まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

四天王寺にて新西国霊場90周年「霊場巡拝いこか」

2019年06月08日 | 新西国三十三所

前の記事で、6月8日はBCリーグ観戦に敦賀、もしくは守山に行こうか、それとも四天王寺で開催される新西国三十三観音霊場発足90周年記念行事の「霊場巡拝(おまいり)いこか」(6月5日~6月9日)に行こうか迷っているとした。私のスケジュールの都合と天気の具合をにらめっこしてのことだった。

結局、雨雲は前日の夕方にはピークを過ぎたが天気がはっきりしないのと、今回限りのイベントが行われるということから、遠征は控えて四天王寺に向かうことにした。(結果を言うと敦賀での福井対石川の試合は中止、守山での滋賀対信濃は4対3で信濃の勝利。遠征するなら敦賀かなと思っていたが、強行しないでよかった)

JR天王寺駅には、前日の6月7日で大阪環状線の運用から引退した201系の写真パネルが展示されている。大阪環状線の車両置き換えは少し前から進んでいたが、6月7日で引退とは中途半端といえば中途半端。しかも午前中には最終運転が行われたそうである。環状線といえばオレンジ一色のイメージだったのだが、これも時代の流れだろう。

駅から北、四天王寺に着く。四天王寺は西国四十九薬師霊場の一つでもあり、いずれは先日始めたばかりのこの霊場めぐりでくじ引きとサイコロに導かれてお参りすることになるのだが、この日はそれは封印して、新西国霊場である。

境内のいたるところに、「霊場巡拝いこか」のポスターが掲示されている。またこのイベントに合わせて縁日露店が出ており、さまざまな食べ物やらガラクタ、骨董品などが並ぶ。

「霊場巡拝いこか」のチケット売り場がある。出開帳の参拝料として1000円を納める。これで中心伽藍に入るわけだが、中心伽藍は普通の参詣者、拝観の人も入る。それと区別するためか、チケットは手首に巻くタイプだ。

まずは新西国霊場の一番札所である救世観音が祀られる金堂に向かう。ちょうど時間的に、毎日行われる「舎利出」の法要が行われているところ。「舎利出」とは、金堂の舎利塔に安置されている仏舎利を出し奉り、僧侶が供養して参詣者の頭上にいただくもの。参詣者が釈尊と結縁すること、また精霊追善の功徳があるとして日々多くの人がお参りするという。実はこれをいただくのは初めてである。

その金堂、五重塔を囲む四方の回廊では「ご朱印巡礼」が行われている。新西国の33ヶ所、そして客番の5ヶ所の合計38の札所が回廊にずらりと机を並べ、その場で書く札所の朱印を授けるというものである。これまで新西国を回っていない人、また途中の人でも、期間中はここに来れば満願成就も可能になるというものだ。

ということで第1番の四天王寺に始まり、それぞれで朱印をいただく人が列をなしている。1ヶ所300円、それが38となると11,400円。専用の納経帳が1000円だから全てを回ると結構な出費になる。まあ、実際にその霊場まで足を運ぶとなると当然交通費もかかるし、公共交通機関だけではたどり着くのも困難な寺もある。

私は2016年1月~2017年7月までの約1年半をかけて一度満願しているし、別に重ね印をいただこうというつもりもなかったので、各寺のブースの前を通るだけ。それでも、それぞれの札所を訪ねた時のことを思い出して懐かしく思う。

これを一巡すると最後には「満願之証」までいただくこともできる。これで新西国を満願したことになる。ただ霊場会の本音としては、ここで朱印をいただくのは一つのきっかけとして、やはり実際に寺院までお参りに来てほしいところだろう。そこの寺に足を運ぶ、手を合わせることで得られるものもあるし、寺院全体の雰囲気、あるいはそこに行くまでの道中を含めて感じることも札所めぐりの面白さだと思う。

