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クラシック音楽オデュッセイア

2025年正月、ついに年賀状が1通も来なくなった“世捨て人”のブログ。クラシック音楽の他、日々のよしなし事をつれづれに。

ブログ14周年、バーンスタインのベルリオーズ<レクイエム>

2018年10月31日 | 演奏(家)を語る
2018年10月31日。今日は、このブログの誕生日。これで満14歳。よく続いてきたなと思う。先日、床板の工事が無事完了。ほっと一息。後になってつくづく反省したのは、工事見積もりを複数の業者に訊いて、事前に比較しておくべきだったということ。施工は文句なしの物だったので、今回その点での悔いはないが、工事代金がやたら高かったのがつらい。次回何かのリフォームを依頼する時は必ず、見積もりの比較をしようと思う。

さて、今月買ったCDはちょっと古い品で、バーンスタインの20ビット・ロイヤルエディションの1つ、ベルリオーズの<レクイエム>である。当然ながら、中古で購入。いかにもバーンスタインらしい、熱気を孕んだ豪演が堪能できた。「トゥーバ・ミルム」で金管のアンサンブルが破綻するのは、まあ、ご愛嬌。w 録音のとり方は、オフマイク気味。巨大な音楽の全容を収めるために、マイクを遠目にセッティングしたものと考えられる。それによって、壮大に鳴り渡る大音響と、ひっそりした部分とがうまく両立して収まったようにも受け取れるが、その静謐な部分での音(特に、合唱団の声)があまり前に伸びてこないため、もどかしい思いもさせられた。そこがちょっと、残念な点ではある。(※同じバーンスタインによるヴェルディの<レクイエム>は、もう少しマイクが近くて、鮮明度が高かった。)

ところで、ベルリオーズの<レクイエム>といえば、ミュンシュ&ボストン響のRCA初期ステレオ盤。これこそ、最高の名盤。異論は認めない(笑)。当ブログ主が持っているのは、20年ぐらい前に発売されたK2レーザー・カッティング盤で、これを今も愛聴している。この演奏のSACDハイブリッド盤が出た時は結構期待して買ったのだが、音質にがっかりさせられた。SACDのまろやかな音は、ミュンシュ(やフリッツ・ライナー)の鮮烈なサウンドには全く似合わない。「ダメだわ、こりゃ」と、速攻で手放した。以来、当音源のxrcd化をずっと待ち望んでいるのだが、なかなか実現してくれない。そう言えば少し前から、「ミュンシュのベルリオーズ録音全集」(RCA音源)という形で、紙製ボックス入りのセットが発売されている。そちらは、24ビット・リマスター盤になっているようだ。xrcdには及ばないだろうが、どうだろう。もしk2レーザー・カッティング盤よりも良いようなら、(他のベルリオーズ作品もまとめて聴けるという利点も併せて)買い直してみようかとも考えているのだが・・・。

―今回は、これにて。

【2019年4月30日 追記】

●ミュンシュ&ボストン響、他によるベルリオーズの<レクイエム> (日本語対訳付き)

ボストン時代のミュンシュが遺した最高傑作。とりわけ〔17:49〕からの「トゥーバ・ミルム」と、〔38:12〕からの「ラクリモーサ」。この2曲の物凄さは、言語を絶する。(※YouTubeサイトにあるこの動画のオリジナルは、曲ごとのトラック分けがなされている。好きな箇所へ自由に飛びながら聴きたい方は、そちらをご利用の程。)

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床板の修理依頼、マゼールの30枚組ボックス

2018年09月30日 | 演奏(家)を語る
2018年9月30日(日)。今月、痛み方が激しくなっている拙宅1階の床板を、専門の建築業者さんに見てもらった。和室の畳をひっくり返し、担当者が床下に潜る。土台のコンクリートは(40年近い築年数の割には)しっかりしていたものの、相当な水分(というか、湿気)が木材部分を浸食していて、やはり手当が必要だという話になった。畳も古いため、表替えとか裏返しとかではなく、丸ごと新調しなければならないレベルになっていると。1階床下の湿気対策、コンパネの張り替え、畳の新調、玄関ホールと洗面所の床板補強など、今回はかなり大がかりな工事になる。費用も100万を軽く超えてくるので、5年前にやった父の葬儀以来の大出費だ。実に厳しいが、これは趣味や道楽の話ではなく、住んでいる家を維持するためのものなので仕方がない。マンションやアパート住まいもそれぞれに大変だが、持ち家にもまた持ち家なりの苦労があるということだ。施工は、来月に入ってから。今リフォームがブームになっているのか、業者さんもたくさんの工事注文を受けていて、このところ大忙しらしい。

