まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

並行在来線第3セクターに乗る・・・しなの鉄道と信州郷土料理

2015年08月29日 | 旅行記C・関東甲信越
妙高高原からしなの鉄道北しなの線に乗り継ぐ。

しなの鉄道は、高崎~長野まで新幹線が開通したのにともない、横川~軽井沢間が鉄道廃止になり、軽井沢~篠ノ井が第3セクターに移管した時にできた。今の、新幹線開業と引き換えにJRから切り離された第1号である。今回金沢までの開業で、信越線は長野~妙高高原がしなの鉄道、妙高高原~直江津がえちごトキめき鉄道となった。篠ノ井~長野だけは信越線として残っているが、これは塩尻、松本からの篠ノ井線列車があってのことである。

そのしなの鉄道は、旧国鉄型の115系を使っており、4人掛けのボックス席とロングシートが並ぶセミクロス式。並行在来線4社の中で最も汽車旅風情を残す。ただ、車両のトイレは設備は残っているが封鎖されていて使用することはできない(故障ではなく、設備として最初から使用停止)。妙高高原発車前に慌てて駅のトイレに走る人もいる。

ここからは峠を越えて長野市街に向かう区間。少しずつ景色が開けてきて、乗ってくる客もそこそこいる。隣のボックス席に座った高校生くらいの女の子たちは東京の話題スポットの話で盛り上がっている。長野から新幹線に乗れば東京は近い。長野に新幹線が出来て年数も経っているし、長野県はもともと文化的に東京に近いと言えるのでそんな会話は普通なのだろうが、今回の北陸新幹線金沢開業で、富山や金沢といったところも東京の影響を強く受け、やがては東日本の文化圏に組み込まれて行くのかなと思う。

長野に到着。金沢から第3セクター4社プラス富山地方鉄道を乗り継いで来たが、この日の行程はここで終了。駅に近い長野第一ホテルにチェックイン。

このホテルは線路に近い立地で、かつ最上階に大浴場と露天風呂がある。ここからは長野駅を見下ろすことができ、北陸新幹線の発着も見ることができる。まさか素っ裸、フル○ン状態で新幹線を見るとはね・・・(逆に新幹線からはどう見えるのか。乞うご期待!・・・というほどのことではないが)。

※写真は、風呂ではなく客室から撮ったもの。安心してください、履いてますよ。

さて、長野での夕食である。信州らしいものということで駅前の繁華街をぶらつくと、こも樽をズラリと頭上に並べた一軒の店。「信州長屋酒場」という。「長野駅 郷土料理」で検索したら一番に来た店である。「ここ一軒で長野県」というコピーもいい。見る人が見れば観光客を当てにした店(確かに、価格はチェーン居酒屋や大衆酒場より高い)なのだろうが、昔風にこしらえられた建物と郷土料理に惹かれて入る。入るといってもくぐり戸で、身をかがめる。

戸を開けると「本日貸切」の文字。月曜なのに貸し切りかと思うと、店員が気づいて引っ込める。昨日日曜が貸し切りだったのがそのままになっていたのだろう。一人ということもあり案内される。カウンターのコーナーを埋める形で親子2世代の客がいて、私はカウンターの隅に陣取る。向かいには囲炉裏もある。囲炉裏の脇には店員がずっと座っていて、カウンター客の応対を一手に引き受ける。接客は実に丁寧。

昔風に造られた居酒屋は雰囲気いい。ただ、この店の昔風の内装や、日本酒がずらり並んだレイアウトのメニュー、そして○印の中に「上」の文字。以前にどこかで見たような気がする。

携帯で以前の記事を検索するうちにそれは見つかった。「越後番屋酒場」、新潟の駅前である。ここは仕事の絡みで新潟に行った時に職場の方と入ったところで、酒の種類があまりにも多いので何がお薦めか店員に訊いたり、新潟らしいものをいろいろいただいた。○印に「上」の文字は同じチェーンなのだろうが、それぞれの郷土料理を売り物にするのは、地産地消としてもいい商売だと思う。

いきなりつき出しに小鍋が出る。これでまずメニューを物色するが、いろいろあって目移りがする。全部が食べられるわけではない。信州名物で真っ先に思いつくのは馬刺だが、これはどんな味かは見当はつくし、大阪でも食べることはできる。なるべくここでなければ食べられないメニューを楽しみたい。そんな中で見つけたのが、塩いか。

信州なのに海の幸・・・と思われる方もいるだろうが、海がない分海産物は貴重。日本海のいかを保存食とするために、いかの腹の中に塩を入れ、いわゆる「塩の道」を通って運ばれてきたもの。海産物と塩の両方を得た料理だ。食べるときは水で戻し、輪切りにしてキュウリなどと和えるそうだ。

海産物でもう一品。「えご」というもの。これも海藻を固めたもので、こんにゃくのようにして出す。海がないからこそ生まれた一品と言える。

後はいなご、蜂の子、ざざ虫という珍味三種。普段の食生活で「虫を食う」ことはまずあり得ないのに、こちらに来ると手を出してしまうのは不思議だ。

酒は信州の蔵元72種がメニューに並ぶが、どれがどうだかさっぱりわからない。そこはカウンターの店員に訊いて、よく出るという「水尾」と、店員の割烹着の背中に書かれた「大雪渓」をいただく。グラスの下に枡があり、さらにその下に皿が敷かれる。グラスから枡、そして皿まで並々と注がれる。下の皿まで含めて正一合なのだろうが、飲む方としてはお得感がある。

店の感じとしては観光客向けで、地元の人が日常的に利用するのとはちょっと違う様子。それでも土日は常に予約で一杯とのことで、人気店のようだ。十分長野の味を楽しむことができた。またいつか長野に来ることがあれば、他の違ったメニューも体験してみたい。

夜の部はここだけにしてホテルに戻る。パソコンでブログ記事を書きつつも、旅の最終日となる翌朝は3時には起床の予定である。いい加減なところで寝ることにする・・・・。
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