goo blog サービス終了のお知らせ 

クラシック音楽オデュッセイア

2025年正月、ついに年賀状が1通も来なくなった“世捨て人”のブログ。クラシック音楽の他、日々のよしなし事をつれづれに。

心電図検定1級のレベル(4)~心筋梗塞の責任血管部位

2022年04月16日 | 心電図検定
第7回心電図検定1級に出た問題を振り返るシリーズ・第4回。今回は、心筋梗塞の責任血管部位。検定試験では、2級と1級のレベル差がはっきり出るテーマである。

★ST上昇を起こしている誘導とミラーイメージを確認し、心臓のおよそどのあたり(下壁・側壁・前壁中隔・後壁)で梗塞が起きているかを鑑別できれば、2級。
★おおよその梗塞箇所だけでなく、具体的な責任血管部位を答えるよう求められるのが、1級。

―心電図検定のおそらく最重要テーマということで、ブログ主は試験直前のチェック用ノートとして、下記のようなワープロ原稿を作成して会場まで持って行った。・・・そのほんの一部を、以下にコピペ。

●Ⅱ・Ⅲ・aVFでSTが上昇し、高さがⅢ>Ⅱ。V1~V3でST低下。

→責任部位は、RCA dominantの遠位部(#3)。この場合、Ⅰ誘導はミラーイメージとしてSTが下がる。また、詰まっているのは右室枝(#2内)よりも先っちょの方なので、右室に問題は無く、V4Rは変化なし。V1~V3でSTが低下するのは、下壁梗塞のミラーイメージ。

●Ⅱ・Ⅲ・aVFでSTが上昇し、高さがⅡ>Ⅲ。さらに、V1~V3でST低下。

→責任部位は、LCX dominant(#11~#14)。普通は側壁を巻き込むので、Ⅰ誘導でSTが上昇する(少なくとも、下がらない)。逆に右室側は全く無関係なので、V4Rは側壁梗塞のミラーイメージでSTが低下する。V1~V3でのST低下は、長いLCXが受け持つ後壁の梗塞と考えられる。その場合、背中の誘導V7~V9をとってSTの上昇を確認する。

●胸部誘導V1~V6のSTが上昇していて、Ⅱ・Ⅲ・aVFがST低下。側壁のⅠ・aVLで、ST上昇。

→責任部位は、LAD近位部(#6)かLMT(#5)。Ⅱ・Ⅲ・aVFでのST低下は、前胸部上昇のミラーイメージ。また、Ⅰ・aVLでSTが上昇するのは、側壁を養うLAD内の対角枝(#9&#10)も巻き込まれているからと考えられる。

●右脚ブロックがある心電図で、前壁誘導のST上昇が見られる。

→責任血管部位は、LAD近位部(#6)かLMT(#5)。右脚を養っているのは、#6から分枝している第1中隔枝だから。それの手前がふさがったために、右脚ブロック。また、ここでは側壁Ⅰ・aVLのSTも同時に上昇しがちであるが、その理由は1つ上の例と同じ。おそらく、対角枝(#9&#10)が巻き添え。

●下壁梗塞の責任血管部位は、V4Rが見られれば一発。V4RでSTが上昇していたら、RCA近位部(#1)。V4RがST変化なしなら、RCA遠位部(#3)。V4RのSTが低下していたら、LCX dominant。

●P波がないSSS(洞不全症候群)の心電図で梗塞が認められる場合、それは#1からの分枝である洞結節枝がやられていると考えられるので、閉塞箇所はRCA近位部(#1)。

●Ⅱ・Ⅲ・aVFのST上昇(且つⅡ<Ⅲになっている)とともに、V1~V3でサドルバック型のブルガダ波形が見られた場合、それはRCA近位部(#1)からのもう1つの分枝である円錐枝の領域が閉塞を起こしている可能性が高い。(※出典:日本不整脈心電学会HP →「会員・および医療関係者の皆様へ」 →「教育関連(書籍・情報)」 →「臨床心電図解析の実際-どこをどうみるか-重症不整脈に直結する波形異常編」 →第Ⅶ章 →「>」をクリックしてSTT-2へ。)

【以上、「円錐枝とブルガダ波形」の項以外は全て、『心電図マイスターチャンネル』の視聴学習で得た知識。】

―このような調子で、ブログ主は心筋梗塞の責任血管部位について、10数項目から成る「試験直前確認用メモ」を作ったのだった。上の具体例を見て、「うん、そうそう。そういうことだね」とニコニコしながら読める人は、もう既に1級を持っているか、あるいはその先のレベルにまで進んでいそうな強者(つわもの)。・・・で、「まだ、とてもそこまでは・・」という方のために、お勧めの勉強法をここでお伝えしておこうと思う。

◎まず、下↓のURLにあるような「冠動脈のカラー模式図」を1枚印刷し、手元に用意しておく。

https://skima.jp/gallery?id=72194

◎YouTube動画『心電図マイスターチャンネル』の心筋梗塞をテーマにした初期動画と、2022年1月実施の試験に備えて投稿された「心電図検定対策10問ドリル Day1~Day8」を視聴する。その際、手元にあるカラー図を見ながら、「RCA遠位部だと、・・・あ、ここか。AHA番号#3ね」「LAD近位部だと、#6か。ここが塞がるから、その先の対角枝(#9と#10)もやられて、側壁のⅠと aVLのSTも上昇するってことね。なるほど」といった風に、枝分かれした血管の名前と位置、そしてそれぞれのAHA番号までセットにして、少しずつ頭に入れていくのである。後は、その繰り返し。

◎できたら動画勉強をしながら、「自分向けの、試験直前確認用メモ」を作っておくと良い。

―次回(第5回)のテーマは、「小児の心電図と、先天性心疾患」。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 心電図検定1級のレベル(3)... | トップ | 心電図検定1級のレベル(5)... »

コメントを投稿