まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

にっぽんのローカル線・芸備線を行く

2010年10月22日 | 旅行記F・中国

Dscn3610 17日の午前中を三次で過ごし、ワインと野球にほろ酔い気分で駅に戻る。次に乗車するのは12時44分の備後落合行き。ちょうど広島からの乗り継ぎ列車が到着し、1両の気動車もそれなりに乗客で埋まる。

気動車が行くのはそろそろ稲刈りも終了し、あちこちに干された稲藁が並ぶ景色。今年も新米のシーズンということで外食産業でも新米フェアをやっているが、今年の記録的な猛暑、量は平年並みをキープしたものの、品質という点で見るとあまりよろしくないという。熱帯の産物であるコメもさすがに暑すぎるのはよくないということか。

いかにも「にっぽんの田舎」という情景の中を走り、備後落合に到着。

Dscn3619  ここ備後落合は芸備線の一つの区切りであるとともに、木次線の始発駅でもある。かつては広島から木次線経由で松江方面を結ぶ急行も走り、またホームには「おでんうどん」なるものが売られていて活気があった。私もJR乗りつぶしの初期に備後落合駅を通り、おでんうどん(確か、ちくわ・こんにゃく・玉子という「王道」のトッピングを注文した記憶が)を味わったことがある。

Dscn3620 それが時代の移り変わり(といっても20年ほどの話だが)により、駅は無人化、急行列車もなくなり、今は一日に数本の1両の気動車が顔を見せる程度の駅になってしまった。もともと人家が少ないものの鉄道のジャンクションということで賑わっていた駅が、その鉄道が少なくなれば駅も活気を失ってしまうという歴史を表しているかのようなたたずまいである。そのためか、東広島の某大手電機メーカー(T社?)に属する牛山某の手によって「秘境駅」に勝手に認定されてしまった。

ただ最近は何がブームになるかわからないもので、「秘境駅」ということで訪れる人が多くなったものだ。それも、このところ鉄道ブーム、秘境駅ブームとやらに便乗して急激に増殖している中途半端な鉄道旅行者が・・・。

Dscn3624 ちょうど14時台というのはこの備後落合がラッシュを見せる時間である。芸備線の広島方面からの列車(私たちが乗ってきた列車)、新見方面からの列車、そして木次線の列車が一同に会する。そして同じように「鉄道の日記念きっぷ」のようなきっぷでやってきた人がホームにあふれ帰り、写真を撮り漁るというもの。どこが「秘境」やねん。

いや、別に駅が賑わうこと自体が悪いということではない。ただ「私はどの列車に乗ったらいいんでしょうか」「どこに行かれるんですか」「それが・・・よくわからないんです」などと、運転手相手にふざけているとしか言いようのない問答をやる客がいたり(東京の地下鉄やあるまいし、自分が次にどの方面に行くべきかくらいは把握せえよ)、いかにも牛山某はじめ昨今バブル的に増加している鉄道〇〇家とやらの書物を読んできたという出で立ちの客がいたりして、別に自分が何をされたというわけでもないがイラっとすることもあった。

乗り継ぎの芸備線の新見行きもそういう人たちや、他を寄せ付けない雰囲気を出しているいかにも「その筋」という出で立ちの人が多い。何せ備後落合から新見までは一日3往復。本数が少なければ少ないほど「その筋」は増えるという法則があったりして・・・・。

Dscn3627Dscn3629 この区間は本数が少ない分、ローカル線としての雰囲気は結構濃い。また駅も昔ながらの風情そのままで残っているところが多く、窓ごしに撮影しても実に絵になるところが多い。

Dscn3631 気動車はところどころ徐行運転をする。そういうところは線路のすぐ横に小川が流れてちょっとした渓谷ムードを出している。席を立ってカメラを構える人が多い。ただこれは観光客のためのサービスというよりは、カーブが急だったりがけっぷちだったり、あるいは線路際の樹木の枝が結構せり出してきたりという要因での徐行である。中国山地のローカル線で結構見かけた光景で、経費削減でなかなか線路際の樹木の剪定まではできない懐事情があるのだろう。

そんな1日3往復の区間で踏切にあたって足止めを食らったクルマというのは運がいいのか悪いのか、果たしてどっちだろうか・・・?

東城からは乗客もポツポツあり、景色も少しずつ開けてきた。駅の写真など撮っている私を見て、隣に座ってナンクロを解いていたオバサンが「どっか展覧会に出すの?」と話しかける。いやいやいや・・・ただの「飲み鉄」にそんな腕前はありませんよ。

Dscn3642 備後落合から1時間半の行程を終えて新見に到着。ここからは湘南カラーの115系に揺られる。高梁川に沿ってのいい眺めが続くが、さすがにここまで来て前日の夜行バスからの疲れが出てきたか、結構いい感じで眠っていたようだ。

Dscn3648 17時25分、岡山到着。この時間で岡山に到着したから・・・・ということで、このところ岡山に来た時の恒例になっている駅前の居酒屋「鳥好」へ向かう。

Dscn3645 いかにも大衆酒場という風情の居酒屋。この日はカウンターではなく長テーブル席へ。まあこのほうがゆったりしているし、カウンターというと個性の強いオヤジたちを相手にしなければならないので私のような若造はまだまだかなという気もする。

ちょうど夕方のニュースの時間帯で、この17日は中央線から201系が「引退」をした日。駅のホームやら沿線のあちこちに大勢のファンが押しかけてえらい騒ぎになっていたことを伝えていた。取材に出ていたのはテレビ朝日の村上祐子アナウンサーで、この人は大宮の鉄道博物館オープンの日に取材に来ていたのを現地で見たことがあり、結構「その筋」の人なのかなと思ったりもする。

Dscn3647 そんな201系のニュースも肴にしながら居酒屋メニューを楽しむ。最後はいろんな組み合わせで楽しめる「のりくらっち」で締めることに。

岡山の鉄道といえば、来月には因美線の「スローライフ列車」、そして津山線の「ありがとう」列車ということで、キハ28、58系が「引退」を迎える。これらの列車も大人気のようで、特に来月20日と21日に運転される「ありがとう」は1ヶ月前の発売開始日にも関わらず秒殺で完売したという。まあ完売するのは仕方ないとしても、それがその日の夜にはヤフーのオークションで高値で出品され、定価の15倍なら即決で落札という悪徳商法がまかり通るという状況。本当にそれってどうよ???

まあ、さすがにそういう熱狂はもういいかなと思ったりもする。やはりせっかく鉄道で出かけるのだから、できれば喧騒とは離れて、酒でも飲みながら楽しく行きたいと思うのだが、それって甘いですかね・・・・?

そういうことを考えるうちに岡山からの列車は兵庫県に入り、いつしか自宅に到着。結構長い一日であったことである・・・・。

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