クラシック音楽オデュッセイア

2009年の大病以来、月1回程度の更新ペース。クラシックに限らず、身の回りの事なども、気の向くままに書いております。

心電図検定2級の受検勉強に役立つ教材(1)【書籍編】

2021年03月29日 | 心電図検定
心電図検定シリーズの続き。今回から、検定2級の受検勉強に当ブログ主が使った教材の話。まずは、書籍編。

●『公式問題集&ガイド<改訂3版>』(日本不整脈心電学会編 メディカ出版)

心電図検定は試験終了時に解答用紙だけでなく、問題用紙も回収される。そして創設以来ずっと、具体的な出題内容は一切公開されることがなく、秘匿され続けている。各種の外国語検定などとは対照的に、過去問題集のような本も出ていない。「級別問題集とかが、あればいいのに」などとも思うのだが、おそらく今後とも、そういうのは出ないだろう。当ブログ主の感ずるところ、その徹底した秘密主義を埋め合わせるかのように、出題者は毎回、それこそ愚直なまでに、『公式問題集&ガイド』に準拠した問題を出し続けている。今回(第6回)の2級受検にあたって、「この本を勉強したからこそ、回答できた」と実感した例をとりあえず3つだけ挙げるなら、問題5、18、そして68あたりになるだろうか。問題5については、各種の障害がそれぞれどういう波形をしているか、試験直前に再チェック。それがそのまま、得点につながった。問題18はまさにこの本でこそ知り得た題材で、「おおっ。こ、これが出たか・・」と本番中、目頭が熱くなった(笑)。問題68については、同書に掲載されているカテコラミン誘発性の物とはおそらく違う症例(ジギタリス中毒か、アンデルセン症候群)が今回の試験では採用された(と、当ブログ主は推測している)。・・・そして勿論、これら3つ以外の題材も、(本当に、あれもこれも皆そうじゃんと、感心するぐらい)この本に出ているネタが大量に使われていた。

―ということで、結論。これは、心電図検定受検に絶対必須の1冊。

【注記】 今回(第6回)の2級にも出題されたtorsade de pointes(TdP)だが、この本にはカタカナの読み方が付いていない。日本語で「多形性(あるいは、倒錯型)心室頻拍」と呼ばれる同疾患名は元々、「尖った先端が、より糸のようにねじれた状態」を意味するフランス語である。従って、原語の発音になるべく近い書き方をするなら、“トルサド・ド・ポアント”が正しいということになる。たまに「ポアンツ」というのを見かけるのだが、あまりお勧めできない表記である。フランス語は複数形のsが付いても、ツとは発音しないからだ。

●『12誘導心電図 よみかたマスター<トレーニング編>』(栗田隆志編著 MCメディカ出版)

収録された問題数は50しかないけれども、どれもよく練られた良問。そして、本番の検定試験そっくりに選択肢が並んでいる。当ブログ主はこの本(と、上記の『公式問題集&ガイド』)を定期的な“学習進捗度確認テスト”として利用し、最後は試験日直前の“実戦モードの模擬テスト”として使った。

ネタバレになるので題材名と解答は言わないが、この本のQ10、Q22、Q28が今回(第6回)の2級で出題された。また、Q16の題材は今回こそ出題されなかったものの、いしゃたまチャンネルのなかじー氏がYouTube動画「心電図検定2級の全てを語ります。」の中で言及しているとおり、過去に出題された実績があり、典型的な2級問題と言ってよいものである。それと、Q42&Q46。この2問に共通する材料自体は紛れもなく2級の範囲で、実際今回の試験にも出ていたように記憶しているが、この本にあるような難しいパターンはおそらく1級レベル。また、Q番号は伏せておくが、1:1伝導の心房粗動も1級レベルの題材と言っていいだろう。

ところで、今回(第6回)の検定2級では、(この本にも勿論、収録されている)たこつぼ心筋症について、意外な角度から攻められるという体験をした。患者の現病歴に精神的なショックを偲ばせる事項が書いてあり、心電図上も、胸部誘導に巨大陰性T波が並ぶ。而(しか)して、正解の選択肢は「QT延長」。思いがけない角度から来たなあと、妙に気持ちを煽られた。同書に於いて、それと類似した“意外な角度からの攻撃”が体験できる題材は、ARVC(不整脈原性右室心筋症)である。「ε(イプシロン)波に様々な形態があることは数を重ねた練習で承知していたが、まさかこういう風に来るとは・・」が、初めてその問題をやったときの感想だ。なお、「右脚ブロックが顕現している心電図にあっては、ε(イプシロン)波の同定は困難である」という実例を、臨床心臓病学教育研究会の『心電図データベース』で見ることが出来る。ネタバレを避けるために症例番号は書かないので、興味の向きはそちらのサイトにて御確認の程。

