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クラシック音楽オデュッセイア

2025年正月、ついに年賀状が1通も来なくなった“世捨て人”のブログ。クラシック音楽の他、日々のよしなし事をつれづれに。

<カントゥス・アルクティクス>

2004年12月14日 | 作品を語る
前回、ヴィヴァルディの<四季>の北欧風(?)名演奏をちょっと語ったので、今回は生粋の北欧音楽の一例として、現代フィンランドの作曲家の一人エイノユハニ・ラウタヴァーラの人気作<カントゥス・アルクティクス>について、少しだけ語ってみたい。

「鳥と管弦楽のための協奏曲」と呼んでもよいであろうこの美しい傑作は、自然界で録音された本物の鳥たちの声とオーケストラの音がコンチェルタンテに鳴り交わす、3楽章の作品である。

第1楽章:The bog(沼地)
第2楽章:Melancholy(憂愁)
第3楽章:Swans migrating(渡りの白鳥)

※注意:( )内の和訳は私が勝手につけたものゆえ、正確さは保証できません。

私は単なるアマチュア音楽ファンにすぎず、楽典的な分析などどう逆立ちしても出来ない人間なので、あくまでその範囲でのお話としてお読みいただけたらと思うのだが、この作品は Melancholyと題された短くも優しい美しさに満ちた曲を真ん中に挟んで、両端楽章がシンメトリックな設計で書かれているように聴こえる。

第1楽章は木管の前奏に続いて、鳥たちの声が聞こえ始め、その両者が絡み合って進むのだが、やがて弦楽がゆったりとしたスケール感のある旋律を奏で始める。実は最後の第3楽章でも、第1楽章の木管の主題がいくぶん変容した姿で現れ、鳥たちの声に続く弦楽もまた第1楽章のテーマによく似たものが提示されるのだ。

通俗性を持ったメロディとその雰囲気ゆえに、人によっては映画音楽のように感じられる作品かも知れない。あるいは、何か自然ドキュメンタリー番組のBGMか何かでそのまま使えるんじゃないか、といったような感じか・・。

でもまあ、さまざまな鳥たちの声とオーケストラが協奏するという、そのアイデア自体が結構イケてると思う。あのベートーヴェン先生も<交響曲第6番>で何種類かの鳥の声を模した音型をしっかり使っていらっしゃるし、レスピーギの<ローマの松>でも鳥の声が聞かれる。あるいは、メシアン(←私はあまり、この作曲家の作品が好きではないのだが)も鳥の声をモチーフにした作品をたくさん書いている。日本なら吉松隆あたりが、鳥という存在から相当なインスピレーションを受けている様子が見られる。それやこれやを考えれば、このラウタヴァーラ作品の出現は、ある意味、歴史の必然だったと言えるような気がするのだ。

(※ところで、<カントゥス・アルクティクス>と言えば、私がかつて持っていたオスモ・ヴァンスカ指揮によるBIS盤CDの演奏では、第3楽章の終わり部分で何かビュルビュル、キュルキュルという変な音が幾度か聞こえたのだが、あれはテープの巻き込みノイズだろうか?気になったなあ。)

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