まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

三重県内サイコロの旅・8~三重に乾杯

2017年06月28日 | 旅行記D・東海北陸
熊野市から紀伊長島行きの鈍行に乗車する。この列車もロングシート2両の気動車で、乗り込んだ2両目は、我々二人の他は、釣竿を持った中学生くらいの男の子4人組だけ。「ああいう休みの過ごし方ができる子どもたちって羨ましいですよね」と同行の鈍な支障さんが目を向ける。

さて我々はと言えば、車内で昼食とする。通常ならロングシートと言えば、いくら汽車旅であっても周りの目があって飲食ははばかられる。ただ、この状況である。中学生たちもドアを挟んで離れたところに座っているが、他に客はいない。そこでシートを広々と使うことにする。

そして、先ほど買ったさんま寿司のお供は・・・その名も「三重に乾杯」。キリン一番搾りが各都道府県の名前をつけたご当地風ビールである。ロングシートでビール・・・日常ではあり得ない。ただこれも、このサイコロの旅ならではである。「美し国(うましくに)の名にふさわしい、三重だけの特別な味わい」とあり、海女さんと真珠をイメージしている(CMには親子三代の本物の海女さんが出演している)。三重の中でも伊勢志摩を連想させるかな。外に見える黒潮はひょっとしたらイメージが異なるのかもしれないが、これも三重の景色である。ともに美味しくいただく。

これで人心地ついたか、中学生も下車してまた1両貸し切りになったことにあり、これも掟破りでシートに横になる。支障さんもご丁寧に靴を揃えてシートに横になり、しばしウトウト。私より小柄なぶん、シートにぴったり合っているように見える。

尾鷲を過ぎても乗客がほとんどない中、15時07分、終点の紀伊長島に到着する。そして前の記事にも書いたが、次の多気行きは当駅始発の16時20分発と、1時間以上待ちである。乗ってきた車両はドアが閉まる。ただ時刻表を見ても、紀伊長島から折り返す列車もないし、多気方面からの列車が折り返すわけでもない。おそらく乗ってきた車両が多気に行くのだろう。ならば長時間停車で乗せてくれればいいと思うが(以前にこの駅でそのような経験あり)、そこは運用の都合や安全面のことがあるのだろう。

乗ってきた客の中にはそのままホームのベンチに座る人もいたが、我々は改札を出る。来る時に案内板でチェックしていた道の駅「紀伊長島マンボウ」に行くことにした。駅を出て右手の細い道を行く。しばらくして片上池に出るが、水が澄んでいてきれいな感じである。

10分あまりで「紀伊長島マンボウ」に着く。マンボウは、あの魚のマンボウである。この辺りには結構生息している。そして道の駅の売店にはさまざまな海産物が売られているが、マンボウもその中に入っている。いや、入っているどころか、地元ならではとして結構アピールしている。マンボウ・・・食べるのか、なら食べてみるかと、土産物として切り身と、「こわた」と呼ばれる内臓のパックを買い求める。他にも黒潮のカツオやマグロの加工品も多い。思わぬ買い物タイムとなった。ちなみにマンボウは帰宅後にホイル焼きにしてみたが、切り身は白身の味がよく出ていたし、「こわた」は、同じホルモンでも牛肉のミノに似た食感だった。なかなか良い。三重県の食でマンボウが入って来たとは、出発前にはノーマークで、これも三重の奥深さだと感じる(一方で、事前の打ち合わせの中で話題に出たヤドカリを見ることはなかったが)。

それぞれに買い物をして、駅に戻る。「三重県に行って来ました」というようなお菓子を買った支障さんだが、「『三重に行って来た』と言って『どこへ?』と訊かれたら笑うしかないですね。平田町に桑名、四日市で熊野市でしょ。伊勢神宮でも、鳥羽賢島でもないと言ったらどんな顔するかな」と。確かにね・・・。まあ、そこは「ええじゃないか」で・・・・。

駅に戻ると、やはりここまで乗ってきた車両が停まっていて、これがそのまま多気まで行くという。発車の10分前にエンジンが起動して、それから車内灯もついて中に入れた。さてこれから多気、そして松阪に向かう。まずは荷坂峠を上り、紀伊から伊勢に戻る。梅ヶ谷の次は大内山と、往年の名力士の四股名続きの区間である。

さて、「大内山」と目にしてピンと来た方もいるかもしれない。往路の車中で前の車両に乗っていた小学生の子どもたちである。「乗りますかね」「いや、奴等はこの列車に乗るに違いない」と、ベタなドラマにありそうな張り込みの刑事みたいなやり取りでホームに着くと・・・乗ってきた。一体大内山に何があるのやらと、支障さんが前の車両に向かう。中に孔雀の羽を持っていた男の子がいたそうで、どうやら大内山動物園に行ったようだ。検索すると、これも三重県では有名なようで、個人経営ながらさまざまな動物がいるようだ。動物の餌やりやふれあい体験もあったり、孔雀の羽は生え換わったものが土産物で売られているようだ。なるほど、動物園なら子どもたちが楽しめるところで、駅から1キロあまり歩くのも、ちょっとした遠足気分だろう。で、車内の様子は・・・支障さんが事前に予想した「シートで爆睡」という感じではなく、行きほどではないがまだまだ元気かなと思わせる。

多気に到着して、参宮線から来る亀山行きに乗り継ぐ。松阪に着いた。JR側の改札から一度外に出る。先の小学生たちも改札を出て、親御さんたちの出迎えを受けていた。トラブルなく子どもたちが帰って来たということで親御さんも安堵の様子、そして支障さんも安心したように見えた。

改札を出たついでに近鉄の特急券を購入する。空席はあるが二人並びはなかなかなく、券売機を操作して何とか確保した。ちょうど、志摩方面から大阪に戻ろうと混雑する時間帯である。構内のコンビニで食材を買い求め、車内でまずはサイコロの旅成功を乾杯で祝す。後は将棋でいうところの「感想戦」である。改めて、支障さんが熊野市を出してくれて旅の幅が広がったことに感謝する。

列車はいつしか青山トンネルを抜けて伊賀の国である。そういえば今回、広い三重県の中で伊賀は目的地にならなかったし、志摩の鳥羽も滞在12分である。当初の、幅広い三重県を満喫しようという主旨からするともう少し回れたのかなとも思う。

・・・ならば、いずれどこかのタイミングで「第2回」をやらなければならないかな。今回訪ねられなかったスポットも入れながら、新たな旅の魅力を感じさせるということで・・・・。
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