まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

青春のロシア・アヴァンギャルド

2008年06月22日 | まち歩き

22日はプロ野球交流戦の(通常では)最終日。天気予報は雨であったが午前中大雨の降る気配がなかったので、とりあえず応援道具一式を持って、神宮球場での東京ヤクルト対オリックス・バファローズ戦観戦に出かけた。ただ、地下鉄銀座線の外苑前駅まで来たところで、改札口のところに「本日中止」の貼り紙。ならばということで改札口は出ずに、そのまま次の列車で渋谷まで出る。私が渋谷に出るというのは滅多にないことですが・・・。

地下鉄に乗っている間に本降りになっており、今日やむことはないだろうから中止は当然のこと。今日はこちらでしばし過ごすことにする。で、渋谷とくれば先日開業した地下鉄副都心線乗車ということになるだろうがそれは後回しにして、やってきたのは「Bunkamura ザ・ミュージアム」。

Mainvisual21日から「青春のロシア・アヴァンギャルド シャガールからマレーヴェチまで」という展覧会をやっている。ロシア・アヴァンギャルドとは、20世紀初頭にロシアで盛んになった前衛芸術運動ということで、ロシア革命で揺れ動く中、西洋のいろんな芸術論の影響を受けつつ新たな芸術を模索していった若者たちの活躍というものである。このロシア・アヴァンギャルドは絵画や彫刻だけではなく、建築や舞台芸術などにも広がったもののようだが、この展覧会ではミュージアムの特性上、絵画に絞っての展示である。ロシア~ソ連というと共産党の一党独裁とか、検閲国家とか、どこか閉鎖的なイメージがあるのだが、この革命の前後というのは、芸術面で自由な雰囲気があり、それが新国家建設にも少なからず影響を及ぼしたというのである。

「Bunkamura ザ・ミュージアム」には以前にエッシャーの展覧会で一度だけ訪れたが、そのときと比べてテーマがマイナーなせいか、あるいは雨天のせいかさほど混雑しておらず、ゆったりと眺めることができた。私が訪れたのは別に特定の画家の作品がお目当てというわけではなく、「20世紀初頭」とか、「ロシア」とかいう言葉になにがしかの関心があるため。何だか、独特の雰囲気があるし。

P6221815作家や作品の見どころはBunkamuraの公式ページの解説にゆだねるとして、鑑識眼のほとんどない私でも、抽象画のような、幾何学的な構成のような作品を見て回る。「前衛」というと個人的には、学生時代のバイト先の近くにそういう名前のバイキング方式の料理屋があって何回か食べに行ったっけな・・・と、そんなアホなことも思い出したりしたものだが、貸し出し式のヘッドフォンによる解説を聞くと、なかなかためになるものである。

P6221816加藤登紀子さんの歌で「百万本のバラ」というのがある。貧しい画家が美しい女優に恋をして、ある日、その気持ちを表すのに女優の家の庭を百万本のバラで埋め尽くしたという歌詞で、元々はソ連でつくられた歌なのだが、その中に登場する「貧しい画家」のモデルというのが、この展覧会でも紹介されているピロスマニというグルジア人の画家である。実際、放浪生活の中で生活の糧として看板の絵など黙々と素朴な絵を書き続けたという。生前は「幼稚な絵」として画壇では認められなかったというが、死後になって評価されるという、芸術家の生涯によく見られる(文学にせよ絵画にせよ、そういうのって結構ありますな)評価のされ方であった人。こういうエピソードも初めて知ったことである。

ヘッドフォンからちょうど「百万本のバラ」が流れてきた。曲も歌詞自体ももの悲しげな感じだけに、切なさというのが伝わってくる。ただ果たして私に「百万本のバラ」を捧げる勇気というのがあるだろうか?

ミュージアムショップでは定番の図録やらポストカードのほかに、ロシアを代表する民芸品のマトリョーシカやら、グルジアのワインなんてのも置かれていた。書籍のほうもロシア・アヴァンギャルドに関するもの以外に、ロシアの政治、経済、文化、歴史について一つのテーマを書いた小冊子も販売されており、ロシアについて知識を深めるためのきっかけにはなりそうである。結局小冊子の購入は今日のところは見送ったが、会期は8月まであることだし、またのぞいてみよう。

雨の日の美術鑑賞。たまには、こういうのもいいかな・・・。

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