クラシック音楽オデュッセイア

2009年の大病以来、月1回程度の更新ペース。クラシックに限らず、身の回りの事なども、気の向くままに書いております。

アンドレ・プレヴィン追悼(2)~<真夏の夜の夢><動物の謝肉祭>

2019年03月16日 | 演奏(家)を語る
2019年3月16日。前回に続いての、アンドレ・プレヴィン追悼シリーズ。今回は、管弦楽曲部門。いろいろ考えてはみたが結局、初心者にも馴染みやすいポピュラーな作品を2つ選ぶこととなった。

●メンデルスゾーン 劇音楽<真夏の夜の夢>全曲

プレヴィンがロンドン交響楽団、他を指揮したEMI盤は、この名作の全曲録音として随一の魅力を持っている。彼自身がウィーン・フィル、他と行なった再録音をはじめ、他の指揮者による名演・名盤もいくつか存在する<真夏の夜の夢>だが、当ブログ主にとっては、プレヴィンのEMI盤こそが最高の逸品と言える物になっている。壮麗さと細やかさを兼ね備えた若き才人の名タクトもさることながら、声楽パートの素晴らしさが、それに錦上花を添えているのだ。今回の動画貼りは、その歌声が聴ける2曲。

―合唱曲『まだら模様のお蛇さん』

2人の女性歌手も好演だが、そこに児童合唱が加わるというのが最高。他の録音では聴くことのできない、特別な世界が広がる。



―『終曲』

美しい歌声とプレヴィンの雰囲気豊かな指揮によって、何ともメルヘンティッシュな幕切れが演出されている。



●サン=サーンス 組曲<動物の謝肉祭>

管弦楽曲部門に於けるプレヴィンの名演奏と言えば、ピッツバーク交響楽団を指揮した<動物の謝肉祭>も忘れられない。個性的な名演が居並ぶ<動物の謝肉祭>だが、プレヴィン盤は(おそらく、誰もが)安心して聴いていられる最も標準的、あるいは普遍的な名盤だろう。そして、このような通俗曲を親しみやすく、わかりやすく聴かせながらも、決して俗耳(ぞくじ)に阿(おもね)たりはしないのが、指揮者プレヴィンの立派なところ。今回は組曲の中から、特に人気の高い2曲を。なお、こちらの動画は音が小さいので、ボリュームを大きめにしての再生がお薦め。

―『水族館』



―『白鳥』



―次回は、アンドレ・プレヴィン追悼シリーズの最終回。協奏曲部門から、2曲。
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アンドレ・プレヴィン追悼(1)~<南極交響曲><鎮魂交響曲>

2019年03月02日 | 演奏(家)を語る
2019年3月2日(土)。一昨日(2月28日)、アンドレ・プレヴィンが亡くなったらしい。享年89との由。また一人、20世紀のクラシック界を彩った名士が世を去ってしまった。寂しいものである。

―ということで、緊急追悼特番。これから何回かに分けて、才人プレヴィンが数多く遺してくれた名演・名盤のうち、(当ブログ主の独断と偏見に基づいてw )特に注目すべきと思われる逸品を、YouTubeサイトから厳選してみることにしたい。今回はまず、交響曲部門。

●ヴォーン=ウィリアムズ <南極交響曲>

若い頃、映画音楽分野でも活躍していたプレヴィンにとって、V=ウィリアムズの交響曲第7番<南極交響曲>はおそらく、自家薬籠中の物であったに違いない。実際、ここで聴かれる演奏も若いながら堂に入ったもので、自信に満ちた説得力豊かな名演が披露されている。44分に及ぶ全曲を聴くのがしんどい方は、第1楽章(約11分)だけでもお聴きいただけたらと思う。[4:30]付近から女声のヴォカリーズやら、ウィンド・マシーンやらが出てきて、何とも映画的な、分かりやすい音楽が流れ始める。次いで、[35:07]から始まる終楽章(約9分)が、第1楽章のテーマを呼び返す形になっていて取っつきやすいかもしれない。荒涼たるエンディングの風景は、一聴の価値あり。



【2020年2月24日 追記】

いつの間にか上記の動画は削除されてしまったようなので、同じ音源から終楽章「エピローグ」のみの物を。



●ブリテン <鎮魂交響曲(=シンフォニア・ダ・レクイエム)>

指揮者プレヴィンが作った音楽というのは、時に壮麗な音を響かせつつも、基本的には中庸を得た妥当な解釈と、柔らかく温厚な(悪く言えば、生ぬるい)表現に特長があったように思える。仮に激しい曲を演奏しても、彼の音楽が聴き手をびっくりさせたり、怖がらせたりするようなことはまずなかった。その中にあって、当ブログ主が(もう、何年前になるか)初めてこの演奏を聴いたときは、結構な驚きを感じたものである。ここでのプレヴィンはちょっと、いつもと違うなと。現在YouTubeでは全曲の通し聴きはできず、楽章ごとに違う動画へ乗り換えて再生しなければならないが、場合によっては、第1楽章「ラクリモーサ」だけでも十分だろう。思いがけないほど迫力のある名演を聴くことが出来る。



―次回も、プレヴィン追悼シリーズ。
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