みつばやま小零庵だより

宇宙の塵、その影のような私ですが、生きている今、言葉にしたいことがあります。

生身の金剛力士

2021-07-20 08:56:28 | 社会
大相撲名古屋場所の千秋楽、全勝対決は凄まじかった。2日経った今もなお興奮が冷めやらない。まさに「死闘」の名に値するものだった。

死闘を制した瞬間の白鵬関は、阿形の仁王像にそっくりだった。塑像ではない、汗を吹き出している生身の金剛力士だった。映像で見たに過ぎない私だが、心が震えた。

桝席の佐代子夫人は、お子様たちと共に泣いていらした。「嬉しかったとか、良かったとかではない、ただ涙が出て止まらなかったのです。」と言う。そうだろうと思う。

横審とやらが「見苦しい」だのなんだの、偉そうに言っているらしいが、料簡の狭い井戸端会議レベルの発言だ。白鵬関は意にも介さないだろう。

「相撲の美学」だの、「日本文化の歴史」だのを盾に借りてヘイトスピーチしている輩は、東大寺南大門等々に仁王像を安置し、金剛力士を崇敬してきたこの国の文化と歴史を都合よく忘れているらしい。

白鵬関にあのような相撲を取らしめた照ノ富士も素晴らしかった。吽形の仁王像に相応しい力士だ。白鵬関の凄さを最も知っているのは照ノ富士だろう。荒磯親方=元稀勢の里が、白鵬関へ深い敬意を抱いているように。