まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

BCリーグ観戦記~福井ミラクルエレファンツ

2008年07月01日 | プロ野球(独立リーグほか)

P6281825名古屋に行く用事があったので、「ことのついでに」というわけではないのだが、前日に北陸から福井に回ってから行くことにした。上越新幹線と特急を乗り継ぎ、訪れるたびに北陸新幹線の高架橋の完成度が高くなるのを見た後、「雷鳥」で福井に到着。

P6281871日中はレンタカーで福井近辺を回り(そのことはまた別に)、夕方になって福井県営球場に向かう。この日はプロ野球BCリーグの福井ミラクルエレファンツ対信濃グランセローズのナイターが行われるのだ。県営球場は福井駅から少し離れており、NPBプロ野球の時は臨時のシャトルバスも運行されるのだが、BCリーグではそのようなことはなく、帰りの路線バスの時間も早いようなので、他を回ることも含めたうえで、レンタカー利用とする。球場でビールを飲むことはできないが、それは致し方ない。

福井県営球場、ほぼ毎年NPBプロ野球の試合が行われるだけあってグラウンドも立派なもので、両翼100m、中堅122mという広々としたもの。スタンドもゆったりとしたつくりである。ただこの日はあいにくと雨が降っており(試合の進行には支障はない程度だが・・・)、雨に濡れるのもいやなのでバックネット裏の屋根のあるエリアで観戦。上段から見下ろすこの位置ならグラウンドやスタンド全体の動きを把握することができ、結構お気に入りの観戦ポジションである。

P6281872福井ミラクルエレファンツ。群馬ダイヤモンドペガサスとともに今年からBCリーグに参入した球団である。福井に新球団ができると聞いたとき、球団の愛称は「動物」にちなんで「越前カニクラブ」がええかなあ・・・と思ったものだが(別に応募はしてません)、エレファンツ。日本で最初にゾウが渡来したのが若狭地方だとか、福井県の形がちょうどゾウの顔の形に似ているから・・・というのが選定の理由とか。チームカラーが黄色なのは「実り豊かと栄光と勝利」をイメージしたというが、私には、北陸でありながら関西圏の色が濃く、阪神ファンが多い土地柄だから黄色にしたようにしか見えない。監督が元阪神の藤田平(四国・九州を含めた独立リーグ全体を見渡しても現役・監督時代の実績は最も豊富)、コーチが同じく元阪神の野田征稔ということもあるし・・・。

そのエレファンツだが、北信越地区の首位を争う群馬とは対照的に成績が上がらない。また、成績のせいか福井県の土地柄のせいか観客も伸びておらず、開幕の頃こそ2000人は入っていたのだが、この日は天候のせいもあり「892人」。これ以外の主催試合も観客は1000人そこそこという入りらしい。それだけに、対戦相手の信濃ファン(長野ナンバーのクルマで乗り付けており、20人くらいいたか)と私のような風来坊若干名を除くと、熱心なエレファンツファンといってもいいだろう。私の周りにも黄色の帽子に黄色のTシャツ(もしくはレプリカユニフォーム)という人たちが陣取り、選手に大きな拍手を送っている。

P6281875この6月28日は、福井県で死者4000人近く、負傷者も2万人以上出たという「福井地震」からちょうど60年という。いま、国内では宮城・岩手の大地震による大きな被害が報道されているが、同じようなことがあったのだ。正直な話、福井で大地震(大火災という認識をしていたかもしれない)があったことはちらっと聞いた程度で、まさか福井にやってきたのがちょうどその節目の記念日だったとは。場内放送で福井地震の紹介をした後、地震の発生した17時14分には、グラウンドの選手も練習を中断し、そしてスタンドの観客も起立して、サイレンとともにしばしの黙祷をささげる。この時は市内のあちこちで同じような黙祷がささげられたとか。

試合前にはエレファンツのオリジナルの「とことんかつ象ミラクル弁当」(トンカツがメインでした・・・象の肉は入っておりません)を味わったり、1回200円でもれなくエレファンツのグッズがあたるというガラガラくじに挑戦。4等でエレファンツのピンバッジ(750円)を獲得。鐘と太鼓で祝福されて何だか照れる。