西国四十九薬師の札所である六時堂でも手を合わせた後、奥の本坊・五智光院に向かう。四天王寺でも訪ねる人の少ないところで、そもそも普段は入れるのかなというエリアだ。五智光院は五智如来を本尊として、平安末期に後白河法皇が創建したそうだが、現在の建物は江戸初期に徳川家光が再建、徳川初代~4代までの位牌も祀られている。今回、この五智光院で新西国のお砂踏み巡礼が行われる。

その入口が本坊の客殿だが、ここでは「ダンボール迷路巡礼」というものが行われている。漫画『ギャグマンガ日和』とのコラボ企画なのだそうだ。・・・と言われて、『ギャグマンガ日和』とは何ぞや?というところだが、漫画家の増田こうすけさんの作品で、集英社の『ジャンプスクエア』に20年近く連載されているそれこそギャグマンガのタイトルなのだという。

「霊場巡拝いこか」のポスター、パンフレットに聖徳太子のイラストが描かれているが、この聖徳太子は作品のキャラクターだという。といって歴史漫画ではなく、歴史上の人物や名作の登場人物をキャラクターにして、パロディで描いたもの。パンフレットに作品の一部が掲載されていたが、読んだ感想は、うーん・・・。

せっかく来たのでダンボール迷路にも挑戦する。ダンボールの壁にキャラクターのイラストや、漫画の中の台詞が登場する。ダンボール迷路には若い人の姿が目立ち、イラストや台詞を見つけてはそれに反応してスマホを構えている。若い人の間では結構人気があるのかな。作品を知っている人なら楽しめる企画だと思う。

ダンボール迷路を抜けて、五智光院の本殿に向かう(別にダンボール迷路巡礼を抜けずとも直接お砂踏み巡礼には行ける)。ここから先は撮影禁止である。

こちらでは札所順に仏像が並ぶ。また順路に毛氈が敷かれており、その下に、各札所からもたらされた砂が敷かれている。毛氈の上を歩き、仏像の正面に来るとお砂踏みとなる。小銭を用意しておけばよかったなと思いつつ、その一つ一つに手を合わせる。やはりこちらでも、それぞれの札所を訪ねた時のことが思い出される。新西国めぐりをもう一巡というより、その中でも特によかったところを何かの折にでももう一度訪ねてみるのもいいなと思う。

こちらでも38の札所を順に回り、出口にて結願之証をいただく。こちらは通常の文字タイプのものと、『ギャグマンガ日和』の聖徳太子のイラストタイプのものの2種類があり、どちらか片方を選ぶ。私は通常の文字タイプをいただいたが、後から思うに聖徳太子版のほうが記念になったかなとも思う。ただし、結願之証をいただいた時点で手首にまいたチケットにチェックを入れられるから、「おかわり」はできない。

この後は聖徳太子を祀る聖霊殿に向かう。こちらの絵堂では通常毎月22日の聖徳太子の月命日のみ公開される「聖徳太子絵伝」が特別に公開されている。聖徳太子の生涯が7面の障子絵で描かれ、改めて太子の業績をしのぶことができる。

聖徳太子といえば十七条憲法。その中に「和を以て貴しと為す」という言葉がある。この「和」は、新元号「令和」の「和」の由来であると、「令和」の考案者とされる中西進氏の講演を聴いたばかりである。四天王寺でも「霊場巡拝いこか」に際して、新元号「令和」の記念法要を行っている。

新元号となってちょうど1ヶ月が経過した。一時のブームは落ち着いたように見えるが、そうなるとこのところ続く暗いニュース、話題がまた影を落としてくるのを感じる。ただその中で、かつての偉人に思いを馳せ(『ギャグマンガ日和』ではかなりクセの濃いキャラクターで描かれているそうだが)、先人たちに学び、新たな時代をどう築いていくか考えるのは悪いことではない。また心のよりどころをどこかに見つけることで、落ち着いた日々の暮らしにもつながるのかなと思う。そんなきっかけになった「霊場巡拝いこか」であった・・・。

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