カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

これぞ王道おバカ・コメディ   ゴースト・ハンターズ

2012-10-03 | 映画
これぞ王道おバカ・コメディ
ゴースト・ハンターズ/ジョン・カーペンター監督

 ご存知、といってもオタク系にしか通じないが、カーペンター監督とカート・ラッセル主演の名物コンビによる快作と言っていいのではないか。まあ、興行的には大したことは無かったようだけど…。
 幽霊みたいなものが出てくるし、アクションも血の気も多いし、それなりにお金もかかっているということなので、彼らにしてはそれなりに大作だったようなのだが、今の視点から観ると、なかなか笑わせられるドタバタ・コメディになっている。もちろん、それは狙ってもいたのだろうけど、現代人の目から見てもそれなりにぶっ飛んだ感覚のある面白B級コメディなのである。そして、そのことがさらにこの作品を貴重にしている訳で、時代というのは本人たちには残酷だが、観る者にとってはなかなか面白い現象を引き起こすものなのである。
 こういうお馬鹿映画は、まじめに楽しんで作られているからこそ、観る者にその楽しさが伝わる訳だが、しかしながらこの映画をさらに真面目に売り込もうという制作側の思惑と、またその制作側の考える感覚から期待している一般大衆の誤差があって、やはり本当にはこの面白さが伝わらないという悲劇が起こってしまうように思うのである。カーペンター監督は真面目に怖い映画を作ることも出来るし、その才能が認められている人である。カート・ラッセルもマッチョにカッコいいだけでなく、本当にアクションも上手な役者である。その二人がふざけたところもあるが、コアなファンだけじゃなく、一般的な映画ファンに対してサービス精神を振り絞って楽しい映画を作ろうとすると、何故かオタクしか喜ばないような不思議な味わいのあるコメディが出来上がってしまうのである。少なくとも僕にはそのようにしかこの映画は見えない訳で、そしてやはりそれが好ましくもあるということは言えて、楽しんで観ることができるわけである。馬鹿はこれくらいがやはり心地よくて、楽しいということだ。一般にはウケたかっただろうけど、これはたぶんウケませんよ。そしてそのことに微塵も気付かない(かった)彼等が、さらに愛おしいとさえ思えるのである。まさにその一連の出来事そのものが、喜劇(悲劇)と言っていいのではなかろうか。
 そうはいっても、この映画は、様々な娯楽性をそれなりに吟味して作られてはいる。神秘的であり、確かにホラーのおどろおどろしさはしっかりしている。カンフーアクションはあり、空中遊戯さえある。仲間との友情も美女とのロマンスもある。そうして西部劇的な男くさい美学さえも。そのような要素が見事にからんでもいるのだけれど、その時代の人々には、やはりピンと来るものが無かったのだろう。聞くところによると、中国人からは馬鹿にしている、と怒られたりしたらしい。まあ、無理もない訳だが…。
 そういう訳で、やはり人を選んでしまう快作なのであろう。でもまあ、オタクというのはかえってそういう作品を見捨てない訳で、あんがいこういうものこそ後世に残ったりするんだよね。それはそれで不幸なのかもしれないのだけれど…。
コメント
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