まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

永平寺に初詣

2016年01月06日 | 旅行記D・東海北陸
大晦日の22時過ぎのえちぜん鉄道福井駅。勝山行の2両編成の列車に乗る。この時間となればアテンダントの姿もなく、運転手のみのワンマン運転である。

こんな時間にホテルを出て列車に乗るのは、永平寺に初詣に向かうためである。今回はえちぜん鉄道が企画している初詣ツアーへの参加で、永平寺口駅に22時50分に集合し、貸切バスで永平寺の門前まで行く。およそ2時間の自由行動の後、バスで福井駅(希望者は途中の駅)まで送ってくれる。行きの電車は個別支払いだが、貸切バス、永平寺の拝観料、拝観記念の護符、参道の土産物屋の割引券がセットで2500円。帰りの足のことを考えればまずまずの値段である。1日フリーきっぷを持っているので行きの電車代は別にかからない。

発車前の車内で運転手が「初詣ツアーにご参加のお客様はいらっしゃいますか?」と尋ねて回る。それに応える人がいると、「この時間は駅員もいないので、先にきっぷを回収します」とのこと。

すっかり暗い中を20分あまり走って永平寺口に到着。雨の中、20人くらいの客が降りる。ツアーにご参加の受付は駅構内とあるが、前回来た時と比べて駅舎が反対側にできていた。確かバス乗り場とバスの車庫だったところに、新しいけど木造で寺の玄関らしい建物ができている。ここで順番に受付して観光バスに乗る。並んで座っていた人もいるが、半分くらいの席が埋まる。

永平寺までの車中でツアーの説明がある。その中で寂光苑の除夜の鐘について触れ、今夜のNHKの「ゆく年くる年」で中継が入るので一時鐘突きがストップするとあった。状況次第では鐘突きを後にして先にお参りしたほうがよいとのこと。

バスが到着したのは土産物屋の駐車場。何のことはない、割引券というのはこの店のものである。まあそれはよいとして、ここで傘を借りて、えちぜん鉄道の係の人の先導で参道を進む。沿道には開いている店も多く、参拝客が温まるにはちょうどよい。

永平寺に到着し、ここから自由行動だが、一行のほとんどは引率に従うまま寂光苑に向かう。結構長い行列ができているが、このくらいなら並んだほうがよいとのこと。「ゆく年くる年」の中継で30分間は鐘突きの受付を止めるとあるが、番組の全ての時間を永平寺に使うわけではないから、すぐに再開するとか。

それでも長い時間待つ。冬の永平寺といえば雪深い景色がイメージされるが、暖冬とあって雪の気配なぞない。ただ雨の中、傘を差して順番を待つ。これも修行かいな。

時計を見るに、23時45分を回る。「ゆく年くる年」の時間だ。ワンセグが見られないので放送の様子はわからないが、いくつかの寺社に交じって永平寺の様子も放送されているのだろう。一時鐘突きを止めていた寂光苑だが、また行列が前に動きだした。

その途中で0時を迎える。ここでもカウントダウンするグループがいて、その瞬間にはあちこちで拍手が起きた。「おめでとうございます」の声も。私にとっとは、鐘を突く前のどこか中途半端な位置での年越しとなったが、名刹で迎えたことについてありがたいと思う。

そのうちに順番が来て(写真は前の人)、新年の誓いとともに大きく鳴らす。

ただ、並び始めてから1時間が経過しており、残りの時間で七堂伽藍を回らなければならない。結構慌ただしい。大勢の参拝客や雲水が行き交う中、拝観券を出して中に入る。慌ただしく傘松閣から仏殿、承陽殿など回る。

少し落ち着いたのが、もっとも上の法堂。畳敷の広いところで、ここでこれまでの西国三十三所めぐりのように般若心経のお勤め。先ほどの鐘突きのような行列もなく、まして神社のようなお賽銭じゃらじゃらの音もない、静かなお参りである。まあ、私自身元日に般若心経をよむのは初めてだが・・・。

参拝を終えて総受付に戻ると多くの人で賑わう。若い雲水たちが、瓦の寄付とカレンダー販売に大きな声をだしている。カレンダーはいいとして、瓦の寄進は一口乗る。お礼に数珠型のブレスレットや、曹洞宗の教本である修証義をいただく。曹洞宗といえば「只管打坐」の言葉にあるようにひたすら座禅しているイメージがあるが、教本を見る限りでは、もっと広い視点で三宝を敬い、釈迦の教えに近づくべく修行せよと言っているように思う。

そろそろ集合時間が近づき、バスに戻る。発車までの時間で駐車場横の土産物屋で商品を物色する。1時30分の出発のところ、5分前には全員が揃って発車することができた。さすがにこの時間となると皆さんお疲れの様子で、発車と同時にウトウトとしだす。私もその一人で、気づけば福井駅南側のロータリーに着いていた。列車も来ないこの時間に駅周辺にいる人はほとんどなく、静かな夜の佇まいである。ツアー参加の中には駅前のホテルに入る人もいた。こうした旅行者や、あるいは地元の人でも「クルマがない」、「渋滞や駐車場の混雑を避けたい」、「一杯飲みたい」という向きには格好のツアーだと思う。

そんな私もホテルの部屋に戻ったのは2時過ぎ。入口は開いていたが、こんな時間に入っていった私を見てフロント係はちょっと驚いていた。そのまま部屋に向かい、さすがにベッドに一直線。夜が明けたらどうするか・・・・。
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