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クラシック音楽オデュッセイア

2025年正月、ついに年賀状が1通も来なくなった“世捨て人”のブログ。クラシック音楽の他、日々のよしなし事をつれづれに。

「シルヴェスター(=大晦日)」の由来

2005年03月28日 | エトセトラ
前回語った指揮者のコンスタンティン・シルヴェストリという名前から、大晦日の催し物として、特にベルリン・フィルのものがお馴染みになっている、シルヴェスター・コンサートという言葉が連想された。しかし、なぜドイツ語で大晦日をシルヴェスターというのか、ちょっと語源を探ってみたら、なかなか面白い発見に出会ったのである。また、コンスタンティン・シルヴェストリという名前も、「ネズミ捕り」なんてちゃかすどころか、実は大変に由緒正しく、畏れ多い名前であることを知ったのだった。

古代ローマ神話に、シルウァヌス(Silvanus)という名の「森の神」がいるらしい。(※ラテン語はUとVが分化しておらず、英語流のV、つまりヴという発音はなかった。だからシルヴァヌスではなく、シルウァヌスが正しい)。そしてラテン語のシルウァ(Silva)は、「森」を意味する言葉になるそうである。ローマ貴族の家名としてよく使われた シルウェスター(Silvester)は、そこから派生して、「森に囲まれた」という意味を持つとの事。そういう訳で、指揮者シルヴェストリの家系はおそらく、このローマ時代からの由緒ある家柄の流れを汲むものと推測されるのである。

ところで、西洋史に明るい方なら、コンスタンティヌス帝の名前と業績をよくご存知の事と思う。西暦313年に「ミラノの勅令」というのを出してキリスト教を公認し、その守護者として発展に力を貸した皇帝である(※と言いつつ、私自身はそのあたりの事を今回の調査で初めて知ったのだった。お恥ずかしい・・)。で、この皇帝に洗礼を施したと言われているのが、当時のローマ教皇シルウェステル(シルヴェスター)1世だったとか。

むむむ・・コンスタンティン・シルヴェストリ、この名前、随分と畏れ多いではありませんか。で、そのコンスタンティンの語源となっているラテン語のConstantiaというのは、ちょうど英語のconstancy(形容詞はconstant)の語源でもあって、もともとの意味は、「堅固」とか「不変」、「一定」といったあたりになる。そうしてみると、コンスタンティン・シルヴェストリを日本人の名前に無理やり置き換えれば、森 定男(もり さだお)みたいになるのかも知れない。(※だからと言って、モーツァルトの歌劇<後宮からの逃走>に出てくるコンスタンツェを、サダコとは訳したくないが・・)。

さて、その教皇シルウェステル1世がこの世を去ったのが西暦335年の12月31日だったそうで、ドイツ語で大晦日12月31日をシルフェスター(Sylvester)と言うのは、どうもこの人の命日に由来するらしいことが、とあるサイト上で紹介されていたのだった。うーむ、そういうことだったんですか。

―ということで、今回はこれにて。

(PS)

クラシック音楽から離れた例をちょっと付け加えておくと、例えば映画俳優のシルヴェスター・スタローンも、今回の話と同じルーツを持っている人と考えてよいだろう。イタリアの映画女優シルヴァーナ・マンガノ(※「マンガーノ」と後ろを伸ばさないように、ご注意)も、ひょっとしたら同じお仲間かも。あるいは、桜庭和志に勝った格闘家のバンダレイ・シウバ(Wanderlei Silva)も、日本人の名字に置き換えたら、「森さん」になるのかも知れない。

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