まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

第33番「華厳寺」~西国三十三ヶ所巡り・39(大垣町歩き)

2015年12月24日 | 西国三十三所
谷汲山華厳寺の参拝を終えてバスと養老鉄道を乗り継いで大垣に戻る。昨夜は列車の人身事故もあって到着が遅くなったため、駅のコンビニで夕食を買い求めてホテルに入っただけだったので、少しの時間だが久しぶりに散策する。

駅前の商店街を抜けてやってきたのは大垣城。江戸時代は戸田氏の居城であり、町造りとともに学問を興すことにも力を注いだ。今の天守閣は戦後に再建されたもので、公園には初代大垣藩主の戸田氏鉄の像がある。ちなみにこの戸田氏鉄、大垣の前は尼崎の城主を務めていた。

ただ、大垣城が歴史上表舞台に出て来るのは、関ヶ原の戦いである。天守閣内の展示は関ヶ原の戦いに関するものが多い。東から来る徳川軍を迎え撃つため石田三成が拠点としたのが大垣城。家康は大垣城を攻略するか、そのまま大坂へと素通りするかの選択で、まずは先鋒隊に大垣城を攻めさせた。ところが、石田三成の片腕と言える島左近らの逆襲でこれを破る(杭瀬川の戦い)。家康はこれを見て、「城攻めは犠牲が多く、時間がかかる。時が経つとまた西軍になびく者が出て、東軍の結束が弱まる」と判断し、大垣城を素通りして西軍をおびき出し、得意の野戦で一気に打ち破ることにした。これが成功し、事前の内応工作もあって、関ヶ原の戦いがわずか一日で決着がついたのは広く知られているところ。

家康と三成を対比させる形での紹介パネルがあるが、大垣城としては心情的に三成の肩を持ちたいような書き方である。ただ、憎たらしいけど家康が勝ったのはこういうところが優れていたからだと、きちんと評価している。

他には先の杭瀬川の戦いを合戦屏風から再現したジオラマや、関ヶ原の戦いをCGで再現した映像が楽しめる。

大垣城はこのように関ヶ原の戦いがメインで、戸田氏に関することは、大垣城の公園の横にある郷土館で紹介されている。

そして大垣で有名なのは、松尾芭蕉の「奥の細道」のむすびの地である。大垣城から10分ほど歩くと櫓があり、水路に舟が停まっている。芭蕉と、その弟子でスポンサーだった谷木因の像が出迎える。

ここに記念館がある。以前大垣に来た時もむすびの地を訪ね、記念館にも入ったのだが、古い感じの建物だったのが明らかに変わっている。

館内撮影禁止なので画像はないが、3Dシアターで芭蕉や「奥の細道」の世界に触れたり、「奥の細道」の原文を抜粋して解説がされていたりと、今の若い人たちにもわかりやすい展示である。3Dシアターでは特に東北から日本海にかけての風景が立体的に美しく表現されていた。俳句の世界というのは私にはわからない、難しいというものだが、「奥の細道」の旅の景色というのは好きである。久しく行っていないが、東北の風景というのをまた見たいものである。

記念館で折り返しとして、駅まで再び歩く。途中で大垣本陣跡や、由緒ある建物の菓子屋などを見る。また大垣は水の町でもあり、湧き水もある。こういうところは地元の人たちがポリボトルを持ち込んで水を汲む光景が広がる。

路地を一本入ると「ここだったのか」と思わず口にしたスポットに出る。「大衆酒場 盛升」。そう、今回の巡礼の記事の始めの方で、大垣でのお目当ての店としていたところである。吉田類が「酒場放浪記」で訪れただけでなく、他のブログやグルメサイトでも高く評価されている。昼飲み営業はないし、日曜だから閉まっているということで今回は外観のみとして、次に大垣に来る時の楽しみにしたい。

もう一回「ここだったのか」とつぶやいたのが、盛升の隣を見て。ここは「藤吉郎」という店だった。以前に大垣に泊まった時に訪れたのがここだった。当時は何の予備知識もない中、歩いていて入りやすそうだから入って、なかなか良かった印象だった。しかし「藤吉郎」は閉鎖した模様。今は痛々しく残る隣が名店であったとは・・・。

そろそろ駅に戻り、駅反対側のショッピングモールは別にいいかなと、米原行に乗車する。次の垂井に着くまでに、昨夜の事故現場はどこかなと外に目をやる。「おそらくここかな」という踏切は見つけたが、周りは案外住宅が建っている。事故当時に周りは真っ暗だったから、てっきり田んぼの真ん中の踏切かと思っていたのだが。改めて、亡くなった方の冥福を祈る。

この後は実際の関ヶ原を過ぎ、米原では機械的にホーム向かい側の新快速に乗る。これでそう遅くない時間で帰宅できる・・・。

・・・これにて、およそ一年半かけての西国三十三所めぐりは完結した。

ただ、この「続き」についてもう少し書くことがあるので、今しばらくのお付き合いを・・・・。
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