P6281896さて試合、福井が韓国プロ野球出身の左腕、カク・クゥヒに、韓国大学野球出身のソン・ジョンソンという韓流バッテリー、一方の信濃は右の本格派・小高が先発。1回表、信濃プレーイングコーチ・竜太郎(元オリックス→楽天の辻竜太郎)を中心とした打線に2死満塁と攻められるも、カクはこの回のアウト全て三振でピンチを切り抜ける。すると1回裏、今度は福井打線が小高を攻め立て、3番芳岡のタイムリーで1点先制。雨の中一塁側のグラウンドに近い席で熱心に応援するファンから早くもバンザイ三唱が起きる。ここまでは鮮やかな攻撃であった。

P6281898ただその後もランナーを貯めるも追加点にならず、1点止まり。これが試合の流れを変えることになったのか、2回表の信濃は打者一巡の猛攻で一挙5点。この中には鮮やかなタイムリーのほかにも死球あり、スクイズあり、外野のスライディングキャッチが及ばず打球を後逸するというのもありで、信濃のやりたい放題。結局福井先発のカクは2回限りで降板。私の周りからもため息が漏れる。「またいつもの負けパターンや・・・」という声も。

その後は信濃先発・小高、福井2人目・飯田がそれぞれランナーを出すものの得点を許さない。特に福井打線の攻撃が雑で、せっかくランナーが出ても簡単にフライを打ち上げて先に進められない。小高の調子もさほどいいとは思わない中での拙攻に、スタンドからはため息が漏れる中、「簡単に(打球を)上げるんやないで!」「もっと考えて野球せえや!」というヤジも飛ぶ。やはり選手はプロだから、ファンからヤジをもらっても仕方ないな・・・。

P62818955対1で信濃リードのまま、5回表からは福井・3番手の緑川、6回裏からは信濃・2人目の鈴江が好投を見せる。インコースを思い切って突いてみたり、変化球とのコンビネーションを生かしたり・・・。そんな中、福井の攻撃陣で一人気を吐いていたのは、1番の慶家(けいや)。以前に群馬での試合を観たときに大きな打球や好守備を見せていたので印象に残っていたのだが、この日も初回に先頭打者として先制点につながる大きな二塁打を放ったのをはじめ、5打数4安打の固め打ち。守ってもライト前に落ちる当たりをダイビングキャッチして、存在感をアピールする。実はこの選手、登録は「捕手」。入団後、強肩と俊足を生かすために外野手に転向したとか。

P62819145対1と信濃リードで迎えた9回表、一死2・3塁と信濃が追加点のチャンス。ここで続く町田がレフトへの浅いフライ。これではタッチアップは難しいなと思ったが、福井のレフト・坂元の返球が弱く、犠牲フライとなり6対1。続く松橋に対し、ここまで好投を続けてきた緑川に疲れが見えたか、あるいは雨でコントロールが定まらなくなったか、2球続けて頭部近くへのボール。これに松橋と福井の捕手・ソンが口論となり、両軍ベンチから選手が飛び出してくる。結局四球となったが、そのボールも大暴投となり、ランナーの生還を許し、7対1。ちょっと、後味が悪いなあ・・・。

9回裏もロングリリーフとなった鈴江がそのまま好投。最後は慶家がピッチャー強襲の当たりを見せるが、サードがうまくカバーして結局アウト。このままゲームセットとなった。

P6281926敗れはしたものの最後まで声援を送ったファンへの感謝ということで、球場の外では藤田監督はじめ選手たちが並んで「お見送り」。このお見送りの光景もBCリーグでは恒例のものとなっており、ファンたちがお目当ての選手にサインを求めたり、一緒に記念撮影したりする。勝っても負けても、選手にとってはファンからの激励を受けて気持ちを新たにすることができる時間だろう。私もファンブックを購入していたので、藤田監督や、4安打を放った慶家選手にサインをしてもらう。

成績はもう一つあがらないが、チームのムードやファンの雰囲気もなんだかのんびりしている。それがプロとして甘いのかどうかは、また別の評価ということになるだろう。まだ前期の試合もあるし、後期にもシーズンは続く。これからがんばってほしいものである。

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