―ということで、当ブログ主が2級の受検用に使った問題集は、上記の2冊。あと参考までに、一応買って目にした教材としては、以下↓の3つが挙げられる。

●『これならわかる!心電図の読み方』(大島一太・著 ナツメ社)

beginner-friendlyな、人気の1冊。実際、これは内容的にかなり優れた入門書であり、価格も非常に良心的。当ブログ主も、学び始めの頃によく開いた。レベルの点でも情報量の点でも2級受検用には足りないが、重要な基礎知識を幅広く網羅しているので、最初に手にする教科書としては好適な名著。特に、カラー図解が秀逸。また、ある程度学習レベルが進んでからでも、この本は読み直すたびに何らかの発見が得られるので、コスパの高さも相当な物。

●『続 やってみようよ!心電図』(高階經和・著 インターメディカ)

検定練習向きの、選択肢型問題集。パート1(全50問)の心電図波形問題は簡単なレベルの物ばかりなので、4級の受検勉強~3級の基礎確認用に向いている。パート2のセルフ・アセスメントについては、④に当たるQ121~144の波形問題が、2級受検の練習にも使えるレベル。それ以外の①②③⑤は、文章の穴埋め問題。これらは知識の整理には良いかもしれないが、受検に必要な実戦的判読能力の涵養にはあまり役に立たないように思える。「そういう定義や能書きを言葉で覚えるより、1つでも多くの心電図を見るよう努めるべき」という考えから、当ブログ主は④以外のページは無視した。(※ただ、見方を変えれば、ここに出題されている文章の穴埋めを全部きっちり回答できるぐらいに定義が頭の中で整理されているとしたら、それはそれで凄いレベルの人だと思う。)

●『心電図ナビカード』(生天目安英・著 Gakken)

遊びに使うトランプよりも大きめの、横13cm×縦7cmのカード(全25枚)。透明プラスチックで出来た01番「正常洞調律」のカードから始まり、各種の不整脈や心疾患を24枚の紙カードに整理したセット。4級の受検勉強、及び3級受検に向けての基礎確認をいつでも好きなときにできるよう、ポケットに入れて持ち運べるように作られた便利な教材。紙の質もしっかりしており、出来の良い商品と言える。但し、レベル的にはあくまで“基礎的な波形の確認用”の物なので、2級受検者には不要である。(※当ブログ主は買ってパラパラと見ただけで、結局、勉強にはほとんど使わなかった。)

―次回は、ネットのサイト編。
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第6回心電図検定2級~試験当日【2021年1月10日】

2021年03月20日 | 心電図検定
前回の続き。今回は、当ブログ主が受けた第6回心電図検定2級の、試験当日のお話。

2021年1月10日(日)。ついに来た。試験日。空気は冷たいけれども、お天気は上々。季節柄、「大雪とかにならなければ、いいけどなあ」なんて思っていたが、結果は晴天。良かった。体調も悪くない。試験中強い便意に襲われないよう、朝の食事を控えめに摂る。勿論、薬も飲む。お昼が近づき、出発の時刻。バス1台と電車2本の乗り継ぎで、会場のTOC五反田メッセへ。JR五反田駅に到着したのは、午後1時頃。で、西口を出たまではいいのだが、そこからの行き方がわからない。道すがらいろいろな人に尋ねるも、何故か皆その会場の名を知らない。「ごたんだめっせ?さあ・・・」って。3件目に訊きに入ったお店でも、店員さんは戸惑いの様子。こちらもすっかり困ってしまい、鞄から受検票を出して、「え~と、TOC五反田メッセ・・っていうんですが」。「あ、TOCなら、ここからだと、そこの道を右に入って・・」。そうか、現地の人たちも「五反田メッセ」だけではわからず、TOCでわかるのか。(※来年以降の検定もここが東京会場になるとしたら、遠地から来られて道に不案内な方は必ず、TOCと前置きしてから会場のある場所を訊いた方がよろしい。w あ、今の若い人は、スマホのgoogleマップでわかるか。)それから、あちこちキョロキョロしながら歩いて、会場に着いたのは1時半。ちょうど入口が開いて、外で待っていた人たちが入場し始めるところだった。おお、間に合った。

