まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

国鉄型気動車と大晦日の強風

2020年01月10日 | 旅行記B・東北

村上駅でホームの先に停まっていた気動車を見て心の中でうなる・・・何やら怪しげな行いだが、今回の巡り合わせは年の最後にラッキーなことだと感じた。

新潟地区では国鉄型車両の置き換えが進められていて、かつての鉄道旅行では当たり前に乗っていた車両も少しずつ減っている。特急型の485系の改造で最後まで残っていた「きらきらうえつ」は2019年秋に引退したし、115系が限られた運用となったこともこの旅の記事で触れている。

そこにもう一つ、キハ47、48という気動車が加わる。JR東日本でも置き換えが進められていて、新潟地区については2019年度中に全面的に引退するという。JR東日本の非電化ローカル線で主力の110系に加えて、ハイブリッド型の車両が増車される。まあ、快適性は向上するから地元の人には良いニュースだろう。

そのキハもすでに車両を減らし、運用も限られるから今回出会えるかどうかだったが、まさかここで目にするとは。しかも4両編成。青春18の乗り継ぎ客を当て込んだか、あるいは酒田に着いてから切り離して運用するのかもしれない。

後ろ(新潟寄り)2両はキハ48、47の国鉄急行色。国鉄時代はこの色が使われることはなかったのだがかつての風情を出している。また前2両はキハ47の新潟色。青バージョンと赤バージョンである。さまざまな色の組み合わせ4両は、引退前の大盤振る舞いのように見える。わたしの場合は、SLよりもこうした気動車のほうに懐かしさを感じ、それを惜しむ気持ちも強い。

4両のうち、かつての急行色のキハ48に乗る。寒地仕様でデッキがあるのが急行の姿に近い。

酒田までは2時間少し。発車まで時間があるのでいったん改札を出て、売店で飲み物を仕入れる。アテは村上名産の鮭の酒ひたしである。日本海を眺めつつの一献、これこそ「飲み鉄本線日本海」なり・・・。

先ほどから雨が続く。窓に水滴がつくがそれは仕方がない。鮭の遡上で知られる三面川を渡りしばらくすると日本海に出る。前々日、前日とは明らかに迫力が違う白波が押し寄せる。これが冬本来の?日本海の表情と言えるだろう。

この先しばらくは海を間近に、小さな港と岩場が繰り返される。風光明媚なところはたいてい険しい地形なので列車はトンネルに入ることが多いのだが、昔懐かしい気動車の旅を存分に楽しめる。当初は、新潟から酒田行きの「海里」に乗りたかったのだが満席だった。ただこうした鈍行プランにして、現地では実に満足である。

もっとも、外は押し寄せると沿岸の岩がすっぽり洗われるほどの波である。風も強い。駅に停まって発車するまでの間、風のために車両が揺れるくらいだ。そのため、風の確認として一時停止するところもあった。

鼠ヶ関で新潟県から山形県に入り、あつみ温泉に着く。車掌が何やら連絡を取っている。その後の案内で、強風のため羽前水沢までの間は徐行運転で行くとあった。先ほど村上までの列車の中で、羽越線強風のため「いなほ1号」が酒田~秋田間で運転取り止めになったという情報に触れたが、それをきっかけに他の特急にも遅れや運休の影響が広がりつつあるようだ。羽越線は単線と複線が入り交じる路線のために、これからも上り下り合わせての影響も広がりそうである。この先どうなるかだが、ならばどうなるのかの成り行きをじっくり見てやろうという気になる。別に酒田に急いで着かなければならないものではない。

あつみ温泉を出ると徐行運転になる。期せずして、列車の中から日本海をよりじっくり眺める機会となった。駅に着くたび時刻表と見比べると遅れが10分、20分と少しずつ広がる。こうなると全体のダイヤにも影響が出るわけで、さすがに新潟への帰りも少し気がかりになる。

その日本海とは三瀬でお別れして、庄内平野に入る。次の羽前水沢に着くと、速度を通常に戻すとの案内がある。ここまでで32分の遅れである。なお羽前水沢はJRコンテナが何基も置かれている。かつては近くの化学工場の専用線と貨物駅があったが、現在はトラックを使ったオフレールステーションである。

冬の田んぼは白鳥の越冬地。あちこちで数羽~数十羽単位で羽を休めている。

羽前大山で、私の後ろのボックスシートに座っていた家族連れが降りる。クラゲの展示で最近知名度が上がっている加茂水族館に向かうようだ。当初は鶴岡で降りるようだったが、水族館までの距離だと鶴岡よりも羽前大山が近いとして降りた。ただいずれの駅からも歩いて行ける距離ではない。「タクシーくらいあるだろう」と話していたが、果たしてどうだろうか。

鶴岡から広い庄内平野を酒田に向かうが、余目からまた徐行となる。この先最上川を渡るのだが、2005年12月に特急列車の脱線事故が起きたところだ。当時は荒天で雪や雨も激しかったところに、局地的な突風が発生して列車が弾き飛ばされた。それだけに強風時の列車運転についてはシビアになっている区間だ。幸い、徐行にて最上川を渡ることができた。

結局40分あまり遅れとなり、終点の酒田に到着した。改札口付近では、秋田、新潟両方面に向かう客がこの後の列車の運転がどうなるか、駅員にいろいろ問いかけている。私が帰りに乗る予定の「海里」も、定刻なら先ほどの普通列車の数分後に酒田に着くはずだが来る様子もない。「海里」の発車は16時なので時間はあるが、ダイヤはどうなっているか。

駅前には数台の観光バスが停まっている。秋田までの代行運転用だ。ただ、先ほどの駅構内もそうだったがさほど混乱した様子はない。

いずれにしても時間はあるから、町の中心の観光スポットまで歩いてみることにする。キャリーバッグをコインロッカーに入れて、強風の駅前に出る・・・。
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