日々は着実にその姿を古びさせつつあった。
私は自分自身も
若くして何らかの形でこの世から消えてしまうものだと永いこと思っていたのだ。
けれど、
気付けば鏡を覗き込む男の姿はすでに老青年である。・・・・永く待ちすぎたのだ。
ふむ。
私は子供の頃のことをほとんど覚えていないのだが
自分が子供であることにものすごく嫌悪感を抱いていたことだけは微かに覚えている。
周りの子供達のことも嫌いだった。子供っぽくて。
自分だって幼稚の極みであったのだけれど、そのことには気付かなかった。
それでも いつしか、未熟な自分なりに「世界」に居場所を見つけるべく
悪足掻きを始めて、
そんな風にして私は多くの友達と出会い、別れた。
ずいぶんと色々な出来事があり、
いつか彼らと昔話でも出来たらいいのに、とか思うのだが
そんな友達の多くが既にこの惑星の大気圏内から去ってしまっていて、
残った者達は私を含めて
昔のことなど何一つ覚えてなどいない。
でも、それでいいのだ、と思うこともある。
だって私は私で今は、また新たな形での「渦中」にいるのだ。
「現在」のことは一瞬後には「過去」になって、消えてゆく。
だから、
先を続けられるうちは、先を続けようと思う。
いつかは私の許にも、「印象的なエピローグ」みたいなものが訪れるであろう、と信じて。
去年ではなく、来年を待ちながら。