クラシック音楽オデュッセイア

2009年の大病以来、月1回程度の更新ペース。クラシックに限らず、身の回りの事なども、気の向くままに書いております。

消費税増税、若きバーンスタインのマーラー録音

2012年06月30日 | エトセトラ
2012年6月。民自公の三党合意によって、消費税増税法案が去る26日(火)衆議院で可決された。ネット上にもツイッター上にも落胆と失望、あるいは怒りの声が溢れた。この6月から「子ども手当」の財源埋め合わせとして扶養控除が廃止され、住民税の徴収額が跳ね上がった世帯が多い。さらに来年1月からは復興増税なるものも開始され、所得税の税率も上がる。そしてそれは、25年間続く。そこへもって、今回の消費税増税法案の可決。順当(?)に行けば、再来年の消費税率は8%。その後またすぐに上がって10%。もはや真面目に働いたら負け、宗教団体や政治団体を利用して生活保護をゲットした者が勝ち。何だかそんなムードである。民主党政権になってからは生活保護の認可基準も大幅に緩められ、受給者数も上昇の一途。一部の外国人などは事実上フリーパスで支給されており、政府の方針でまた、その特定民族が続々と日本に呼び込まれている状況だ。何とも凄まじい世の中である。

さて、クラシック音楽の話。(と言っても、当ブログは既に休眠入りを宣言しているので、今日の更新もむしろ、「自分で言うのも何だけど、よくやったねえ」というところである。)若い頃のバーンスタインがニューヨーク・フィルとの演奏を中心に行なったマーラー/交響曲全集の録音(CBSソニー)が、廉価ボックス・セットで発売された。一度発売延期となって数ヶ月待たされることとなったが、買って良かった。LP時代から知っている演奏がほとんどなのだが、いくつかは今回初めて耳にした。

<第1番>は、LP時代によく聴いた演奏。今回久しぶりに聴き直してみて、意外なほど入念実直な仕上がりになっているものと感じられた。当ブログで以前書いたが、バーンスタインの<巨人>はコンセルトヘボウ管とのベルリン・ライヴ(Halloo盤・入手困難)が最高なので、どこか別のレーベルから良い音質で再発売されることを期待したい。

今回改めて最高だと思ったのが、第2番<復活>。これは激情型マーラー演奏のほぼ最高峰に位置する名演だと思う。女性のソロ歌手はイマイチだが、オーケストラもコーラスも指揮者の情熱に熱く応えてパワー全開。それに次ぐのが、第6番<悲劇的>。これも劇演。かなり聴き疲れがするけれども、<第2番>に準ずる圧倒的な豪演だ。

<第3番>も悪くはないが、これはやはりグラモフォン再録音の方がずっと上だろう。<第5>と<第7>も同様で、後年のデジタル再録音の方がずっと解釈も深まっており、オーケストラの仕上がりも上。特に<第7番>に、その感が強い。<第8番>もバーンスタインらしい熱気の渦巻くような演奏だが、この曲はウィーン・フィルとの映像収録盤がやはり総合的にベストだろう。<第9番>は、バーンスタインの指揮にしては感銘の薄い演奏に感じられた。

LP時代に宇野センセーが絶賛していた<第4番>も勿論名演だが、今回DSDリマスターされた鮮やかな音で聴き直してみて、「これはメルヘン的な響きというよりむしろ、骨太でくっきりした音の彫琢に特徴がみられる演奏だったんだな」と思った。この点については、LP時代の古い記憶をちょっと修正せねばならない。この<第4番>でのニューヨーク・フィルはどことなく、イスラエル・フィルっぽく私には聞こえるのだった。<第10番>のアダージョも、今の感覚で言えば並みの出来か。<第5番>あたりでも感じたのだが、「すごく良いところもあるんだけど、粗かったり、浅かったりする箇所が結構あるんだよな」という印象。この曲のデジタル再録音が果たされず、つくづく残念。最後に付いた歌曲集<亡き児を偲ぶ歌>は、オーケストラ・パートがさすがの名演だと思った。音楽がじんわりと、心に沁みてくる。独唱者のジャネット・ベイカーはイギリスを代表する名メゾだが、ここでの歌唱については、あまり心に来るものが私には感じられなかった。

―今回は、これにて。
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