まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

第13回九州八十八ヶ所百八霊場めぐり~「B&Sみやざき号」でえびのへ

2023年12月20日 | 九州八十八ヶ所百八霊場

九州八十八ヶ所百八霊場めぐりは、新八代と宮崎を結ぶ「B&Sみやざき号」に乗車する。新八代10時28分発の「543号」はJR九州バスの車両。窓側の席がほぼ埋まるくらいの乗車率で、実質1人で2席を使っての移動である。窓側の壁にはUSBポートも備え付けられており、またWi-Fiもあるので移動時間も退屈しない。

この「B&Sみやざき号」は、2011年の九州新幹線全通に合わせて運行を開始した路線で、新幹線が走らない宮崎方面への利便性向上を目的としている。「B&S」とは「バス&新幹線」の意味である。走行する九州道~宮崎道はJR肥薩線~吉都線~日豊線と並走するが、JR九州も難所区間を走る在来線より、高速道路を利用してフレキシブルな運用ができるバスを活用する現実策を取っている。

雨が降りしきる中、先ほどの松中信彦スポーツミュージアムの横を通る。こちらからだと建物の壁面にバッティングフォームを見ることができる。

八代インターから九州道に入る。前回宮崎からの帰りに「B&Sみやざき号」に乗った時はすでに暗い時間帯で景色も見えなかったが、今回は雨ながら外を見ることができる。

橋梁とトンネルで一気に抜ける感じだ。その途中に球磨川を渡る。見えなかったが、この球磨川沿いを肥薩線の線路が通っている。その肥薩線、2020年7月の豪雨の影響で八代~人吉~吉松間の運休が続いており、復旧の目途はたっていない。沿線自治体とJRの協議も思うように進んでいないようだ。鉄道での復旧にこだわるのか、日田彦山線のようにBRT方式を採用するのか。

やがて球磨川から離れ、より険しい山の中を突き抜ける。その途中、反対の上り車線では改修工事が行われており、その工事区間に向けて渋滞が発生している。「B&Sみやざき号」の新八代での新幹線との接続時間は約10分だが、渋滞の影響でバスの到着が遅れたらどうなるのかなと思う。

前方の景色が開け、人吉インターに到着。3~4人が下車した。バス停から人吉駅までは2キロほど離れているようだ。もっとも、現時点では人吉駅まで行っても、肥薩線、そしてくま川鉄道いずれも列車は走っていない。鉄道が来なくなった人吉の現在の様子がどのようなものか気になる。九州八十八ヶ所百八霊場めぐりの札所は人吉近辺にも結構固まっているが、そこにたどり着く時、鉄道はどうなっているだろうか。

さてここから矢岳越えの区間である。肥薩線だと大畑ループ、そしてスイッチバックという「日本三大車窓」の区間。こちらも運休中である。列車の来ない大畑駅、現在はどのような様子なのだろうか(以前列車で訪ねた時、駅舎の壁に名刺を貼り付けたことがある)。

一方の九州道は6264メートルの加久藤トンネルで一気に宮崎県に入る。

11時27分、えびのインターに到着。下車したのは私ともう一人。九州八十八ヶ所百八霊場めぐりは私にとってさまざまな交通機関を楽しむ旅でもあるのだが、まさかこういうアクセスで札所に向かうとは思わなかった。インター横の道を歩き、国道268号線に出る。

この「えびの」というひらがなの地名。今でこそひらがなの自治体名もあちらこちらにあるが、「えびの市」が誕生したのが1970年、前身の「えびの町」は1966年に発足と結構古い部類だというから、当初からひらがなで表記する必要性があったと思われる。

検索すると、自治体の名前となった「えびの」は、漢字だと「海老野」でも「蝦野」でもなく「葡萄野」と書くとある。秋になると高原のススキが葡萄(えび)色になることから、高原にその名がつけられたという。確かに漢字だと「ぶどうの」と読みそうだが、ならば「葡萄」を「えび」と読むようになったのはなぜかと思う。さらに検索を進めると、「山葡萄」と「伊勢海老の甲羅」の色が近いということでこの読みができたという。いつ頃からそう呼ばれたのかはともかく、古代の人たちの色に対する感性が豊かだったことの一端がうかがえる。

さて、九州八十八ヶ所百八霊場の第42番・弘泉寺に向かうべく宮崎交通バスに乗るのだが、えびのインターの近くに「道の駅えびの」があり、そこにバス停がある。ちょうど次の小林駅行きのバスまで20分ほど、ほどよい待ち時間である。

九州道で来ると宮崎県の玄関口にあたるところ。駐車場の入口では宮崎牛の像がお出迎え。宮崎牛といえば、大相撲の優勝賞品の一つである。また、バファローズのファンクラブ入会特典の一つについたこともあった。店内の物産コーナーには宮崎牛も並ぶがさすがに買うわけにはいかず、宮崎牛入りのレトルトカレーやふりかけを自分土産とする。

一方で、宮崎といえば鶏肉の生産でも名高い。えびのの鶏肉専門店「えびチャン本店」の焼き鳥のパックが売られていて、こちらも買い求める。この焼き鳥は、この夜宿泊した都城のホテルにて美味しくいただいた。買い求めたのは昼、いただいたのは夜だが、冷めても美味い。

駐車場の中央に武将の像が立つ。戦国時代の名将・島津義弘である。この辺りは日向の伊東氏と薩摩・大隅の島津氏の勢力争いの場になっていたが、島津義弘の活躍で伊東氏を破り、九州に版図を広げるきっかけとなった。その義弘が26年間拠点としていたのが近隣の飯野城ということから、没後400年の事業として道の駅に像が建てられたという。

11時51分発の小林駅行きのバスが到着。このバスの始発は京町温泉だが、先客はゼロ。私だけが乗り込んで雨の中東に進むことに・・・。

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