さて、今月買ったクラシックのCDは、“Great Recordings”と銘打たれたロリン・マゼールの30枚組ボックス。マゼールは必ずしも好きな指揮者ではないのだが、CD30枚で税込み3535円という超特価で買えるので、ちょっとポチってみることにしたのだった。現段階ではまだ全CDをちゃんと聴き通せていないため、まとまった感想文を書くことはできないが、大まかな印象はだいたい定まってきている。

基本的にマゼールは、人を感動させる音楽はやっていない。やっているのは、クールな感性と独自の解釈が生み出す個性的な音楽ばかりだ。今日までの段階で聴けている範囲で言うと、そのあざといまでの作為と演出が見事に場を得て、最高無類の出来映えを示しているのが、ウィーン・フィル他を指揮したチャイコフスキーの<1812年>。次いで、同オケとのドビュッシーの<夜想曲>(特に、終曲の女声コーラス)が印象的。クリーヴランド管との録音では、R・シュトラウスの<英雄の生涯>が鮮烈な名演になっている一方、ベートーヴェンはちょっと、何これ。まあ、こういうベートーヴェンも当然あっていいわけだけど、何だろうなあ・・・。期待していたレスピーギの《ローマ三部作》やサン=サーンスの<交響曲第3番>は、音が前に伸びてこない引っ込んだ録音のため、聴いていてイライラさせられる結果となった。・・・とりあえず、こんなところ。

―今回は、これにて。今夜の東京は台風24号の影響で大荒れの天気になるという予報だが、大過なく過ぎてくれることを願う。
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FMで聴いたバーンスタイン初来日の<春の祭典>と、生涯最後のシューマン

2018年08月31日 | 演奏(家)を語る
2018年8月31日。バーンスタインの生誕100年を翌日に控えた先週の金曜日(8月24日)、NHK-FMで特番が組まれた。当ブログ主が聴けたのは番組後半のみだったが、これは非常に良かった。まず、バーンスタインの初来日公演で演奏された<春の祭典>(1961年5月6日・東京文化会館)が57年ぶりに公の電波に乗ったのが、画期的な出来事。当時の放送を録音してずっと保存していたという凄い人がいて、今回その秘蔵音源が提供されたとのこと。演奏はやはり、若い頃のバーンスタインらしい物。ステレオ初期のCBSソニー盤と、基本的な線はだいたい似通っている。ややゆっくり目のテンポ設定、ダイナミックな表現、そして荒っぽいアンサンブル。終曲部分でいきなり腰が重くなるところは、後のロンドン響との再録音でさらに症状が悪化する(笑)。ただこれ、非常に貴重なドキュメントではあるのだが、今の水準からすると、オーディオ的には不十分。打楽器のパワフルな打ち込みや低弦の唸りなど、意想外に優秀な録音が行われたソニー盤に比べると、まるで物足りない。仮にこの演奏がCD化されても、いわゆるハルサイ・コレクターや、熱心なバーンスタイン・ファンに向けられた一品(ひとしな)ということになりそうである。

その後に流れたのは、バーンスタイン最後の来日演奏となった札幌でのシューマン。曲は、交響曲第2番。学生オーケストラを指導したPMF(パシフィック・ミュージック・フェスティバル)でのライヴ録音(1990年7月3日)で、ここには巨匠最晩年の威容が克明に記録されている。何とも雄大なスケールのシューマンだ。特に終楽章結尾部の巨大さはまさに圧巻で、これを生で聴いた聴衆は本当に圧倒され、感激したことだろう。終演後にスタンディング・オヴェイションが起こったというのも、非常にうなずける話である。楽器の響きに含蓄が不足し、音楽にもう少しつコクが望まれる結果になっているのは、やむを得ないところだと思う。演奏しているのはプロの大人ではなく、18歳から20歳代前半の若者たちなのだから。むしろ、そういう若い音楽家たちを指導して、ここまで壮大な音楽を作り上げた大指揮者の力こそ絶賛されるべきだろう。

その一方、この日の番組を聴きながら、当ブログ主は改めて深い悔恨の念に苛(さいな)まれることにもなった。ブログを立ち上げた初期(※2004年11月6日)にも書いていたことなのだが、バーンスタインにあともう少し命の炎があったら、当ブログ主はこの豪演の再現をサントリー・ホールで聴けるはずだったのだ。それが、すべり込みアウト。巨匠に目の前で去られてしまった・・・。

【※当日のコンサートでは、弟子の大植英次が代役でシューマンの2番を振った。それはそれなりに、立派な演奏だった。ちなみに、「第2楽章のエンディング部分で、ヴァイオリン奏者たちが一斉に席から立ち上がって弾く」というのは当時の札幌だけでなく、サントリー・ホールでも実行されたが、番組の解説によると、これはバーンスタインのアイデアだったらしい。当時は、「大植さんあたりが多分、演出効果を狙って考えたんだろうな」と思っていたのだが、意外な人物が“犯人”だった(笑)。ただ、演奏終了後にコンマスの女性の手を取って、一緒に舞台袖に消えるという『ねるとん』展開、これは間違いなく大植氏の思いつきだろう。w 】

