まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

『最長片道切符の旅』をたどる机上旅行~第5日(鬼志別~札幌)

2018年06月27日 | 机上旅行
宮脇俊三の『最長片道切符の旅』を40年後に同じルートでたどるとどうなるかの机上旅行。2018年版はここまで廃止路線の転換バス、あるいはその転換バスすら廃止されてしまった区間をなんとかつないできている。旅の進捗は40年前よりも遅れており、第4日を終えてオホーツク海側の猿払村の鬼志別にいる。

鬼志別と稚内を結ぶ路線バスは1日6便。その始発である6時37分発で出発する。この後の列車の乗り継ぎを考えるとおよそ1時間後の次の便でもよいのだが、あえて始発に乗ったのはわけがある。この路線が本土最北端の宗谷岬を経由するからだ。これは『最長片道』ではなかったことで、切符のルートからは外れるがここは一旦下車する。7時21分着で、次の便は8時29分発とある。私も宗谷岬を実際に訪ねたのは学生の頃だからかなり前のこと。確か3月だった。雪も積もり、どんよりした曇り空で風も強かった。岬にあった土産物の公衆電話で自宅に「宗谷岬から」と電話をしたのだが、その時に大相撲の春場所の中継をやっていて、画面では大阪城と梅の花がをバックに翌日の取組予定を流していた。大阪の春の訪れと北海道の冬の景色の差というのを何となく憶えている。

バスは9時14分に『最長片道』の経路である南稚内に到着する。次に乗るのは南稚内10時31分発の名寄行きだが、当然始発は稚内。せっかく日本最北端の駅が近いのだから、ここはバスにそのまま乗り、稚内駅から名寄行きに乗ってもいい。『最長片道』でも急行「天北」を終点の稚内まで乗り通しており、そこで宿探しをしている。結局駅前のホテルはどこも満室で、結局タクシーで南稚内駅前まで移動してホテルに泊まっている。夜には宗八カレイを食べたとある。一夜干しにすると美味いカレイである。

宗谷本線を南下すると、利尻富士からサロベツ原野を望む区間である。北海道らしい車窓を楽しめるだろうが、現在、稚内から幌延までは1日に特急が3便、普通が4便しか走らない。この線路も果たしてこの先どこまで持つのかどうか危惧されるところである。

2018年版の旅では11時34分に幌延に到着。乗り換えるのは羽幌線からの転換バスである。今度は日本海に沿って走る。こちらも羽幌線の廃線跡が残されているようである。

もう10年以上前か、TBSのドラマで『砂の器』(中居正広さん主演)をやっていた。これは松本清張原作だが、舞台を平成時代に移して設定も大きくアレンジされたもので、作品としての賛否はいろいろ分かれるところだが、日本海側のいくつかのロケ地というのが印象に残っている。丹後半島だったり但馬の海岸だったり、青森の五能線沿線というのもあった。その一つに、全国を放浪する親子が鉄道の廃線らしきところを歩くシーンも印象に残っている。これが羽幌線の羽幌の北、初山田町の金駒内川橋梁である。

羽幌線では幌延から留萌まで4時間近く要したが、転換後の沿岸バスは同じ区間を3時間半ほどで結んでいる。これから乗るのは留萌本線だが、留萌から増毛までは2016年に廃止されている。

またこの6月17日、JR北海道は、残った留萌から深川までの区間も2020年度を目処に廃止する方針を地元に示した(ちょうど、この記事の下書きをした日のことである)。おそらく、その通りに事が運ぶのだろう。今は2018年版として机上旅行のダイヤを組んでいるが、これもまた変わることになるのだろう。ちなみに、合わせて廃止の方針を示したのは根室線の富良野~新得、札沼線の北海道医療大学~新十津川、日高線の鵡川~様似だという。富良野から新得までも対象となると、この机上旅行の第1日もまた様相が変わってくる。今後、北海道の鉄道というのはどれだけが残ることになるのだろうか。

『最長片道』ではこの先の接続ダイヤをあれこれ思案する中で、滝川で1時間半ほど待ち時間を捻出している。この日は日本シリーズの阪急対ヤクルトが西宮球場で行われており、スワローズファンの宮脇氏は駅前のホテルの喫茶室でテレビ観戦をしている。1勝1敗で迎えたこの第3戦は阪急のベテラン・足立が好投。阪急打線も加藤秀司、島谷、中沢のタイムリーが出て5対0、足立が3安打、三塁も踏ませない完封勝ちを収めた。宮脇氏も「あまりに見事な負けっぷりなので、かえってさっぱりした」と本文で記している。これ以後、本文内で日本シリーズに関する記載は見なくなるが、その後ももつれる展開となり、この5日後の第7戦では、日本シリーズの歴史として今でも語られる「あの事件」が起こることになる・・・。

2018年版は深川から特急で一気に岩見沢まで移動するが、『最長片道』では鈍行で移動している。711系という交流電車だが、この形式は私も乗ったことがある。JR全線の乗りつぶし(当時)に、最後の区間となった深川から旭川まで乗ったのもこの形式で、今では老朽化により全て新車に置き換わったが、近郊型として結構長く活躍した車両である。

室蘭本線の終点でもある岩見沢に到着。『最長片道』では16時42分発の旧型客車+荷物車という編成で沼ノ端まで進んでいる。こちら2018年版では岩見沢の到着が18時ちょうどということで、これまでのペースならここで宿泊となるが、この日は先が日が暮れてからになるが、少々無理して札幌まで進むことにする。その理由は翌日の第6日の行程にあり、本当なら『最長片道』同様小樽まで行ければベストなのだが、さすがにそれは到着が遅くなりすぎるので、北の都である札幌泊まりとする。

おそらく、乗り換えの時間で岩見沢の駅近くで夕食として、暗闇の中を気動車で淡々と進み、沼ノ端からは電車で淡々と札幌に向かうことになるだろう。札幌に着くのは22時すぎだが、おそらく北海道一の都市はまだまだ賑やかだろう。さすがにススキノまで遠征するのは厳しいので、駅近くでもう一杯行くか・・・。

※『最長片道』のルート(第5日)
南稚内6:14-(宗谷本線)-7:38幌延8:02-(羽幌線)-11:50留萌12:12-(留萌本線)-13:38深川13:49-(函館本線)-14:11滝川15:46-(函館本線)-岩見沢16:42-(室蘭本線)-18:20苫小牧(※切符のルートは沼ノ端までだが、苫小牧まで乗り越して札幌に早く着ける急行に乗車)18:30-(急行「ちとせ17号」)-19:27札幌19:28-(函館本線)-20:13小樽

※もし行くならのルート(第5日)
鬼志別6:37-(宗谷バス)-7:21宗谷岬8:29-(宗谷バス)-9:25稚内10:31-(宗谷本線)-11:34幌延12:19-(沿岸バス)-15:48留萌16:17-(留萌本線)-17:15深川17:19-(特急「ライラック36号」)-18:00岩見沢19:38-(室蘭本線)-20:56沼ノ端(※この先苫小牧まで行っても札幌への特急に手頃な時間がなく、素直に乗り換えた方が早着する)20:58-(千歳線)-22:04札幌
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