まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

第14回中国観音霊場めぐり~浜田から下府へ

2020年08月27日 | 中国観音霊場

長い紀行文もようやく最終日。8月16日も快晴で、また猛暑日になるとの予報が出ている。

ホテルをチェックアウトして益田駅に行く。まず乗るのは8時11分発の浜田行き。この日の行程は、浜田まで移動した後、バスで下府(しもこう)駅口まで行き、第22番の多陀寺に参詣。その後益田まで戻り、昼の特急「スーパーおき」で津和野に移動。津和野で時間が空くので町並みを散策した後に「SLやまぐち」で新山口まで南下。最後は新山口から新幹線・・・というものだ。当初は、浜田から大阪まで行く高速バスに乗ることを考えていたが、8月1日から「◯◯のはなし」とともに「SLやまぐち」の運行も再開されたことで、また山口県に戻る形にはなるが、この機会に乗ることにして指定席を買っておいた。

日曜日ということもあるのか、駅にはほとんど人の姿が見えない。浜田行きに乗ったのは私の他には地元の人らしいのが2人だけである。キハ120の単行だが、数少ないボックス席に陣取る。

益田を出ると市街地の外周を回り、前日に続いて海岸線に出る。今はこうしてワンマン仕様の小型気動車だが、30年以上前に初めて山陰線のこの区間に乗った時は、ディーゼル機関車に牽引された50系客車だった。その時は米子方面から乗車し、確か浜田から下関まで直通したと思う。ただ当時は乗りつぶし第一で、途中下車しようとか観光をしようということはほとんど考えていなかった。年月が経つと趣向も変わるもので、札所めぐりを軸にして四国一周や中国一周をすることになるとは、その時は想像しなかったことである。

時折砂浜の広がる海岸に出る。ところどころは海水浴場にもなっているのだろうが、泳ぐ人の姿はほとんど見えない。今年の夏は新型コロナウイルスの影響で海水浴場を開かないところも多いという。関西では最もメジャーといえる須磨の海水浴場が閉鎖されたが、ニュースによると、開いた海水浴場に多くの人が集まって密になったとか、閉鎖されたといっても立入禁止というわけではないので勝手に泳ぐ人が出て問題になっているとか、いろいろ言われている。ちなみに、比較的感染者数が少ない山陰の鳥取、島根両県を見ると、海水浴場の「開設率」は島根が9割、鳥取で3割と、隣り合った県だが率に開きがあるという。この差は関西からの距離、アクセスの差が関係しているそうだ。

三保三隅~折居の山陰線の撮影の名所を過ぎ、折尾に到着。駅舎を出るとすぐに海水浴場という駅である。ただ車窓から見る限りは泳ぐ姿はほとんど見えない。

益田から乗ってきた私以外の2人の客もいつしか下車してしまい、かと言って浜田に行くのに乗って来る客もおらず、車内の客は私一人という状態で浜田の港町に差し掛かる。9時07分、終点の浜田に到着する。

これから目指す多陀寺は山陰線で浜田から1駅先の下府が最寄駅で、駅から徒歩10~15分とある。しかし山陰線の浜田から先の列車の接続は悪く、一方で下府からは11時台に浜田を経て益田まで直通する列車がある。帰りにこれに乗ることも頭には入れておくが、浜田駅から下府駅口を経て江津駅まで行く石見交通の路線バスが、日中は40分に1本の割合で走っている。ここは鉄道だけにこだわらず路線バスで行くことにする。時刻表を見ると次の便は9時20分発ということでちょうどよい。

周布から江津まで走る路線、国道9号線を走り、山陰線ともモロに並行しているが、途中あちこちにバス停があるし、本数もそれなりにあるので地元の人は日常的にバス利用だろう。

一つ峠を越える。その途中、「次は、多陀寺口です」と案内が流れる。多陀寺へは下府駅から徒歩と予定していたところにこの案内である。一瞬、バスを降りるべきか迷ったが、ここで降りると山の中を歩かされるのではないかという嫌な予感がした。ここは通過して、予定通り下府駅口で降りる。多陀寺に向かう前に、橋の向こうに見える下府駅をのぞいてみる。

下府(しもこう)というのも難読駅の一つではないかと思う。「府」は「国府」で、これを「こう」と読む事例を知っているので、まあ、そう読めるなと納得する。地名にも国分町とか、この後に国分寺というバス停にも出会ったから、かつての石見の国府がこの辺りにあったことがうかがえる。

多陀寺は、そうした国府に昔からある寺なのかなと想像しつつ、駅から歩く・・・。

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