入口で早速アルコールポンプによる手指消毒を指示され、リモート検温で額の温度測定。「はい、いいですよ」の許可をもらって、受付へ。そして自分の受検番号の席が有る部屋へ入り、よいしょ、と机の上に荷物を置く。窓はないが、いくつもあるドアは全て開放。でもって、めっちゃ広い部屋。どんだけ~って言うぐらい、広い。たくさん並んだ長机に、それぞれ一人ずつ着席。両隣の人との距離が各々3メートルはありそうなぐらい、余裕のある間隔。勿論、全員マスク着用。みんな座って、黙々と最後の勉強中。当ブログ主だけは席に座らず、立ったまま『公式問題集&ガイド』を広げて読む。なぜ、そうしたか。内臓が壊れている当ブログ主の場合、長時間座っていると、それだけで便意を催すから。だから座るのは、まだ早い。巡回してきた監督官の一人に、「マスクは鼻まで、しっかり覆ってください」と注意され、あ、すいません。やがて時計が2時ちょうどを指したところで、お手洗いへ。これで用を済ませて、後はとりあえず試験終了の4時までお腹がもってくれればOKと。

トイレまでの往復途中で、今回の試験に集まった人たちの様子を軽くウォッチング。圧倒的に、若い人が多い。9割以上が、20代から30代(に見える)。女性の数も多い。試験の性格上、ナースさんや検査技師さんも多く関わるからだろう。それと、どの部屋をのぞいても、空席がチラホラ・・(当日のキャンセル?)。手洗いの蛇口の所で一人、小柄な年配の男性をお見かけしたが、どこかのクリニックのお医者さんかな。見た感じ、70代っぽい。立派ですね。そのお年でなお、検定試験に挑戦なんて。若い男たちは医師か男看さんか、あるいは技師さんか。トイレの入り口ですれ違った背の高い若い男が、チビで貧相な体をした当ブログ主を、あからさまな侮蔑の色合いを持った目で見下ろしてきた。・・・そうねえ、(特に大きい病院とかだと)大抵どこにもいるよね、こういうタイプの若い医者。恵まれた体格と、医師というステイタスがもたらす過剰な優越感。でも、人をさげすむのは、その人の中身を知ってからにしよ。それからでも別に、遅くはないっしょ。

2時20分。主催団体の人が拡声マイクを手にして、話を始める。「今回はコロナ問題があって開催が危ぶまれる部分もありましたが、『是非、やってほしい』という声が多数寄せられましたので、実施することにいたしました」。・・・今日の試験実現までには、水面下で色々あったんだろうなあ。で、この日は感染予防だけでなく、不正行為阻止への姿勢も徹底的。机の上に置けるのはマークシート用の鉛筆と消しゴム、受検票、そして持ち込みを認められた定規とディバイダー。筆入れは鞄にしまって、机の下へ。それ以外で当日認められたのは、手先で削るタイプの小さな鉛筆削り器と、眼鏡・老眼鏡(但し、眼鏡ケースは鞄の中へ)。・・・会場の空気が次第に、張り詰めたものになってくる。

受検生だけが味わう、この独特の緊張感。何年、いや何十年ぶりかな。ふと、過去を振り返る。高校入試とか大学入試とか、そんな大昔の話でなく、当ブログ主にとってもっと新しい受験の記録は、自分がまだ30代~40代の若かった頃に受けた各種外国語の検定試験ということになる。フランス語の2級を取ったのが、1998年の秋の検定。イタリア語の3級を取ったのが、1999年の春の検定。英語のTOEICで950を取ったのが、1999年の夏の試験。そして、中国語の4級を取ったのが、2000年の春の検定。その最後の中国語から数えても、もう21年経っている。・・・年齢が60代に入り、悪性腫瘍のために内臓を3つ切り取られている今の自分にも、まだ今回の試験に臨むだけの気力と体力、そして能力が残ってくれていたのだった。ありがたやのヨセフ。

