大相撲の元十両で現在幕下の琴冠佑が引退届を出したという。その理由というのが、中日の取組後、対戦相手を支度部屋で殴ったというものだ。
中日といえば私も国技館に相撲観戦に行った日。そして、そういえば琴冠佑、ちょうど土俵だまりにお邪魔していたときに見たぞ。相手は、勢(いきおい)とかいう、まだ若い力士だったな。激しい突っ張りあいの末に最後は若い勢がベテランの琴冠佑を下し、その熱戦に幕下の取組とはいえ、館内大いに沸いていた。勢というシコ名もユニークといえばユニークなので、憶えている。
それがその後で、支度部屋で暴力行為とはね・・・・。ほとんど先がない、それでも十両復帰を願っていたであろう琴冠佑にしては悔しい一番だっただろうが、師匠佐渡ヶ嶽親方より年上の40歳のベテランがそういうことをしてはいかんわな。ましてや、先場所も露鵬の暴力行為が問題になったばかりというのに。
悔しいときに何かに当たりたくなるのはわかる。私だって仕事などで悔しいときはその辺のものを蹴っ飛ばしたり、叩き割ったりしたくなることがあるし、現にそうしたこともある。しかし、相手に手を出してはいかんでしょう。勢に危険行為があったとかいうなら別だが、土俵上ではそのように見えなかった。あ、待てよ・・・張り手があったな。年下が年上に張り手を出すのは今でも無礼なことなのか。そのあたりがキレた原因かな。
土俵の国際化に賛否ある中で、土俵の国際化を否定する人の言い分が「礼儀作法が乱れる」というもの。「外国人力士はマナーが悪いから、土俵の美を汚す」という論法のようである。ただこの一件で「外国人だから」という論法は崩れたな。キレるヤツはどこでもキレるし、礼儀正しい人はどの国の人も礼儀正しい。
この件は幕下での出来事だったためそう大きなニュースにはならなかったが、相撲が礼儀とか美を求めるのであれば、もう一度ここでタガをしめないと。せっかく相撲人気が回復しつつあるなかで、水の泡となってしまうよ・・・・。