クラシック音楽オデュッセイア

2009年の大病以来、月1回程度の更新ペース。クラシックに限らず、身の回りの事なども、気の向くままに書いております。

宇野功芳の「ラジオ体操」

2016年06月26日 | エトセトラ
もう随分昔の話になるが、テニス・プレイヤーの伊達公子選手がTVに出て、「うっちゃんなんちゃん」のうっちゃん(内村光良)と対面し、「こないだの『エースをねらえ!』のパロディ・コントを見て、私は転げ回るほど大笑いした」みたいな話をしたことがあった。あいにく当ブログ主はそのコントを見ていないので内容については何も分からないのだが、内村が宗方コーチを演じていたらしいというだけで、これは相当な物だったんだろうなと(笑)、おおよその察しがついた。

閑話休題。以下に記すのは、2003~2004年頃、ヤフー掲示板クラシック板(当時)に貼られた作者不明のコピペである。これを初めて目にした時、当ブログ主はまさに抱腹絶倒。あまりのおかしさに笑いが止まらず、本当に大変な思いをしたのだったが、心理的にはおそらく、内村の宗方コーチを見た時の伊達選手とほぼ同じような状態だったんじゃないかと思っている。

その独自の文体をもとに、一般人によってこのようなパロディが作られるほどに個性的な評論家、ほとんどフェノメナル(phenomenal)と形容してもいいほどに突出した評論家、こんな人はおそらくもう二度と出てこないだろう。

【名作復刻】宇野功芳の「ラジオ体操」(※当ブログ主が一部修正)

{ 夏休みのNHK生放送のラジオ体操に参加している僕であるが、やっているうちに音楽とピアノ伴奏のあまりの生ぬるさに憤りを覚え、いつのまにか朝礼台に立ち、体操ではなくピアノに向かって指揮をしている自分に気がつく。

テンポはところによって倍は速く、逆に倍は遅く、さらにアッチェレランドやルバートをかけ、音符一つ一つに深い意味を込めて歌わせる。まさに魂のラジオ体操といえよう。体操に参加している人からも好評である。

これはテンポの変化がフルトヴェングラー以上に激しいので、ついていくのに疲れるが、こうしてこそ本当の音楽と体操になるということが初めて理解できたと、終了後、みんな次々と僕のところに言いにくるのである。

近い将来、ピアノ版をオーケストレーションし、僕の手兵SAKURAの伴奏で体操する案をNHKに打診してみるつもりだ。

ラジオ体操の前に歌う「新しい朝が来た・・・」も、聴いているだけで歌わない人が多い。これには、声楽科出身の僕としては憤りを禁じ得ないといえよう。毎朝歌っているのは、台の上に立っている僕だけなのだ。もしかしたら、僕のあまりの美声と魂を込めた歌に酔いしれてしまって、誰も歌えないのかもしれない。

今後は、指揮をしながらラジオ体操参加者に歌の特訓もするつもりだ。オーケストレーションが完成するまで、ピアノは僕の親友であるエリック・ハイドシェックを起用することにしよう。フランスのエスプリが効いた、しゃれた演奏をしてくれるものと期待されよう。 }

宇野功芳(うの こうほう) 音楽評論家・指揮者
2016年6月10日(金) 永眠
享年86

―日本のクラシック音楽界に於いて、一つの“現象(phenomenon)”が終わった。合掌。
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