試験の説明に続き、解答用紙と問題用紙が配布され、それぞれへの記名を指示される。解答用紙はごく一般的なマークシートだが、問題用紙はちょっと珍しい装丁になっている。ページを横にめくっていく普通の冊子型ではなく、上にめくっていくタイプの横長カレンダー型。なるほど、この形の方が12誘導の心電図をゆったり載せるには好適だ。紙の質もつるつるツヤツヤで、カレンダーっぽい。異なる点は、裏表の両面をきっちり使って問題が印刷されていること。・・・やがて時刻は、2時30分。試験開始。

試験時間は90分。これは思ったより、厳しかった。当ブログ主が(夜郎自大的に)考えていた事前の時間配分は、今にして思えば呆れるぐらい大甘な物だった。「最初の35分ぐらいで、全50問をざっと解く。そのあと、マークシートを丁寧に塗り直しながら、30分ぐらいかけて再びじっくり解く。で、20分~25分ぐらい余ったら、改めて全体をのんびり見直す。ひょっとしたら、退屈するかも」。・・・とんでもんぺ!とんでもんぺ!実際の試験たるや、とてもそんな余裕をかましていられるような状況じゃなかった。本番の2級は、予想以上に手強かった。

当初の予定通り、まずはマークシートを薄く塗りながら、全50問をひととおり解く。それが終わって腕時計を見ると、何ともう50分過ぎている!うわっ、やば。予定超過。最初のページに戻って第1問から、今度はちゃんとマークシートを塗りながらの見直し。残りはあと、40分。意外と少ない。回答を仕上げるのが、間に合うのか・・・。見直しの回は当然、最初の回よりも進み方はスムーズ。それでも、どんどん時間が経っていくように感じられ、焦る気持ちを抑えられない。気になって、やたら時計を見る。そこに時折入る、監督代表者のマイク・アナウンス。「残り、あと○○分です。時間配分を考えながら、進めてください」。だから、その、どの問題に何分費やすとか、そんな配分を考えていられる状況じゃないんですってば。w ・・・そして試験開始から80分経ったところ、つまり終了時刻の10分前に、やっと回答が仕上がった。顔を上げて、姿勢を正す。すーっ、ふーっと、深呼吸。カンニング行為と思われないように気をつけながら、周りの人たちの様子をさっと見渡す。余裕ありげな人は、いない。みんな必死。真剣そのもの。右隣のおねえさん(黒縁眼鏡をかけ、長い黒髪を後ろで一本に束ねている、技師さんぽい人)なんてもう、耳が真っ赤。秀策に“神の一手”を打たれた幻庵因碩(げんなんいんせき)みたいになっている。残り9分弱。もうこれ以上見直しても分からない所は分からないと、気持ちに区切りをつけ、問題用紙を閉じた。

午後4時。試験終了。解答用紙から問題用紙という順で、どちらもきれいに回収され、今回の試験問題は受検者各自の頭の中に残るだけとなった。当ブログ主の席は殆ど一番後ろの机だったので、大きな部屋の前の方でしゃべっている監督者代表の声はあまりはっきりとは聞こえなかったのだが、「発表は約1ヶ月後で、合格者には通知の他に “赤い色のハート型バッジ”が記念品として送られます」みたいなことを言っていた。そして、「バッジを受け取ったら是非、それを皆さんの職場で身につけていただいて、この検定のことを広めてください」というようなことも。めいめい荷物を片付け、帰り支度を始める。そして、はっきりとは分からなかったけれども、代表さんが最後に言ったのは、「では皆さん、次回は1級の試験会場で、お会いしましょう」みたいなセリフだったような気がする。しかし、それに対する受検生達の反応は重く、そこかしこから苦笑まじりの「ふっ」という声が漏れるばかりだった。

疲労感と安堵感、そしてある種の充実感みたいなものを抱きつつ、会場を出る。他の部屋から出てきた人たちも合わさって1つの塊となり、駅の方へと歩みを進める。来たときにはちょっと苦労したけど、帰りは駅まで人の群れについていけばいいということで、うんと楽だった。やがて上を見上げると、山手線の列車の姿。さあ、駅に着いたぞと。あとは2本の電車と、バス1台。乗り継ぎもスムーズで、思ったより早く帰ることができた。・・・そして夜7時になるよりずっと前に、無事、家に到着。

お疲れ様でした。

―次回から数回に分けて、当ブログ主が受検勉強に使った教材のお話。
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心電図検定2級合格までの道のり

