まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

新球場with三次ワイン

2010年10月20日 | 旅行記F・中国

17日、「鉄道の日記念西日本一日乗り放題きっぷ」の旅である。広島駅の改札できっぷにスタンプを押してもらう。

さてここからのルートであるが、向かったのは北側の9番のりば。芸備線の発車ホームである。関西に戻るのであれば山陽線とか呉線に乗るのが通常ルートであるが、あえて北東に向かう芸備線に乗る。この線に乗るのも久しぶりである。

Dscn3568 ホームにはキハ40やキハ47など、5両の国鉄型気動車が並ぶ。朝の通勤通学輸送用であるが、ここまで気動車が並ぶのも圧巻の光景。6時58分発車、ここから三次まで向かうことにする。

マツダスタジアムを右手に見て、貨物ターミナルから北に線路を向ける。東区から安佐北区方面へと向かう。このあたり、広島での勤務時代は営業エリアとして受け持っていたこともあり、地名やら車窓やらには懐かしさを感じる。まあその頃はもっぱらクルマでの移動で、仕事で芸備線に乗ることはなかったのだが・・・。

Dscn3573 そんな高陽地区の中心にある下深川で後3両を切り離す。切り離された3両は折り返して広島に向かう。ここから2両編成となり、にわかにローカル色が強くなってきた。国鉄型気動車のボックス席に身を投げ出し、夜行バスでややお疲れ気味のアタマと身体をぼんやりと解放させる。

広島市というのも面積の広いところで、特に安佐北区は北東に長く広がっている。車窓もすっかり山の景色となり、瓦の色も赤い石州瓦が見えるようになってもまだ広島市。

Dscn3576 井原市を最後に広島市を出る。すると周りがどんよりとしてきた。これは雲というよりはこの地域独特の山霧。秋のこの時期に発生するもので、この列車の終点である三次は朝の雲海が観光名物である。私も秋から冬にかけて国道54号線をクルマで北上したことが何度もあるが、この辺りはライトをつけて周りのクルマに自分の存在を知らせるのが必須といった感じだった。かつて毛利元就がNHK大河ドラマの主人公に描かれたが、その原作は永井路子さんの『山霧』である。

その毛利の本拠地であった吉田城の玄関口である向原や吉田口を通るが、まさにどんよりした景色。今朝の霧は濃いほうかな。

Dscn3578 8時55分、三次着。そろそろ日が上がって時間が経ったからか、ここまで来れば青空が広がった。久しぶりに訪れる広島県北のジャンクションである。

ここから備北交通のマイクロバスに揺られる。広島地区の電車・バスが加盟しているICカード「PASPY」というのがあるが、JR西日本の「ICOCA」も利用できる。まさか三次の町で、私が持っている「ICOCA」が使えるとはね。恐るべし「ICOCA」。

Dscn3586 さてこの日訪問したのは三次ワイナリー。この後の乗り継ぎダイヤから、次に乗る列車は三次発12時44分の備後落合行き。それまで4時間近くをこの県北の盆地の町で過ごすことにする。そこで思いついたのが三次ワイナリー。広島で酒といえば西条が有名であるが、視点を変えてみれば県北の三次ワインも有名である。この日の「飲み鉄」はワインというのも一風変わった感じでよろしいかな・・・。

といいつつも、三次ワイナリーそのものを訪れるのは初めてである。中国道の三次インターに近い丘に中央病院や運動公園など広々とした一大ゾーンが広がり、その一角に洋風のワイナリーがある。

Dscn3588 ここではワインの醸造の様子を見学できるとあるが、よくビール工場などの見学で決まった時間にガイドさんが案内して・・・というものではなく、醸造の場もガラス張りで開放しており(この日は日曜日で操業してなかったようだが)、見学者が勝手に歩いていくというものである。ワインの貯蔵庫もあっけらかんとしたもの。

Dscn3589 ・・・となれば、お楽しみは試飲コーナーということになる。鉄道+バスで来ているので存分に楽しめる。赤、白、ロゼなど豊富で、ちょうど日帰りツアーのバスで来ていた団体さんとともに三次の味を楽しむ。もっとも先週はワイン祭りが行われていたそうで、惜しかったかな。

さて、所要時間を多めに見ていた三次ワイナリーであるが、来てみれば結構あっさりしたものだった。ここはむしろ土産物を購入したり、ワイン片手にランチを楽しむスポットである。さてこの後どうしようか。

・・・・と思ったが、実はバスで来た時にワイナリーの横に私がほくそえむスポットを見つけており、三次ワインのハーフボトルにチーズやかまぼこなどを買い求めたその足でそちらに向かう。

Dscn3582 2009年、ちょうど広島のマツダスタジアムが開業したのと同じ年に、ここ三次にも新球場「三次きんさいスタジアム」というのができた。「きんさい」とは広島弁で「おいで」という意味。その年には広島対楽天の交流戦が行われ、地元出身のカープの永川や梵が大きな声援を受けた。

Dscn3592 平地に建てたものではなく丘陵を切り開いて客席には入口から下に降りる構造。ちょうど西武ドームにも似た感じ。この日は広島県の秋の新人戦が行われており、その第一試合になるのかな、向原高校と油木高校の試合が行われていたところ。そう、帰りのバスの時間までこの新球場で野球を観ようというのである。幸い入場無料。

ちょうど秋の風が心地よくグラウンドを通り抜け、野球観戦には絶好の天候。

Dscn3583 さて野球場といえばビールだが(もちろん、高校生同士の試合に売店は出ていなかったが)、三次ワインを持ち込もうと思ったのがこのテーブル席。県内産の間伐材の有効活用ということで、ネット裏からベンチ上のエリアに備え付けられたもの。これ、他の野球場でもなかなかないシートですぞ。交流戦の時はボックス席扱いで販売されたのかな?

Dscn3591 ここに先ほど購入した三次ワインのボトルを開け(グラスはないので、試飲コーナーから失敬したプラスチックのコップで)、おつまみのチーズやかまぼこを広げる。何だろう、これまであちこちの球場で野球を観戦してきたが、こんな大胆な見方というのは初めて。しかも高校野球の、おそらく3年間甲子園とは無縁に終わるであろう田舎の学校同士の試合である。

Dscn3595 その試合のほうだが序盤から点の取り合い。1年生同士、両チームのピッチャーもよく投げ、それぞれ一生懸命のプレー。応援に来ていた先輩部員や保護者たちも大きな拍手を送る。

Dscn3599 ただ、まだ技術が伴っていないせいか、ちょっと強いゴロだとはじいてしまったり、ワイルドピッチも多かったり、中には3人のお見合いでフライを取り損ねたりというプレーが目立つ。見ている分には面白いのかもしれないが、プレーする分にはこれからまだまだ練習を積んで上達しなければいかんなというところだろう。

Dscn3603 バスの時間が近づいてきたので結局8回まで観戦、8対3で向原高校がリード、ただしエラーが両チーム合わせて8個という試合。来る前には全く思ってもいなかったこの旅の展開。球場でのワインという試みという形で野球場めぐりのコレクションが一つ加わるということになった。

(これを読んでいる人は、「一体この男は何をやっとんねん」と思うことだろうな・・・)

Dscn3607 再びバスで三次駅まで戻る。構内では鉄道の日記念のイベントをやっているようで(どうやら事前の抽選方式だったそうな)、「瀬戸内マリンビュー号」の姿も。呉線が災害のため現在も一部不通ということもあり、この日は三次まで遠征に来ているのだろう。

ここからは備後落合行きに乗車。乗り継ぎ列車から結構多くの旅行者がやってきた・・・。(続く)

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