―今回は、これにて。
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2017年終了、シューリヒトの<第9>(1965年)

2017年12月31日 | 演奏(家)を語る
2017年12月31日(日)。先月から今月にかけて、タワレコさんの企画CDやら、他のサイトで見つけた中古CDやら、ちょっと奮発していろいろ買いこんでみた。しかし、それらをゆっくり聴く時間がほとんど持てなかったのが、つらいところ。昨夜になってようやく、長い1曲をちゃんと最後まで聴き通すことが出来た。カール・シューリヒトがフランス国立放送管、他を指揮したベートーヴェンの<交響曲第9番>(Altus盤 ALT364/5)である。何10年ぶりになるだろうか、1年間を第9で締めくくるというビギナーっぽいことをするのは。これは1965年6月15日に、パリのシャンゼリゼ劇場で行われたコンサートのライヴ録音とのこと。この時代の記録としては、かなり音が良い。立派なステレオ録音で、オーディオ的な不満は(デジタル・レベルの物を求めさえしなければ)ほとんど無いと言ってもいいぐらいだ。

演奏も聴き応えがある。全編に亘ってハイ・テンションな音楽が展開されるが、普通の演奏よりもティンパニーのアクセント付けを強調した第1楽章の姿勢は続く第2楽章でさらに顕著なものとなり、時折聴き手をびっくりさせる。「ちょっと、ちょっと、<春の祭典>じゃないんだから」と(笑)。LP時代からよく知られたパリ音楽院管とのEMI録音では、指揮者の解釈や表現以上に、(特に第3楽章で強く感じられた)管楽器のユニークな音色が記憶に残るのだが、当シャンゼリゼ・ライヴでは圧倒的に指揮者の個性の方が際立っている。昔読んだクラシック関係の本の中で、「シューリヒトが使っているスコアを見たら、どのページにもびっしりと書き込みがあって驚いた」というような文章を見たことがあるけれども、この<第9>を聴きながらふとそれを思い出し、「ああ、いかにも」と得心がいった。基本的にはやや速めのテンポ設定で曲が進むものの、あちこちで独特な楽器のバランス配置が行われ、またアゴーギクも使われる。その手管のすべてに共感する聴き手は限られようけれども、それが名匠らしい“音楽のコク”を生んでいるのは間違いないところだろう。忙しい1年を聴き応えのあるCDで締めくくれた事に、心から感謝。組み合わされたもう1枚、同じベートーヴェンの交響曲第3番<英雄>も年明け早々に時間を見て聴くことになりそうだが、今から楽しみである。

―あと3時間弱で、2017年も終了。どうぞ、良いお年を。
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多忙な11月。ハチャトゥリアン&ウィーン・フィル

2017年11月30日 | 演奏(家)を語る
2017年11月。相変わらず、いろいろ忙しい。今月も30日になってようやく、ブログの更新である。

クラシックCDについては何と言っても、tower.jpさんの企画CDが期間限定の割引特価(※3点買えば20%引き)になっていたことが、今月のハイライトだった。LP時代から馴染み深い名盤をいくつか、改めて購入した。その中で先日、何とか時間を見つけて聴いたのが、ハチャトゥリアン&ウィーン・フィルの自作自演盤。バレエ音楽<ガイーヌ>からの抜粋5曲と、交響曲第2番。<ガイーヌ>には若い頃のチェクナボリアンがナショナル・フィルと録音したRCAの全曲盤など、優れた物は他にもある。が、演奏本位で選んだらやはり、この作曲者自演のデッカ盤が随一という気がする(※収録曲数が少ないという不満は、あるけれども。あと、カヒーゼ盤全曲も爆演だが、あれは音がちょっとやかましすぎて聴き疲れがする)。

「アイシェの目覚めと踊り」では、ウィーン・フィルの弦の艶っぽさに加えて、サキソフォンなど、他の楽器との絡みが鮮やかに聞こえてきて、今回新たな感動を覚えた。有名な「剣の舞」や、打楽器の立ち上がりがすこぶる爽快な「レスギンカ」なども、過去に発売されたどのCDよりも鮮明で生々しいサウンドが楽しめる。同じ24ビットのデッカ・レジェンド盤よりも良い音に感じられるのは、ルビジウム・クロック・カッティングの威力だろうか。タワレコさん、本当に良い仕事をしている。交響曲の方は、曲自体が当ブログ主には今一つピンとこないものなのだが、ウィーン・フィルがあちこちで激しい響きを聴かせてくれる点が楽しめた。<ガイーヌ><スパルタカス>ともども、作曲者のタクトがオケを上手に煽って乗せているのがわかる。

―というところで、今回はこれにて。今年もあと1ヶ月。早いなあ・・。
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