2021年03月10日 | 心電図検定
心電図検定2級合格体験記。今回の記事は、「心電図の勉強を始めるところから、試験日直前までの流れ」について。

今からちょうど、1年前。2020年の3月。2019年以来、合計3回に亘る内臓の大きな外科手術を乗り越え、人生に1つの節目を迎えたところで、12誘導心電図の読み方を勉強してみようと思い立つ。「お腹の方は一応の区切りがついたので、これからは心臓の疾患についていろいろ調べてみたい」という気持ちになったから。自分が40代の頃から健診のたびに不整脈を指摘されていて、それが常に健康上の懸念材料になっていたという事情が、その背景にある。―と同時に、心電図には検定試験があり、身につけた実力のレベルを公的なテストで将来確認出来るという楽しみもある。よし、やってみようと。YouTube動画等を見ながら、何も知らないズブの素人が、文字通りゼロからの勉強スタート。

検定は毎年8月半ば頃の試験実施で、2020年度は第6回になるらしい。特に要求される受検資格はなく(つまり、医療関係者でなくても)、心電図に興味のある人なら誰でもOK。よっしゃ!「と、そうは言っても、今年は受検できないな。開始5ヶ月で、検定は無理だろ。何より、今度の8月は手術入院だし」。・・・勉強を始めて2ヶ月ほど経った5月、YouTube動画に「心電図検定対策講座」という一連のシリーズがあるのを発見。何問か、やってみた。結果はボロボロ。全然できない。そりゃ、そうだ。できるわけがない。w しかし、ここで初めて検定試験の姿というか、様子みたいな物がわかったので、これはその後に向けて非常に価値のある体験となった。

同年6月半ば、上記「心電図検定対策講座」シリーズの中にある『検定級判別試験』に挑戦。具体的なスコアは忘れたが、結果判定は「ぎりぎりで、3級合格圏」。3ヶ月目でようやく、実りらしき物が出てきた。その後、検定主催団体である日本不整脈心電学会のページに、ニュースが出る。「コロナウイルス問題により、今年度の試験は延期にします」と。・・・ふと考える。「8月じゃ全然無理だけど、試験日がもし10月~11月あたりに延期になったら、3級を受けてみるか。今の段階でもスレスレ合格圏のようだし、さらにあと4~5ヶ月準備ができるなら、十分いけそうだ」。やがて発表された新日程を見て、びっくり。試験日は11月どころか、年が明けて来年(2021年)の1月!気が変わった。これからまだ7ヶ月も時間がもらえるって。それなら、2級。迷わず2級。

同年8月。前半、予定どおりの入院。手術翌日の夜、つながった腸が元の姿に戻ろうと、水道管工事のような音を立てながらゴボゴボ、ギュオーッと動き出す。その痛みと苦しみはまるで、腸捻転。ベッドの上で、もんどり打つ。一睡も許さぬ程の激しい苦痛は幸い一晩で済んだが、肛門から止めどなく流れ出す排泄物がおむつの中に溢れる現象は、その後も延々と続く。我慢できないレベルになると、ナースさんに助けてもらって、おむつ交換。・・・そんな日が何日か続き、やがてお腹の様子もそれなりに落ち着いて、退院の日を迎える。しかし帰宅後も、当然ながら排便障害は続く。とにかく、「じっと座る」ということができない。椅子も駄目、畳部屋に正座するのも駄目、あぐらなんか最悪。座るとたちまち肛門に、ズド~ンと便が降りてくる。漏れそうになるのを必死でこらえ、大急ぎでトイレに駆け込む。1日の排便回数15回~18回。近所の買い物さえ、ままならない。・・・そんな状況で、8月はまともな勉強が殆ど出来なかった。

同年9月。肛門のムズムズ、ピリピリに耐えながら、YouTube動画や心電図関連のサイトなどを通じて、こつこつとお勉強を続ける。先月よりも排便障害が改善し、少しは座っていられるようになったのが救い。でも、まだつらい。

同年10月。受け付け開始日となる1日(木)、早速オンラインで受検申し込み。同日夕方、近所のコンビニから受検料&手数料(合計¥8,250)を支払う。「さあ、賽(さい)は振られた」と、気が引き締まる。同月31日(日)の夜、おなじみの「心電図検定対策講座」に新しい動画がupされているのを発見。早速その『心電図検定模擬試験1級・2級(1)』にトライ。全10問のうち問2、問6、問8の3つは明らかに1級レベルなのでパスし、残り7問に回答。結果、6問正解。順調。

