まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

吉崎御坊と安宅の関

2009年10月17日 | 旅行記D・東海北陸

北陸の海岸とプロ野球BCリーグを楽しむドライブの続き。

越前の港町である三国を過ぎ、クルマは加賀の国を目指す。その国境に近いところにあるのが、室町時代に蓮如上人が開いたという吉崎御坊がある。

Dscn4090吉崎御坊といえば、シュミレーションゲーム「信長の野望」シリーズをプレイしたことのある人なら、加賀の国を支配する一向宗・本願寺光佐の本拠地の城としてなじみのあるところだろう。私も吉崎御坊は石川県にあるのかと思っていたが、現在の行政区分では福井県に属するというのだそうだ。その昔、このあたりは加賀なのか越前なのかという争訟も行われたという。

Dscn4086現在は「蓮如の里」として、吉崎御坊とその辺りは信仰と観光のスポットになっている。まずは山門をくぐり、江戸時代に再建されたという本堂にお参り。昼下がりのこととて参詣客の姿もほとんどなく、歴史的スポットとしては割合ひっそりとしている。

Dscn4092吉崎御坊の向かい側は史跡公園として整備されており、記念館があるのでこちらに入場。剃髪姿の若い僧侶が温かく出迎えてくれる。ここでは蓮如上人の生きた時代についてのDVDを鑑賞した後、さまざまな教えを記した「御文」や直筆の「南無阿弥陀仏」を見ることができる。一向宗は背筋を伸ばすことのない庶民のための宗派というイメージがあるが、やはりこいう「本山」的なスポットに来ると心改まるものがある。

Dscn4097吉崎は日本海に近く、北潟湖にも囲まれた独特の湿地帯。湖を挟んだ鹿島の森は独特の自然のために森自体が天然記念物に指定されているという。

Dscn4094富山の民家を移設したという「七不思議堂」では、蓮如上人が起こしたとされる七つの不思議に関するエピソードが人形で紹介されていたり、蓮如の教えをモチーフにしたという庭園が整備されており、少しくつろぐのにはぴったりである。

少し心がすがすがしくなったような気がして、福井県から石川県に入る。片山津温泉が近いが、今回の温泉は越中海岸で済ませたことでパスし、さらに北上する。

Dscn4100そしてやってきたのは、小松に近い安宅の関。まずは海の神様を祭る安宅住吉神社に参詣。

Dscn4102神社の境内を抜けると、「安宅の関」跡とあり、勧進帳のエピソードに登場する源義経、弁慶、そして関守の富樫の3人の石像が立つ。源頼朝との仲たがいにより京から奥州へ逃れる途中の「勧進帳」である。

Dscn4105海岸に面した安宅の関、現在は休憩所になっており、「勧進帳ものがたり館」がある。ここでは勧進帳に関する資料館となっているのだが、勧進帳のエピソード自体が本当にあったことなのかということもあるためか、展示物は源義経に関する小説や謡曲についての書物や、大河ドラマなどのパネル、そして、小松の文化ホールの落成記念とかで上演された歌舞伎「勧進帳」のダイジェスト映像など。それでもまあ、勧進帳の地ということで、「ここがそうか」と感心しながら見学する人も見られる。

Dscn4107さて思うのだが、なぜ「安宅の関」なんだろうか。関所といえば国境の峠とか、山の中にあるというイメージが強い。また、国の中を流れる川を守るということで、富山は伏木にある如意の渡しというのもある。実際はこの如意の渡しで川の関守に止められたということらしいが、それがいつしか安宅の関に移ってきたという。

その安宅なんだが、特に国境を意識させる峠やら大きな川があるというわけでもない。かつては水運の要衝ということはあったそうだが、関所を設けるまでのところなのかな・・・と。実際に現地を訪れてみて、そのあたりの疑問は深まるばかりである。

それでもまあ、自らの「智仁勇」をもって主君を守った弁慶、そして一行を義経と知りつつも、だまされたふりをして黙って関所を通した(だから関所が本当にあったのかという疑問は置いとくとして)富樫の義侠心・・・こういうストーリー、いずれも日本人が好む男気である。それを安宅に持ってきたのは謡曲や歌舞伎についてのプロデューサーの能力であろう。

Dscn4108では、実際の安宅はというと・・・実に美しい海岸線の広がるところである。ちょうど日も西に傾きつつあるところで、海岸にたたずむ人たちの影が少しずつ伸びてくる時間帯。

Dscn4116こういう海を眺めて、往年の歴史ドラマに思いを馳せるのも面白い。本当にあった話かどうかの詮索はどっちでもいいだろう。こういう海岸沿いならば、そういうドラマも似合うのかなと思うのである。

Dscn4117しばらく海岸にたたずみ、小松インターから再び北陸道で金沢を目指す。途中、手取川の河口近くを通るのだが、そこに立つのは「美川 県一の町」という看板。あの「さそり座の女」の歌手の出身地というわけではないが、このしゃれはその方も公認という。そんなところを過ぎて金沢市内へ。この夜にBCリーグのチャンピオンシップを観戦し、群馬の優勝、石川・金森監督のお別れセレモニーを見届けて金沢駅前のホテルに投宿。

野球のほうは1試合で終わり、翌日12日が空いた形。その日をどう過ごしたかは、この後の話・・・・。

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