みつばやま小零庵だより

宇宙の塵、その影のような私ですが、生きている今、言葉にしたいことがあります。

反原発の道

2011-05-29 19:23:56 | 原発

小出裕章著「隠される原子力・核の真実」を、市立図書館が新規購入してくれた。原子力=核の本質、核開発の実態、原発の危険性、二酸化炭素温暖化説の悪用、脱原発の現実性などについて、実に分かり易く説かれている。特にグラフや図が工夫されていて、素人の私も視覚で納得できる。

Dscn1942 昨年末に第1刷発行、本年5月25日(4日前)第8刷発行。著者は1949年、東京の下町生まれ。「鉄腕アトム」が人気の世代だ。

夢に燃えて東北大学工学部原子核工学科に入学した私は、原子力を学び始めてすぐに、その選択が間違っていたことを知りました。

東北電力は仙台ではなく、直線距離で60キロ以上離れている女川に原子力発電所を建設しようとしていました。なぜ電気を使う都会に原子力発電所を建てないのか・・・

その答えはとても単純なものでした。原子力発電所は都会では引き受けられない危険を抱えたものだからでした。1970年10月に女川町で開かれた原発反対集会に参加し、それ以降私は、反原発の道を歩き始めました。

小出氏は京都大学原子炉実験所の助教。助教授ではない、従来の助手。1974年以来、大学教官として最下位の職のままだ。インタビューで、「いろいろな試練に耐えて40年間、反原発の信念を貫くことが出来た理由は?」と問われて、「それは、試練が無かったからです。」と答えられたのには驚いた。が、そのあとを聞いて納得した。「私は教授になりたいと思ったことは一度もありません。」「助手という地位は私にはとても良いのです。」「私は誰からも命令されず、誰にも命令しないでいられました。」と。

「放射能汚染は心配しなくてよい」などとノタマワっていた御用学者たちが次第に表舞台から消えていっている。そしてマスコミが無視し続けていた小出裕章氏等の発言が、少しずつ世間に流れるようになってきた。遅過ぎるけれども今回の事態を契機に、反原発の大道が世論となることを願わずにはいられない。