クラシック音楽オデュッセイア

2009年の大病以来、月1回程度の更新ペース。クラシックに限らず、身の回りの事なども、気の向くままに書いております。

ニコライ・ゲッダの訃報

2017年02月27日 | 演奏(家)を語る
前回、指揮者のジョルジュ・プレートルを追悼する記事を書いたばかりなのに、今度はテノール歌手ニコライ・ゲッダの訃報に触れることとなった。91歳で亡くなったそうだ。20世紀後半に活躍した名音楽家たちが次々と、この世を去っていく。何とも寂しい限りである。

複数の外国語に通じ、幅広いレパートリーを誇ったゲッダはある意味、“万能選手型”とも言える歌手だった。その点ではプラシド・ドミンゴと共通するタイプの人だったわけだが、声の質と歌唱スタイル、そして主なレパートリーから、マドリード出身の大スターに比べて彼はずっと地味(あるいは、通好み)な存在だったように思える。実際の話、あのパヴァロッティが亡くなった時の賑やかな報道とは対照的に、ゲッダの訃報は何とも慎ましやかで、ひっそりとした物だった。

さて、遺された録音を通じてゲッダのことを今回少し語ってみようかと思い、彼のディスコグラフィーを先日ざっと調べてみた。結果、その数の多さに改めて驚かされることとなった。当ブログ主がこれまでに聴いて知っているセッション録音だけに限っても、20をゆうに超えるオペラ全曲盤が確認され、これはどう話をまとめたものかと、すっかり途方に暮れてしまった。なので、具体的な作品名を挙げながらの感想文は、「またそのうち、機会があったら」ということにしようかと思う。

今回はゲッダの名唱について、今とりあえず頭に思い浮かぶ例を挙げてみることにしたい。まず、主役を張っての熱演としては、マスネの歌劇<ウェルテル>全曲(ジョルジュ・プレートルの指揮によるEMI録音)と、ベルリオーズの歌劇<ベンヴェヌート・チェッリーニ>全曲(コリン・デイヴィスの指揮によるフィリップス録音)。他の共演者たちと揃って賑々しく盛り上がった名演として、フロトウの歌劇<マルタ>全曲(ロベルト・ヘーガーの指揮によるEMI録音)。脇役として参加しながら、時に主役二人を食ってしまうぐらいの存在感を示した名演として、マスネの歌劇<タイス>全曲(ロリン・マゼールの指揮によるEMI録音)。・・・取り急ぎ、こんなところだろうか。

―数多くの名演・名盤を遺してくれた有能テナーの、天国での幸福を祈って合掌。
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