まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

第9番「金剛院」~広島新四国八十八ヶ所めぐり(己斐峠と高速4号線)

2021年06月01日 | 広島新四国八十八ヶ所

2021年の元日に始めた広島新四国八十八ヶ所めぐり、次は第9番の金剛院である。

広島新四国は宮島から始まって広島近郊をぐるりと回って宮島に戻る札所順だが、今回は佐伯区の石内に向かう。前回、同じ佐伯区の三宅の圓明寺に続いて佐伯区の山側、かつての「影面(かげとも)の道」沿いのエリアである。もっとも、広島新四国の札所順というのも何か歴史的な裏付けがあるものでもないし、四国遍路のように札所間を歩いて結ぶ・・という人もほぼいないだろう。

金剛院は佐伯区の南北を結ぶ石内バイパス沿い、五月が丘の住宅地の入口の交差点の近くにある。クルマで行くにはわかりやすいところだが、そこはあえて交通機関と徒歩で行ってみることにする。広島バスセンターから五月が丘団地、ジ・アウトレット広島方面へのバスに乗るのが一般的な行き方のようだが、変わったルートで行ってみる。

5月23日、この日もよく晴れて暑さすら感じる。前日のJR路線での広島県一周に続いてのお出かけである。やって来たのは西広島駅で、こちらからまずはジ・アウトレット広島を目指すことにする。

ジ・アウトレット広島はイオンが手掛けるアウトレットモールで、2018年にオープンした。当然、前の広島勤務時にはなかった施設で、昨年こちらに来て五日市インターからの帰宅時に横を通っただけで訪ねたことはない。現在緊急事態宣言の影響でほとんどの店舗が臨時休業とのことだが、建物だけ見ておくことにする。

西広島駅から乗るのは広電の子会社であるボン・バス。西広島駅をベースに、主に西側の住宅地を走る路線バスである。この一帯、昔ながらの集落と山を切り開いた住宅地が続いており、道幅が狭く、カーブも多い。そのために車両も通常の路線バスより一回り小さいが、地元の人には欠かせない交通手段である。

このルートは、現在は高速4号線の開通でだいぶ緩和されたとはいえ、五日市インターから広島市中心部を結ぶ抜け道の一つとして、交通量も多いところだ。

住宅地を抜けると己斐峠に差しかかる。広島市内の心霊スポットとしてご存知の方も多いところ。カーブが多く見通しが悪いために事故が多発、またかつてこの辺りで殺人事件があり、それらの犠牲者の霊が見えるとか見えないとか。私は夜走ったことはないが、心霊スポットとかは関係なく、できれば走りたくないと思っている。

まあ、日中路線バスで通過する分には何も問題ないのだが、この広島新四国めぐりではそう遠くない時期に、ここ己斐峠に降り立つ場面が来る。その日を楽しみ?にするとしよう。

その己斐峠を上りきったところで大きく切り開かれた住宅地が現れる。その奥がジ・アウトレット広島。広々とした駐車場の中を抜け、一角にあるバス乗り場に到着。

現在新たなショッピングゾーンの増設工事中だが、現在のエリアはほとんどが臨時休業中。正確にいえば、一部を除き平日は時短営業、土日祝日は休業である。さまざまなブランドの店舗が構えるところだが、人通りもほとんどなく半ばゴーストタウンのようである。

ただそれでもクルマが停まっているし、人の行き来はある。数少ないながら営業を続けているのが、イオンシネマ、そしてイオンの食料品売り場である。まあ、この辺りの新興住宅地の人たちにとっては、イオンは重要なライフラインの一つだろう。映画館はさておくとして、せっかく来たのだから食料品売り場で何か買おう。時間的にちょうど店の人が惣菜売り場に弁当やおかずを並べだすタイミングだったが、これから寺参り、昼食はその後のこととして、保存できる食品をいくつか購入。

そして金剛院を目指すが、バスの時間が合わなかったこともあり、結局歩いて行く。歩くといっても1キロくらいかな。ちょうど石内バイパスも五月が丘の交差点までは下り坂だ。遠くにはエディオンスタジアムの屋根も見える。

交差点を挟み、前方に「真言宗金剛院」の文字が見える。以前からあったであろう看板で、私もこれまで間違いなく目にしているはずだが、見るのは初めてである。

小川を渡り、石段の下に出る。ここから上ったところの小さな門をくぐる。山の斜面の途中で、境内もさほど広くない。

本堂の前で、まるでお出迎えのように僧侶(住職?)が立っていた。「ようこそお参り」。偶然ではなく、私が来るのがわかっていたかのようだ。・・もっとも、別にこれは偶然とか、運命の出会いとかいうものではないだろう。どこかにカメラがあって、そこを上がる(怪しい)おっさんがいたのを見ていたというところかな(別に訊くことでもない)。

「どうぞ中にお上がり」と、外陣に通される。広島新四国ということで、正面から少しずれたところでお勤めをしようとすると、「どうぞ、正面にお座りください」と勧められる。そしてお勤めをしたのだが、その間、僧侶は外陣の隅でじっと見ている。いや、プロのお坊さんの前でお勤めをじっと見られていると思うと、むちゃくちゃ緊張する・・・。

「広島新四国のお参りで・・?」「そうです」「歩いて??」「・・いやいや、今日はバスで来ました」というやりとり。暑さと服装が合わないためにここまで汗をかくこともあったが、相手にはずっと歩いて来たかのように見えたのかな。確かに、ジ・アウトレット広島から金剛院まで歩いたが、それだけのこと。

金剛院はもともと平安時代に宮島に建立された寺だが、江戸時代に現在地に開かれた寺が宮島に懇請し、明治になって現在の本尊である大日如来を祀るようになったという。もっとも、現在は他の仏像も懇請されたようで、お勤めの最後にはさまざまな真言を唱えることになっている。果たしてこれで大丈夫なのかな・・・?

「当寺は高野山真言宗でして」と言われ、最後にはお茶葉の「お接待」をいただく。ただ、こうして寺の方はいたが、朱印は本堂の外に置かれた朱印箱の中。

現在の石内バイパスは山を切り開いて通された道路・・というイメージだが、前回の圓明寺の記事でも触れたように、奈良時代から平安時代初期の頃の海岸線はこのバイパス沿線にあったとされている。弘法大師信仰が宮島とその海岸に多く見られるのも、そうした位置関係にあったことの裏付けといえると思う。

寺を後にして、五月が丘の交差点に戻る。少し坂を上った五月が丘公園のバス停に向かい、広島バスセンター行きに乗車する。

五日市インターの前を過ぎ、アストラムラインの終点・広域運動公園駅を過ぎる。

この先、広島修道大学のキャンパスに立ち寄り、大塚駅へ。ここからは、高速バスで何度も通った高速4号線に入る。路線バスも行き来することでこの辺りの人たちも利便性も大いに向上した。

西風新都トンネルを順調に抜け、太田川放水路を渡る。

バスはこの先横川駅を経由するため、せっかくなので横川駅で下車。この先はいったん帰宅した後、次の札所に向かうことにする。

広島新四国はこの先広島の中心部に入るが、先ほど高架下を通ったアストラムライン沿いにもいくつかの札所がある。こうしたところも今後の楽しみとなる・・・。

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