日本最西端の駅・たびら平戸口からタクシーでやってきた平戸桟橋。この日のホテルはもう少し先にあるが、タクシー代が高くなりそうなのと、少し平戸の町歩きをしようということでここで降りる。
戦国時代にキリスト教の伝来で歴史の表舞台に出てきた平戸。鎖国までの間、ポルトガル、イギリス、オランダといった外国との窓口ともなった港である。港を見下ろすように建つ平戸城や、かつての姿を復原したオランダ商館などを眺めながら、また遠くには先ほど渡った平戸大橋の赤い橋脚を見ての歩きである。
この日の宿泊は、桟橋から10分ほど歩いたところにある平戸海上ホテル。その名のように海に面したところである。基本は家族連れ向けの観光ホテルであるが、一人客でも受け入れてくれるという。ただしその場合は素泊まり、あるいは朝食のみというのが基本のようである。
チェックインの時には館内の案内を兼ねて係の女性が荷物を持って、離れに当たる観月館にある部屋まで案内してくれる。途中階段があり、そこを重いバッグを持たせるのも悪いような気がする。そういうのに慣れていないので却って恐縮である。それでも、最近は韓国や台湾からの団体客も多いそうで「あの人たちはもっと大きなキャリーバッグで来ますから、大丈夫ですよ」とのこと。
通されたのは和洋室。手前にベッドが2つ、その奥に4畳半の和室。最大4人までは泊まれそうな広さだが、一人客でもここを利用できる。
さらに窓のすぐ向こうが海である。すぐ前の黒子島、そしてその向こうには平戸大橋と九州本土が横たわる。窓に顔を近づけると、右手には平戸城の天守閣を見ることもできる。これで朝食付き7,350円というのは、都市部のビジネスホテル並みの値段でお得である。経年もあって建物が古びたように見えるのは仕方ないとして・・・。
通常なら夜は地元の料理を楽しませる店に行くところだが、事前の情報集めの中で、平戸の中心部には店はあまりないようである。またコンビニも中心部から離れないといけないようで、夕食の心配がある。家族連れ、カップル客などには夕食付のプランもあるようだが、私の場合は朝食のみ。ただし、別料金で「ひらめ御膳」なるものができるということで、結局ホテル内で食事ということになった。
それまでの間を利用して入浴。まず向かうは露天風呂。日が落ちるのが早くすっかり暗くなった屋外で冷んやりとするが、ここからも平戸の海の景色を楽しむことができる。離島へのフェリー、漁船なども時折汽笛を鳴らしながら過ぎていくのを見るのもよい。
さて夕食。ホテル内の料亭のカウンターに通される。この日は宿泊客もそこそこいて、それらの夕食を準備するので厨房もごった返しているようである。時折大声も伝わってくる。どうもこのカウンターは下席に当たるところで、やはりこういうところで一人で食事するというのは、そういう扱いを受けることだなと思ったりする。
そんな中で思い出したように少しずつ料理もやってくる。メインのひらめの薄造り、この時期の平戸を代表する魚とあって味はよろしい。歯ごたえもしっかりしている。居酒屋のようにアラカルトで注文できないのは仕方ないが、あとは鯛アラ、天ぷら、茶わん蒸しもあり、コース料理としては十分だった。
入浴、食事とくれば後は寝るだけだが、まだ時間は早い。テレビを見ても年末番組のこととてそれほど見たいものもない。持参のパソコンもLANケーブルがないためネットを見ることはできない。ならば、夜の街を少し歩くことにしよう。ホテルでも「夜の平戸ツアー」なるイベントを行っているようだし(残念ながらこの日は先客で満席となっていた)・・・・。