同年11月。心電図の勉強を始めて、8ヶ月目(※夏の入院&退院後の空白を考えると、正味7ヶ月)。22日(日)の深夜、数ヶ月前に買ってわざと“積ん読”状態にしておいた『12誘導心電図 よみ方マスター<トレーニング編>』(栗田隆志編著 MCメディカ出版)をやる。出題レベルはだいたい2~3級受検向きだが、何問かは明らかに1級レベル。それも承知で、一気に全50問すべてに回答。結果、37問正解。正解率74%。続いて、これまたずっと意図的に“積ん読”しておいた『心電図検定公式問題集&ガイド<改訂3版>』(日本不整脈心電学会編 メディカ出版)に初めてのトライ。こちらは問題の数が多いので、27日(金)と28日(土)の2回に分けて回答。結果、全111問のうち82問正解。正解率73・8%。

同年12月2日(水)、受検票が届く。さあ、来た。あ、写真は2枚必要なのか。でも大丈夫。用意は出来ている。同月16日(水)、主催団体の不整脈心電学会から、新たな発表。

{ 第6回心電図検定試験は、会場収容人数の半数以下に定員を設け、マスク着用の徹底、体温測定後の入場など新型コロナウイルス感染症の感染予防対策を講じたうえで、2021年1月10日(日)および1月11日(月・祝)に予定どおり実施いたします。その一方で、新型コロナウイルス感染症は急速に拡大している状況にあります。また、政府が『Go To トラベル事業』の全国一斉停止を決定したことを考慮し、今回のみの特別措置として、感染への不安により受検を見送る場合には、次回(2022年1月9日(日)、10日(月・祝))の検定試験に振替えて受検いただけるものといたします。 }

その後、ツイッター検索サイトで「心電図検定」と入力してみたら、今回の措置に合わせて来年(第7回検定)に振り替えようという人たちも、一定数出てきている様子。

同月24日(木)クリスマス・イブの深夜、YouTube動画「心電図検定対策講座」シリーズの中にある『検定級判別試験』に、6月以来となる2度目の挑戦。全50問のうち、43問正解。

謹賀新年。2021年1月5日(水)、『12誘導心電図 よみ方マスター<トレーニング編>』(栗田隆志編著 MCメディカ出版)に、昨年11月22日以来となる2度目の挑戦。全50問中37問正解で、前回と全く同じスコア。「まるで成長していない・・」と、少なからずショックを受ける。前回できなかった物が今回はできた一方、前回は難なくできたのに今回は間違えたという例もある。悩ましい。試験直前になってのスランプは、ちょっと勘弁してほしいが。続いて5日(火)~6日(水)にかけ、『心電図検定公式問題集&ガイド<改訂3版>』(日本不整脈心電学会編 メディカ出版)に、これまた昨年11月以来となる2度目の挑戦。全111問中、97問正解。正解率87・3%。こちらは明らかに成長が感じられ、ほっと一安心。

試験直前の数日は上記2冊の他、これまで取り組んできた教材から気の向いた物を適宜選び、おさらい学習。時間と体調が許す限り、やれるだけの事をやった。内臓が壊れた老人の、一人勉強9ヶ月。いよいよ迎える、試験の本番。

―次回は、検定試験当日の様子について。
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心電図検定2級合格

2021年03月02日 | 心電図検定
2021年3月2日。昨(2020)年の3月から趣味で取り組んできた勉強の成果が、ここに来て1つ、目に見える形となって実を結んだ。去る1月10日(日)に心電図の判読能力を試す検定試験を受け、2級に合格したのである。最上位の1級には遠く及ばないが、学習期間の短い素人としては、上出来な方だろうと思う。今回の結果自体は2月15日(月)のネット発表を通じて既に目にしていたが、今日ようやく、合格証書と記念品の赤色ハート型バッジが自宅に届いたのだった。判定はBランク。つまり、全50問中、40~44問正解。まあ、とにもかくにも、良かった。「医療関係者でも何でもない、無職の引きこもり老人が、そんなのを持っていて何になるの?」と言われれば、確かにそのとおり。何にもならない。ただの自己満足だ。それでも、目標を掲げてやってきたことが成功を収めるというのは、やはり何というか、いくつになっても嬉しい体験である。

―ということで、心電図検定に関する記事をこれから、シリーズにして書いてみようと思う。次回は、その第1回「心電図検定2級合格までの道のり」。
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