クラシック音楽オデュッセイア

2009年の大病以来、月1回程度の更新ペース。クラシックに限らず、身の回りの事なども、気の向くままに書いております。

セスキ炭酸ソーダの威力。ジェズアルド

2012年01月31日 | エトセトラ
ついこの間新年を迎えたと思ったら、もう1月が終わる。はやいものだ。・・・さて、つい昨日のことだが、私はちょっとした小物を買いに近所の100円ショップへ行った。そしてそこの掃除用品コーナーで、例のセスキ炭酸ソーダを発見したのである。その店で目にするのは、初めて。セスキについては去年からずっと1kgパックをネット通販で買っていたので、「おおっ、こんな小さな店にもついにセスキが入ったのか。そうかあ・・・」と、私は220g入りの小袋を手に取りながら、ひとしきり感慨に耽ってしまった(笑)。前回の記事の中でも軽く触れたとおり、このセスキという粉は実に驚くべき力を持っている。―ということで今回はまず、そのあたりの具体的な体験談から始めてみようかと思う。

セスキの洗浄力は多方面に応用可能なものだが、中でもこびりついた油汚れに対して抜群の威力を示す。台所のガスレンジを既に掃除済みだった私は、前回の記事を書いた数日後、同じ台所の壁に設置されている換気扇の掃除にトライしてみた。本体を丸ごと壁の枠から外し、流し台に下ろす。手には勿論、使い捨て型のポリエチレン手袋を装着している。何十年も汚れるままに放置していた油どろどろの換気扇である。とても素手で持てるような状態ではない。しかし、茶色くなった羽根と外枠を軽く分解した後に私がやったことは、単純そのもの。セスキの水溶液をスプレーでシュパシュパと吹きかけ、あとは古布を使って優しく撫でただけである。驚いたのは、そのスプレーをかけた段階で早くも、何十年と積ってきたひどい油汚れが、あっさりと溶け始めたことだ。スプレーを繰り返しながら布を回すようにして拭いてやると、汚れがゆ~るゆる、ゆ~るゆる流れ出すのである。力など全く要らない。この「ゆ~るゆるピチャピチャ、ゆ~るゆるピチャピチャ」を面白がってやっているうちに、いつの間にか汚れは全部きれいに流れ去ってしまった。換気扇の羽根の色が、元の青に戻った。スイッチ紐の色はずっと茶色いものだと思い込んでいたら、実は緑色であったことにも今回改めて気づいた。w  よけいな泡も立たず、ぬるつきもない。臭いもない。水でさっと濯いで乾いた後は、サラサラな仕上がり。その上、使用コストも極めて安い。言うことなしである。そんなセスキが売り場面積の小さな100円ショップにも登場したということで、昨夏以来の消費者運動がしっかり広がってきていることを私は嬉しく実感したのだった。

(※私がセスキの洗い上がりに満足した物をここであと2つ挙げておくと、長く使って黒ずんでいた静電気モップ、それとメガネやCDを拭くための柔らかクロスである。これらもセスキにしばらく漬け置きしたら見違えるほどきれいになった。合成洗剤のような泡もなく、ぬるぬる成分も一切ないから、ゆすぎも楽々だった。)

さて、当ブログ本来のテーマであるクラシック音楽の話。先日CDで、ジェズアルド(1560~1613)の作品を聴いた。中世・ルネサンス期の音楽にもかなり幅広く付き合ってきた私だが、なぜかこのジェズアルドには今の今まで縁がなく、その作品を聴く機会を持ち得なかった。で、今年ようやくその巡り合わせが来たという感じである。具体的に聴いたのは、リヴィオ・ピコッティ指揮パドヴァ古楽センター・マドリガリストの演奏を収めたCDだ。<サクレ・カンツィオーネス><ミゼレーレ>など、いかにも中世らしい雰囲気(特に後者)で、「ひと頃、こういうのをよく聴いていた時期があったなあ」などと思いつつ軽く聞き流していると、突然へにょにょっと音程が揺れてびっくりさせられる箇所が出てきた。いわゆる半音階である。曲は<聖金曜日のレスポンソリウム>。CDをひととおり聞き流した後、今度は歌詞ブックを見ながらじっくり聴く。半音階で歌われる箇所を逐一追ってみたら、作曲家の意図がわかった。例えばレスポンソリウム第1から「私に謀(はかりごと)を巡らす者が勝利を占めた」、同第3から「私が選んだブドウ畑よ・・・なぜ私を十字架につけ、バラバを解放するように苦く変わったのか」、同第9から「私の目は涙にくれた。私を慰めてくれた人が、私から離れていってしまったから」。これらに共通するのは、苦悩の感情である。それを作曲者は不安げな半音階で表現していたわけだ。「ジェズアルドは半音階や不協和音を使って、時代の前衛っぽいところがあった」と本の知識としては知っていたが、今回初めて音で聞いて「ああ、こういうことね」と納得した。これはなかなか面白い。いつかこの人の代表作とされるマドリガル集、特にその<第6巻>を聴いてみたいという気持ちになった。
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