアも支持している」と述べ、北東アジア全体にとって大きな意義があるとの考えを示しました。
さらに、既に始まった非核化と平和定着の措置として、▽北朝鮮が核実験場を廃棄し、ミサイルエンジン実験場の閉鎖を確約し、米軍兵士の遺骨の送還に着手▽南北双方が休戦ライン沿いでの非難放送を中断し、ソウル首都圏を射程内に収める北朝鮮の長距離砲を引き下げるための論議を開始▽米韓合同軍事演習を一時中断▽8月下旬に南北離散家族再会を予定―を挙げました。
式典には、朝鮮戦争の元参戦兵士、死亡した兵士の遺族、与野党の代表、韓国駐在の各国外交官ら約5000人が参加しました。
朝鮮戦争 日本による植民地支配から解放後、南北に分断された朝鮮では、1948年に大韓民国(韓国)と朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)がそれぞれ政府を樹立。50年に北朝鮮による攻撃で全面的な内戦が始まり、米軍中心の「国連軍」が韓国を支援、中国の「義勇軍」が北朝鮮を支援し、53年に休戦協定が締結されました。4月の南北首脳会談で採択された「板門店宣言」は、今年中の終戦宣言と、早期の平和協定締結を明記しています。