今月7~9日の3連休、「鉄道の日記念・JR全線乗り放題きっぷ」を使用した旅行に出かけた。以前の記事にも書いたが、目的地は富山。ただ、どのルートで行こうかを決めておらず、とりあえず目が覚めて出発できる時間を見て、上野なら東京なり新宿なりからの列車を選ぶことにした。
結果として、上野から高崎線の列車に乗る。東京を出ると少しずつ天気が回復してきた。前日は秋雨前線が台風に刺激されたため強力なものになり、東京でも大雨だったので、やれやれである。(まあ、このあとでまた強力な雨に出会うことになるのだが・・・)
高崎に着く。ここから上越線で越後湯沢、はては長岡まで出ることができるが、今日のところは横川までの信越線を選択。安中までは高校生の乗車も多かったが、横川に着いたときには数えるほどの乗客しかいなかった。ホームに「峠の釜めし」の立ち売りがいたので、買い求める。
横川に来て、そして富山に抜けるとなれば、ここは横川~軽井沢間のバスに乗ることになる。この区間のバスに乗るのは初めて。早朝のため横川の鉄道文化村はまだ開園しておらず、機関車などをフェンス越しに眺めるのみだ。軽井沢へのバスの乗客は10人程度だが、いずれも「鉄道の日きっぷ」を使用するような顔ぶればかりである。同区間が廃止されてかなりの年数が経つが、このバスを利用する人というのはどのくらいあるのだろうか。汽車旅をする人たちだけのために運転しているのかとさえ思う。
途中の停留所もなく、国道18号線を登る。右に左にカーブをとり、なかなか忙しい。この分では釜めしのふたを開けることはできず、ひたすら登りに身を任せる。
長野県の看板が見え、周りには別荘地も見えるようになり、軽井沢に入ったことを知らせる。このバスで軽井沢に来たのは初めてだが、やはり軽井沢は別荘なんだなあ・・・。そして駅に近づくにつれ、ショッピングモールやら、ペンションやら、土産物店などが道路沿いに林立するようになる。なるほど軽井沢だ。そんな中、新幹線の高架駅舎も町の様子になじんでしまった感のある軽井沢駅に着く。
現在、軽井沢から先は第三セクターしなの鉄道の路線だが、新幹線駅に隣接して、「旧軽井沢駅舎記念館」というのがある。バスに接続する列車ですぐに長野方面に向かう予定にしていたのだが、せっかくなのでここで1本落として、記念館見学とする。
駅舎は明治43年の大改築当時の姿を再現したとあり、2階に設けられていた貴賓室も再現されている。皇室の方々や政界の名士も多く利用したといい、ソファーに腰掛けてしばしVIP気分を味わう。そのほか、かつて碓氷峠を越えた列車たち、アプト式レールで峠を越えていた時代の紹介、そして、ナロー鉄道「草軽電鉄」の歴史なども紹介されている。そして、元の信越線ホームには、客車や電車を牽引しつづけた機関車も静態ながら残っている。
軽井沢で自然と戯れたり、おしゃれな店をめぐるのも楽しいのだろうが、こうした「近代化遺産」にも、見るものを楽しませるものがある。ぜひ、軽井沢散策の際に入れてほしいスポットだ。
かくいう私の軽井沢散策はこの記念館だけで終わり、しなの鉄道の長野行きに乗車する。この車内で、横川の「峠の釜めし」を開封。横川で出来たてを買ったためか、まだ温かみが残っており、おいしくいただく。ただ、いつもそうなのだが食べ終えた後の釜の始末に困る。よく釜を持ち帰って釜飯を炊こうか・・・という話を聞くが、果たしてどのくらいの人が実践しているのだろうか。
充分に実った稲穂と高原野菜の畑の中を走る。残念ながら浅間山は雲にかかって見えなかったが、なかなかの走りっぷり。途中の駅ごとに乗客が増えて、混雑する。結構都市間の移動はあると思われるのに、新幹線が出来たからといって切り離すのはJRとしてもったいないのではないだろうか。
篠ノ井から再びJRの線路となり、長野駅着。(続く)