まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

大井川鉄道へ~駿河鉄道めぐり・3

2006年09月12日 | 旅行記D・東海北陸

9月10日の早朝、静岡駅から東海道本線を西へ向かい、大井川を渡って金谷に着く。金谷には旧東海道の石畳が残っていたり、静岡茶の産地として知られる牧之原台地があって・・・というところなのだが、金谷で降りる人のお目当てはここから出る大井川鉄道である。

P1010967今回の「駿河鉄道めぐり」、まずは「大井川鉄道に乗ってみたい」という動機から来ている。大井川鉄道には全国的に有名なSLの定期運転や、アプト式線路を採用した井川線、それにかつての大手私鉄の電車が「昔の塗装で出ています」というのがあり、鉄道ファンにとっては楽しめる路線である。

ただ、これらの要素を満足させるにはどのように乗ればよいか。SLも9月に入り臨時便がなくなり、井川線も元々本数が少ない。当初は沿線のどこかか、バスで寸又峡温泉に泊まろうかとも考えたのだが、一人旅にはちと泊まりにくいところのようだし・・・。結局いくつかの組み合わせの中から、結局ホテルの多い静岡に「前泊」、そしてせっかくなので前日に岳南鉄道や清水鉄道を回ったという組み立てである。

大井川鉄道は金谷から井川線の終点・井川まで片道3090円。決して安くない。ただ、各種フリーきっぷが売られており、私の買った鉄道線全線フリーの「大井川・アプトラインフリーきっぷ」は、1日乗り放題で5500円。井川まで往復すれば元が取れる。

P1010968まず、金谷から乗るのは普通列車。といっても私から見れば「特急電車」である。元近鉄南大阪線~吉野線の特急として走っていた16000系。地元がその南大阪線沿線の私としては、「特別に」走っていた姿(今でも、一部現役であの線を走っている)を知っているだけに、懐かしさと同時に「何でここにおるんや」という気持ちがする。ヘッドマークが「特急」から「金谷-千頭」に書き換えられているほかの外装はそのままであるが、シートは向かい合わせに固定されており、おまけにワンマン運転の運賃箱が備えられている。ちょっと痛いかな。これは意図的だろうか、車端部には「石舞台古墳」の写真。これがかつて近鉄で走っていたことの証か。

P1010969 鉄道ファンやハイカーらしき人ばかり10人程度を乗せて発車。次の新金谷では今度は元京阪の特急電車とすれ違う。何だか関西に戻ったかのようだ。ここからはローカルムードとなり、大井川の広い河原を左右に見て走る。その昔「越すに越されぬ大井川」と呼ばれたこの川であるが、今見ると確かに川幅が広いものの、河原の砂利ばかり目立って、川の流れがほとんど見えない。涸れているんじゃないかと思うくらいだ。まあ、これは昨今上流に多くのダムが出来て川の流れを調節しているからであり、昔のようにダムがなく、また橋も掛けられていなかった頃は水量も多く、確かに「越すに越されぬ」だったかもしれない。

P1010971そんな大井川に沿って元近鉄特急に乗っていると、いつしか沿線の景色が吉野線のそれにダブってくる気がするのが不思議だ。1時間余り走って、大井川鉄道「本線」の終点・千頭着。山あいの駅だが、側線にはSLや電気機関車なども停まっており、鉄道の匂いにあふれている。

そして、これから乗るのが井川線である。千頭9時発というのが、井川への始発である。先に井川線を片付けようという作戦である。先ほどの特急電車とは一転して、軽便鉄道用のこぶりな車両。後部にはディーゼル機関車がついている。こいつを動力源とし、運転は先頭の客車で行う。

P1010976 車内に入る。立ったら頭を打ちそうな天井の低さである。思わず、「井川線の線路の幅っていくつかいな?」と、もう一度先頭部を見に行く。大井川鉄道本線、またJR在来線と同じ1067ミリだが、線路の幅と車両の幅がほとんど変わらないくらいに感じる。

客車8両つないでいるが、乗客は1両に数人いるかいないか程度。ゆっくりと発車し、千頭の駅を後にする。列車の振動、レールのきしみが身体に伝わってくる。大井川の幅広い河原を右手に見て進む。さて、これからどんな旅路になるのだろうか・・・。(続く)

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